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歩行速度改善に必要なトレッドミルのセッション数

📖 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中後の歩行速度の有意な変化を達成するために必要なトレッドミルセッションの "マジック "回数

📕Balinski, Mariah, and Sangeetha Madhavan. "“Magic” Number of Treadmill Sessions Needed to Achieve Meaningful Change in Gait Speed After Stroke: A Systematic Review." American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation 101.9 (2022): 826-835. https://doi.org/10.1097/PHM.0000000000001920
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🔑 Key points
🔹脳卒中後、トレッドミルトレーニングは歩行を改善するための課題別介入として頻繁に使用されている。トレッドミルトレーニングの頻度や量といった投与量に関するガイダンスはあるが、期間に関するガイダンスはない。
🔹脳卒中サバイバーで、介入期間開始から終了までの歩行速度の変化について臨床的に重要な最小限の差を達成した人は、少なくとも30回のトレーニングセッションを完了したことが示された。しかし、これらの人が完了すべき「魔法の」セッション数については、確固とした結論は出せない。

[背景・目的] この系統的レビューの目的は、慢性脳卒中サバイバーの歩行速度に意味のある変化をもたらすために必要なトレッドミル訓練のセッション数を明らかにすることである。

[方法] 2020年2月までに関連するデータベースを検索した。脳卒中の発症が5ヶ月以上、従来のトレッドミルトレーニングで治療する意図がある、アウトカムとして歩行速度が含まれている、などの基準に合致する論文を対象とした。介入後の歩行速度の変化を用いて、トレッドミル群を反応者(0.1m/sec以上の変化)と非反応者(0.1m/sec未満の変化)に分類することとした。

[結果] 17の論文が基準を満たし、合計19の介入群が得られた。反応者は6週間以内に平均30.5回のセッションを完了したのに対し、非反応者は10週間以内に20.4回のセッションを完了しており、歩行速度に有意な変化をもたらすには少なくとも30回(できれば10週間の期間で、1回あたり少なくとも40分)のトレッドミルのセッションが必要であることが示唆された。

[結論] このような傾向は、応答者と非応答者の間で認められたが、セッション数と歩行速度の変化の相関が低いことから、慢性脳卒中サバイバーが行うべき「魔法の」セッション数に関する確固たる結論を導き出すことはできない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

『Does-dependent effect』が注目されている。
「介入においては量が効果に対して影響が大きい」という考え方である。
今回の研究で特に参考になったのは、解析方法だ。

①臨床的に意義のある最小変化量(Minimal clinically important difference (MCID))の達成有無で二群に分ける
②二群における介入量の平均値から必要な介入量を考察

ただし、考察にもある通り「セッション数と歩行速度の変化の相関が低いことから、慢性脳卒中サバイバーが行うべき「魔法の」セッション数に関する確固たる結論を導き出すことはできない」。

そして、この研究は脳卒中『維持期』の患者を対象にしていることにも注意が必要だ。
回復期病棟において、この論文で示されたセッション数をこなすことはなかなか難しいだろう。
だが、繰り返しになるが、解析の方法は参考になり「MCIDで二群に分けて、改善に必要な介入量を算出していく」視点は有用だ。
後方視的にでも、回復期病棟の脳卒中患者の改善に必要な「とある介入の必要量」を明らかにできるかもしれない。

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