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走れる膝OA者, 走れない膝OA者の違い

📖 文献情報 と 抄録和訳

走れる変形性膝関節症患者と走れない変形性膝関節症患者の歩行分析

📕Ohmi, Takehiro, et al. "Gait analysis of patients with knee osteoarthiritis who can run versus cannot run." Gait & Posture 112 (2024): 67-72. https://doi.org/10.1016/j.gaitpost.2024.05.005
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[背景・目的] 多くの中高年者が健康と体力維持のためにランニングに参加しているが、変形性膝関節症に起因する膝の痛みのためにランニングを中断せざるを得ない人もいる。走れる人と走れない人の間で、歩行バイオメカニクスや膝の身体所見が異なるかどうかは不明であった。研究課題:変形性膝関節症患者のうち、ランニングが可能な患者と不可能な患者では、歩行や膝の身体所見にどのような違いがあるのか?

[方法] 本研究は横断研究であり、変形性膝関節症と診断された40歳以上の患者23名を対象とした。膝関節の可動域と筋力、膝の痛み、最大歩行速度(できるだけ速く歩く)を測定した。膝関節のアライメントはX線画像から算出し、膝関節の伸展角と内転モーメントは、自分で選択した歩行速度におけるモーション解析を用いて求めた。参加者は、走れる群(n=11)と走れない群(n=12)に分けられた。測定結果と算出結果を群間で比較し、有意差のある結果についてロジスティック回帰分析を行った。

[結果] 結果立脚期の膝関節最大伸展角度(p = 0.027)、10m歩行テストの最大歩行速度(p = 0.014)、歩行時の膝痛(p = 0.039)、X線検査による脛骨内側近位角(p = 0.035)に有意な群間差が認められた。ロジスティック回帰分析の結果、立脚期の最大膝伸展角(OR:1.44、95%CI:1.06¬1.94、p=0.02)が有意な因子であった。

[結論] 歩行時の膝伸展能力は、変形性膝関節症患者が走れるかどうかの重要な要因である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

歩行練習をしている最中に、時折患者さんに聞かれることがある。
「私、走れますかね?」
この言葉に対しては、いつも返答に困ってしまう。
「まずは歩けてからですからね」
のような返答に逃げてしまうことが多い。
なぜ返答に困ってしまうかといえば、走れるかどうかの判断基準がよくわからないから、だ。

今回の抄読研究は、変形性膝関節症者を対象に、走れるかどうかを歩行バイオメカニクスの側面から明らかにしてくれた。
その結果としては、歩行立脚期の膝関節がしっかり伸展しているほど、走れる可能性が高くなるようだ。
膝関節伸展制限は膝OAの重症度とも関連する重要な指標であり、納得のいく結果であると思われる。
今度、走れるかを聞かれた際には歩行時の膝関節伸展角度に着目して、返答をしてみよう。

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