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孤独への対処。僕たちに何ができる?

📖 文献情報 と 抄録和訳

パラダイムシフト-高齢者の症状苦痛の根本原因としての孤独感

📕Kotwal, Ashwin A., and Diane E. Meier. "A paradigm shift—Loneliness as a root cause of symptom distress among older adults." Journal of the American Geriatrics Society (2022). https://doi.org/10.1111/jgs.17880
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Connected Papers
※ Connected Papersとは? >>> note.

[レビュー概要] Powell らの結果(2022年10月9日note参照)は、孤独が有害な結果の強力な予測因子であることを特定する証拠が増えていることを示している。これに対し、社会的介入を組み込むことにより、症状管理における臨床パラダイムを変える機会を生み出す 。

■ Step1:孤独の特定・評価
・最初のステップとして、臨床チームと医療システムは、患者、特に痛み、うつ病、または疲労を経験している患者の孤独について定期的に質問し、特定する必要がある。
・複雑な調査は必要ない。
・孤独は、単一の質問または簡単な尺度ですぐに特定できる(📕Kotwal, 2022 >>> doi.)

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■ Step2:原因を話し合い、感情を処理する手助けをする
・孤独のスクリーニングは、少なくとも 2 つの点で他の医療スクリーニングとは異なる。
・第一に、孤独を特定することが害につながる可能性は低い。それどころか、患者は、孤独の問題について話し合う時間と空間が提供されることを高く評価している。
・第二に、悲しみ、生活状況の変化、または健康上の問題に起因する孤独の複雑な感情的経験を個人が処理するのを助けることは、治療に役立つ(📕Vitaltalk, 2021 >>> site.)
・私たちの経験では、孤独について尋ねることで、信頼と人間関係が築かる。

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■ Step3:臨床的・社会的介入への個別アプローチ
・介入に関するエビデンスが「追いつく」のを待っているため、現状では社会的ニーズに対処するための個別のアプローチが効果的である可能性が高い(📕Mann, 2017 >>> doi.)
・直接的介入:孤独感に対する認識を変えようとする直接的な介入のこと。例えば、ピアサポートの介入、高齢者センター、フレンドシップ ライン、ズーム会議、テクノロジー クラス、世代間のボランティア活動
・間接的な介入:修正可能な医学的要因(例:痛み、聴覚・視覚障害、機能障害)または社会的要因(例:技術への アクセスや快適さ、限られた交通手段、孤立した生活、貧困)に対処する介入のこと。

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🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

つまり、肝心なのは、この道を知ることではなく、この道を歩くことだ
ヒルティ

大好きな言葉だ。
僕たちは、得てして問題点を把握したり、論理的に分析したりしただけで、『どうだこの野郎。』となりがちだ。
だが、そこで時点で、気づくべきなのだ。
現実が、何も変わっていない、ということに。
例えば、昨日の文献抄読で「孤独感がうつを引き起こすリスクが高い」ことが明らかになったわけだが、その時点では、何も現実は変わっていない。
僕たちは、この道を歩くことなく、知ることで満足してしまってはいないだろうか。

実際の臨床現場において、孤独感を特定し、その孤独感に対処し、介入し、うつの発症を抑制できたときに、現実が変わった、といえる。
今回の論文は、昨日抄読した論文に対する論文評レビューだが、まさにその部分について述べている。
『現実の把握』と『実践』は地続きではない。
そこに、具体的な橋渡しが必要になる。
その橋とは、今回の場合、評価方法の理解、具体的な介入方法の習得、などである。
自問自答してみよう。

お前は、ただ知識を増やしたいのか?
それとも、勉強/研究したことで現実を良くしたいのか?

誰もが、後者だ。
けれど、それができないのはなぜだろう。
それはたぶん、臆病と怠惰からだ。
実行には失敗がつきまとう、そのリスクが怖いのだ、臆病なのだ。
実行するには、その足で歩かねばならない、それは労力であり、面倒臭い。だから怠惰になる。
ただし、臆病や怠惰を感じない人は、いない。
大事なことは、その臆病や怠惰に打ち勝って、実践に向かう意志をもつことではないか。
・・・。
自戒である。

誘惑のないこと、それを感じないことが尊いのではない
それに打ち勝っていく処に尊さがあるのだ

神谷美恵子

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