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デイサービスは、介護者を休ませる

▼ 文献情報 と 抄録和訳

一休みすること;客観的および主観的な介護からの解放時間としての成人向けデイサービスの日常的なレスパイト効果

Wylie, Molly J., et al. "Taking a Break: Daily Respite Effects of Adult Day Services as Objective and Subjective Time Away From Caregiving." The Gerontologist 61.8 (2021): 1231-1240.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] デイサービス(ADS)は、認知症患者の介護者に精神的・肉体的な安らぎを与えることができる。先行研究では、客観的および主観的な休息を別個の概念として捉えているものはほとんどなかった。本研究では、客観的および主観的な介護の休息が、介護者の日々の情緒的幸福とどのように関連しているかを調べた。

[方法] 週に2回以上ADSを使用している親族を持つ家族介護者(N = 173)が、8日間連続で毎日インタビューに参加した(N = 1,359)。参加者は、1日のレスパイト時間と1日の感情について情報を提供した。また、介護から解放される頻度や、一次的・二次的な介護ストレス要因(過負荷や仕事上の葛藤など)についても報告した。リサーチクエスチョンを検討するために、マルチレベルモデルを使用しました。

[結果] 介護者は平均して、ADSの日には7.12時間、ADS以外の日には1.74時間のレスパイトを報告した。ADSの利用状況やその他の共変量を考慮した結果、客観的なレスパイトが多いほどポジティブな感情が高く、主観的なレスパイトが多いほどネガティブな感情が低かった。さらに、仕事上の葛藤が大きい介護者は、客観的レスパイトの結果、ポジティブな感情がより高まることがわかった。

[結論] 介護者が被介護者から離れて過ごす時間と、介護からの解放をどのように認識しているかは、レスパイトの明確な構成要素である。客観的レスパイトと主観的レスパイトは、介護のユニークな側面であり、介護者にさまざまな影響を与える可能性がある。レスパイトは、仕事と介護の間で葛藤を抱えている介護者にとって特に有益であると考えられる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

人間にとって、余白は重要だ。
一気にまくしたてる漫才には、辟易としてしまう。
呼気があって、吸気できるのだ。
介護分野では、介護という仕事が介護者に与える問題が深刻になってきている。

・介護に時間や労力を取られることでの社会参加の制限
・身体的・精神的ストレスからうつ病リスク
・介護者も高齢者である場合、ヘルスリテラシーが低く、適切な介護ができない

ひとことで言えば、負担なのだ。
負担と休息は、セットにならねばならない。
だが、介護に休息はない。被介護者がいる限り、休息はない。
そこにレスパイトを与えうる仕組みがデイサービスだ。
そして、そのレスパイトにも「客観的」と「主観的」がある。
退院支援の重要な評価指標として、家族のレスパイト状況を組み込みたい。

あわてない、あわてない。一休み、一休み。
一休宗純

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