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筋骨格系リハ患者。鎮痛剤の使用状況は?


📖 文献情報 と 抄録和訳

筋骨格系のリハビリテーションを受けている人々の大規模サンプルにおける鎮痛薬の消費量:記述的研究

📕Konzelmann, Michel, et al. "Analgesic consumption in a large sample of people in musculoskeletal rehabilitation: A descriptive study." Annals of Physical and Rehabilitation Medicine 67.1 (2024): 101776. https://doi.org/10.1016/j.rehab.2023.101776
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🔑 Key points
🔹筋骨格系のリハビリのために入院した人の60%が鎮痛剤を服用していた。
🔹鎮痛剤を使用している人の20%がオピオイドを服用していた(主にトラマドール)。
🔹入院者の20%は鎮痛剤を服用していない。
🔹鎮痛剤を服用している人は、痛み、不安、疼痛破局感が強かった。
🔹これらの因子は、リハビリテーションにおいて学際的な管理によって修正することができる。

[背景・目的] がん以外の慢性疼痛を有する患者におけるオピオイドの使用量は世界的に増加しているが、その有効性については議論がある。目的:本研究の目的は、データのない筋骨格系リハビリテーション分野において、鎮痛薬の消費量と様々な変数(人口統計学的変数、疼痛、不安/抑うつ、疼痛破局感、運動恐怖症)との関連を評価することである。

[方法] これは、受傷後のリハビリテーションのために入院した人々を対象とした8年間の後方視的研究である。参加者は3つのカテゴリーに分類された:鎮痛薬なし(NA)、非オピオイド鎮痛薬(NOA)、オピオイド鎮痛薬(OPA)。3群の比較にはANOVAまたはカイ二乗検定を用いた。

[結果] 合計4,350人(84%男性;平均[SD]年齢44[11]歳)が対象となった。20%がOPA、40%がNOA、40%がNAを服用していた。OPA群では主にトラマドールが使用され、モルヒネ換算中央値は8.3mg/日であった。NOA群では、主にパラセタモールとイブプロフェンが使用された。

症状は3群(NA/NOA/OPA)で漸増し、疼痛の重症度/干渉性、不安/抑うつ、疼痛破局感のレベルが上昇し、OPA群では神経障害性疼痛の有病率が他群に比べて高かった。

[結論] これらの結果は、多量のオピオイドを服用し、オピオイド減量または中止プログラムに従っている慢性疼痛患者群にみられる結果と一致している。オピオイド処方は8年間増加しなかった。これらの因子は、リハビリテーションの場で学際的な管理によって修正することができるため、強調すべき重要な因子である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

しばしば、論文の査読において「鎮痛剤の使用を調査していないけど、なんで?」というコメントをもらうことがある。
「そんなに影響あるのかな?」と思ったりすることもあったし、どのくらいの人が鎮痛剤を使用しているのかも知らなかった。
今回の論文は、そんな鎮痛剤についての基礎知識を与えてくれる論文だった。

その結果によれば、約6割の人がなんらかの鎮痛剤を使用しており、鎮痛剤を使用している人は、当然のことだが疼痛の重症度が大きく、興味深いところとして、疼痛破局感や不安、抑うつといった心理社会的な因子への影響も大きそうだった。
そんな鎮痛剤である。
確かに、疼痛や運動をアウトカムとした場合には、その患者背景として知っておいた方が良さそうだし、交絡因子にもなりえると感じる。

臨床レベルにおいては、鎮痛剤の使用状況は、ただ疼痛を知るのみにあらず、その患者の心理社会的因子を推し量る上での重要な情報の1つとなりえる。
臨床上も、ぜひ収集しておきたい項目の1つである。

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