社会参加の定義
📖 文献情報 と 抄録和訳
社会参加の定義に関するスコーピング・スタディ:学際的合意による定義の更新と共同構築
[背景・目的] 高齢者の生活の質とアクティブエイジングのための社会参加の重要性を考慮すると、それは社会および医療専門家の介入の重要なターゲットである。高齢者の社会参加の定義に関する前回のレビューでは、2009年までの論文を対象とした。新しい論文や社会的背景の変化(例えば、ソーシャルメディアやCOVID-19の大流行)により、この作業を継続することが正当化されている。目的:この論文は、高齢者の社会参加に関する定義の最新の目録と統合を提供するものである。内容の専門家と知識の利用者による批判的なレビューに基づき、合意された定義を提案する。
[方法] スコープ調査の枠組みを用いて、4つのデータベース(MEDLINE、CINAHL、AgeLine、PsycInfo)を関連するキーワードで検索した。その結果、54の新しい定義が同定された。内容分析を用いて、定義を「誰が」「どのように」「何を」「どこで」「誰と」「いつ」「なぜ」の次元の関数として分解した。
[結果]
■ 文献調査を踏まえ, 最終的に合意された社会参加の定義
■ 社会参加の定義:7つの疑問詞に基づいた分析
[結論] 一つの定義があれば、アクティブエイジングや高齢者の社会への貢献、社会経済的・個人的発展、高齢者と社会にとっての利益、自己実現、目標達成の研究が促進されるかもしれません。
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言葉の定義は大事だ。
思った以上に、大事だ。
それを示す、1つの逸話がある。
孔子は、物の名前の定義が人によって異なっていると、話をしても、お互いに考えている内容が食い違ってしまい、結果、政治がうまくいかないということを説いた。
医療においても、例えば社会参加、と名称を言われたときに、違った内容を思い描いていては、その話が食い違ってしまう。
そのため、社会参加という言葉に対する定義を共有しておくことが、研究、治療をより効果的にするために重要である。
臨床においても、同僚との話の中で、「退院後のフォロー、社会参加って書いてあるけど、これ社会参加じゃなくない?」という話題はよくかわされている。この場合、双方が思い描いている社会参加の定義が異なってしまっているのだ。
その意味合いにおいて、今回の社会参加の定義を明らかにしたスコーピングレビュー研究は、とても重要な研究のように思える。
さらに、構成要素を7つの疑問詞に基づいて因数分解してくれたことによって、社会参加を立体的に捉えられる工夫が施されている点が秀逸である。
社会参加の定義に迷ったら、困ったら、立ち戻りたい論文である。
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