見出し画像

脳卒中後の多疾病。死亡リスクとの関連

📖 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中後の死亡率と多疾病との関連:年齢、重症度、病因、先行障害別に検討

📕Downer, Matthew B., et al. "Association of multimorbidity with mortality after stroke stratified by age, severity, etiology, and prior disability." International Journal of Stroke 19.3 (2024): 348-358. https://doi.org/10.1177/17474930231210397
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Connected Papers
※ Connected Papersとは? >>> note.

[背景・目的] 多疾患合併は脳卒中患者において一般的であり、中長期的な死亡率の上昇と関連しているが、臨床的意思決定やケースミックス調整におけるその価値は、年齢、脳卒中の重症度、病因のサブタイプ、障害の既往、血管危険因子などの他の因子によって異なる。目的:先行研究がないため、これらの因子による層別化を行い、多疾病と脳卒中後の長期死亡率との関連を検討した。

[方法] 集団ベースの脳卒中発症率調査(Oxford Vascular Study; 2002~2017年)において、年齢、性別、予測早期転帰(THRIVEスコア)で調整/層別化した回帰モデルを用いて、脳卒中前の多疾患(加重/非加重Charlson comorbidity index(CCI))と全死亡/血管死亡/非血管死亡(1/5~10年)を関連付けた、 脳卒中の重症度(NIH脳卒中スケール(NIHSS))、病因(TOAST:Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment)、病前障害(mRS:modified Rankin Scale)、CCI以外の危険因子(高血圧、高脂血症、心房細動、喫煙、貧困、不安・抑うつ)で調整・層別化した回帰モデルを用いた。

✅ Charlson comobidity index, CCIとは?
・Charlsonらによって1987年に提唱された
・死亡に寄与する併存疾患を評価し、 そのスコアの合計を点数にした指標.
・短期的な死亡リスクと相関があるとされる
・点数が高いほど併存疾患が多い, もしくは重篤な併存疾患を有する

🌍 参考サイト >>> site.

[結果] 2454人の脳卒中患者(M/SD年齢:74.1/13.9歳、男性48.9%、M/SD NIHSS:5.7/7.0)において、1375/56.0%が1つのCCI合併症を有し、685/27.9%が2つのCCI合併症を有していた。年齢/性別調整後、多疾病(重み付けなしのCCIが2 vs 0)は1年後(aHR = 1.57、95%CI = 1.38-1.78)、5年後(aHR = 1.73、95%CI = 1.53-1.96)、10年後(aHR = 1.79、95%CI = 1.58-2.03)の死亡率を予測した(すべてps < 0.001)

多疾患は病前障害(mRS>2:aOR=2.76、2.13-3.60)および非CCI危険因子(高血圧:1.56、1.25-1.95;高脂血症:2.58、2.03-3.28;心房細動:2. 31、1.78-2.98、喫煙:1.37、1.01-1.86)、測定されたすべての交絡因子で調整した後の死亡を予測し(10年-aHR=1.56、1.37-1.78、p<0.001)、主に非血管死(aHR=1.89、1.55-2.29)に牽引された。10年全死亡の予測値は、予想される早期死亡率が低い患者において最大であった:THRIVEスコアが低い(pint < 0.001)、年齢が75歳未満(aHR = 2.27、1.71-3.00)、NIHSSが5未満(1.84、1.53-2.21)、ラクナ脳卒中(3.56、2.14-5.91)。加重CCIを用いても結果は同様であった。

[結論] 脳卒中前の多疾患合併は非常に多く、脳卒中後の死亡の独立した予測因子であり、ケースミックス調整モデルに含めること、患者、家族、介護者の意思決定に情報を提供することを支持する。若年患者や軽症脳卒中後、特に非血管死の予測は、良好なリスク/ベネフィット比を達成するために5~10年の生存を必要とする介入を目標とする際の臨床的有用性の可能性を示唆する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「年を重ねるほど増えていくものは何でしょう?」

いろいろな答えがあるだろう。
その正解の中の1つは、「併存疾患」である。
日本は高齢化先進国であり、入院患者の多くは高齢者である。
その患者さんの申し送りを作るにあたり、既往歴、合併症の欄が空欄になることはほとんどない。
大抵の場合、3-5個程度の既往歴、合併症を有しているという感覚だ。

その中で、今回の抄読研究では脳卒中後の患者について、多疾病(Multimorbidity)と死亡リスクの関連を調査した。
その80%以上がCCIで1以上の多疾病を有していることが明らかとなり、死亡リスクとも関連した。
理学療法士としては、アウトカムとして死亡リスクのみならず、歩行能力やQOL、転帰先といった部分も気になるところだ。
今後の研究が重要な領域であろう。

⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪

↓↓↓

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び

この記事が参加している募集

最近の学び