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COVID-19が介護サービスに与えた衝撃

📖 文献情報 と 抄録和訳

COVID-19が日本の在宅高齢者の介護サービス利用率に与える影響について

📕Ishii, Shinya, et al. "Impact of COVID-19 on long-term care service utilization of older home-dwelling adults in Japan." Journal of the American Medical Directors Association 24.2 (2023): 156-163. https://doi.org/10.1016/j.jamda.2022.12.008
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[背景・目的] COVID-19の発生は、長期療養(long-term care, LTC)サービスの提供に深刻な影響を与えた。本研究では、在宅の高齢者がLTCサービスを利用する際の影響を定量的に評価し、その関連要因を明らかにすることを目的とした。

[方法] 後方視的な反復横断研究。2019年1月から2020年9月までの月次請求からなる全国LTC保険総合データベースのデータ。中断時系列分析と分割負の二項回帰を採用し、15のLTCサービスごとの利用状況の変化を検討した。分析結果は、3つのサービスタイプ(訪問型、通所型、短期入所型)において、ランダム効果メタアナリシスにより統合した。

[結果] LTCサービスの利用は、非常事態宣言(state of emergency, SOE)が発令された2020年4月に減少し、その後、SOE解除後の6月に緩やかに回復した。LTCサービス利用の低下とSOEの間には有意な関連があったが、LTCサービス利用と感染拡大の状況との関連は限定的であった。サービスの種類はサービス利用の変化と関連しており、SOE期間中は訪問サービスよりも通所サービスやショートステイサービスの方がより急激に減少した認知症患者のサービス利用は、認知症でない患者よりも高く、特に通所とショートステイでは、SOE期間中に生じたサービス利用の減少を部分的に相殺する結果となった。

[結論] SOE期間中、LTCサービスの利用は大幅に減少した。その減少幅は、サービスの種類や利用者の認知症の重症度によって異なる。これらの知見は、LTCの専門家が脆弱なグループを特定し、感染予防対策によって好ましくない影響を緩和しながら、効果的な感染予防に向けた今後の計画の指針となるであろう。今後、LTCサービスの低下が高齢者に及ぼす影響を検証するための研究が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

最近、興味深いニュースが報道されていた。

奈良の鹿『お辞儀』で見える損得勘定「どのくらい餌がもらえるかでお辞儀回数変える」
鹿と人間の関係などを研究している奈良女子大学の上原春香さんと遊佐陽一教授らの研究結果によりますと、1回の餌やりあたりの鹿のお辞儀の平均回数は、コロナ前の2016年9月~2017年1月は10.2回だったのに対して、コロナ禍だった2020年6月~2021年6月は6.4回と減少したというのです(1か月約20頭調査)。

🌍 参考サイト >>> site.

鹿だって、変わっている。
人間が、変わらないということがあるだろうか。
今回の研究は、介護サービス利用率におけるCOVID-19の衝撃を明らかにした。

いわく、訪問型よりも通所型やショートステイに大きな影響が及んだとのこと。
確かに、自宅にいてサービスを受けられるのであれば、そちらの方が感染リスクは低いと思ってしまう。
この期間中、通所型やショートステイの運営は、大変なものだったろうと推察する。

さて、ここから復興。
おそらく、自然的にも徐々には利用率が戻っていくのだろう。
だが、今回の研究のような実態があることを知れば、もっと積極的な利用率の復調が期待できる。
まず、知りたい。

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