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たった1回の筋トレがベッドレスト中の筋萎縮を抑制する
📖 文献情報 と 抄録和訳
高齢男性におけるベッドレスト中の筋萎縮と筋原線維タンパク質合成の低下を、1回のレジスタンス運動が抑制する
📕Smeuninx, Benoit, et al. "A single bout of prior resistance exercise attenuates muscle atrophy and declines in myofibrillar protein synthesis during bed‐rest in older men." The Journal of Physiology (2023). https://doi.org/10.1113/JP285130
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[背景・目的] ベッド上安静時の筋原線維タンパク質合成(MyoPS)の障害は、高齢者の骨格筋の減少を加速させ、健康に悪影響を及ぼす二次的転帰のリスクを増加させる。
[目的] 我々は、健康な高齢男性10名(65~80歳)を対象に、廃用時のMyoPSと筋形態に対する事前のレジスタンス運動(RE)の影響を調査した。参加者は、5日間の入院安静の前日の夕方に、片側下肢のレジスタンス運動を1回(Leg Extension, Curl, 75%1RM, 12回×6セット)行った。大腿四頭筋断面積(CSA)をベッドレスト前とベッドレスト後に測定した。連続筋生検と二重安定同位体トレーサーを用いて、7日間の習慣的「自由生活」期とベッドレスト期における統合型MyoPS(iMyoPS)の割合、およびベッドレスト終了時の急性吸収後MyoPSと食後MyoPS(aMyoPS)の割合を測定した。
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[結果] 筋長の40%、60%、80%における大腿四頭筋CSAは、ベッドレストにより運動した脚(EX)と運動していない対照脚(CTL)で有意に減少した。筋長の40%および60%における大腿四頭筋CSAの低下は、CTLと比較してEXで抑制された。
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ベッドレスト中、iMyoPS速度は、CTLでは常習値から低下したが、EXでは低下せず、脚間で有意差がみられた。食後のaMyoPS速度は、EXのみ吸収後の値より増加した。ベッドレスト中のiMyoPSの変化は、CTLでは大腿四頭筋CSAの変化と相関していたが、EXでは相関していなかった。
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[結論] 高齢男性において、5日間のベッドレストによるiMyoPS率の低下と大腿四頭筋の萎縮は、1回のREにより抑制された。高齢患者集団における事前のREの機能的・臨床的意味を理解するためには、さらなる研究が必要である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
手術の直後というのは、どうしても安静時間が長くなる。
それは術侵襲部の安静など、必要な期間でもある。
だから、その期間に無理をするということは、良策ではない場合がある。
そこで、近年『術前リハビリテーション』、『プレリハビリテーション』というものが注目されている。
いくつかのレビュー論文の簡易的抄読を行ったことがあるので共有しておく。
・16件の試験(968人)
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) December 21, 2022
プレリハの効果として、
🔹TKA実施前→好影響(平均差; g = 1.23)
🔹術後3ヵ月まで→好影響(短期 1日~1ヵ月, g=0.90;中期 6週~3ヵ月,g=0.45)
🔸術後6ヶ月〜1年→影響なし(g=0.07)
この結果は、プレリハが早期退院など入院アウトカムに貢献する可能性を示していますね😲 pic.twitter.com/s6m2O1veVs
■人工膝関節置換
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) January 20, 2023
・13件のRCTを包含
🔹術前リハは筋力増大/入院期間短縮に効果
🔹有害性の増加にはつながらない
🔸疼痛/ROM/ADLは通常と同等
■人工股関節置換
・RCTは6件あったが全アウトカムについて証拠が不十分
術前リハは部分的に効果
THAは開拓前なので研究需要が高そうです😲#TKA #THA pic.twitter.com/TKSiOB9um4
・28研究(主に人工関節置換術)を包含
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) April 19, 2023
・術前の運動の効果を調査
術前運動していない群と比較し、
🔹疼痛:術後2ヶ月以下(平均差-0.34)、3-5ヶ月(-0.41)
🔹QOL:術後2ヶ月以内では効果、6ヶ月以降では効果なし
🔹合併症:リスクの低減を認めた
術前の運動はとても重要そうですね😲#TKA #THA #理学療法 pic.twitter.com/GoQEEhCOfZ
どれも、さまざまなアウトカムに対しての良好な結果を示している。
そして、今回の抄読研究は、その良さに新たな1要素を加えるものとなった。
ベッドレスト前に、たった1回の筋力トレーニング(75%1RM, 12回×6セット)を行うと、筋萎縮が抑制された。
被験者が健常者であるため、直接的な応用はしにくいものの、プレリハビリテーションで術前に筋トレをしておくことは、術直後のベッドレスト期間における筋萎縮を防ぐ可能性は高いのではないだろうか。
先んずれば則ち人を制し、後るれば則ち人に制せらる
司馬遼太郎
⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨
📕たった1回の筋トレがベッドレスト中の筋萎縮を抑制する
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) April 11, 2024
・健常高齢者10名
・5日間の入院安静の前日に片側下肢の筋トレ+
(Leg Extension, Curl, 75%1RM, 12回×6セット)
🔹大腿四頭筋CSAは筋トレ側で萎縮が抑制
🔹筋タンパク合成率の低下も抑制
プレリハビリテーションは筋萎縮を抑制しそうです😲 pic.twitter.com/FhOCnYy9Ck
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