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犬の威力Ⅱ。認知症リスクを低減

📖 文献情報 と 抄録和訳

日本人高齢者の認知症発症に対する犬飼育の保護効果:縦断的研究

📕Taniguchi, Yu, et al. "Protective effects of dog ownership against the onset of disabling dementia in older community-dwelling Japanese: A longitudinal study." Preventive Medicine Reports 36 (2023): 102465. https://doi.org/10.1016/j.pmedr.2023.102465
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🔑 Key points
🔹犬を飼うことは、認知症の発症を抑制する効果がある。
🔹運動習慣があり、社会的孤立感のない犬の飼い主は有意にリスクが低い。
🔹一方、猫の飼育は認知症予防に有効ではなかった。

[背景・目的] この前向き研究では、犬・猫飼育者の身体的、社会的、心理的特徴に基づく傾向スコアマッチングを用いて、犬・猫飼育と認知症発症との関連を検討した。また、犬・猫の所有と運動習慣および社会的孤立と認知症との相互作用の関連についても検討した。

[方法] 全体として、2016年に層別および無作為抽出戦略を用いて抽出された11,194人の高齢者を分析対象とした。犬・猫の所有は「現在」または「過去に一度もない」と定義した。障害性認知症は、日本の介護保険制度における約4年間の追跡期間中の医師の評価に従って定義した。統計解析は、追跡期間を調整した後、一般化推定方程式において傾向スコアの逆数で重み付けした。

[結果] 現在犬を飼っている人(8.6%)は、過去に犬を飼ったことがある人、飼ったことがない人と比較して、認知症になる確率(OR)は0.60(95%CI:0.37-0.977)であった。定期的な運動習慣のある現在の犬の飼い主は、運動習慣のない過去および未飼い主と比較して、ORは0.37(0.20-0.68)であった。

さらに、現在犬を飼っていて社会的孤立がない人のORは、過去に犬を飼っていて社会的孤立がある人とない人に比べて0.41(0.23-0.73)であった。

なお、猫の所有については、認知症になる確率(OR)は0.98(95%CI:0.62-1.55)であった。

[結論] 犬の所有は、4年間の追跡調査期間中、背景因子を調整した後、障害のある認知症の発症を抑制する効果があった。特に、運動習慣があり、社会的孤立感のない犬の飼い主は、障害のある認知症のリスクが有意に低かった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

これは面白い。
なぜ、猫の飼育は認知症予防効果がなく、犬の飼育には認知症予防効果があるのか。
個人的には、2つの可能性を思った。

ひとつ、活動-参加へのトリガーとしての役割。
犬は、飼っていると「散歩」に連れていく必要がある(場合が多い)。
そのため、自然、運動や社会参加とセットにならざるを得ない。
そして、その運動や社会参加が、認知症のリスクを低減しているという可能性。

そしてもう1つの可能性として、コミュニケーション度の違い。
超主観なのだが、猫より犬の方が濃密なコミュニケーションを図ることができそうな気がする。
その結果、社会的孤立軽減や精神的な安定には犬の方が貢献できるのではないだろうか。
何によせ、相棒をどの動物にするかは、ただ一緒にいるペットを選ぶという、その選択以上の意味合いがありそうだ。

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