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脳卒中者に対する有酸素運動の効果


📖 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中後の心血管系の健康と運動能力を促進するための有酸素運動介入

📕Moncion, Kevin, et al. "Aerobic exercise interventions for promoting cardiovascular health and mobility after stroke: a systematic review with Bayesian network meta-analysis." British Journal of Sports Medicine (2024). https://doi.org/10.1136/bjsports-2023-107956
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[背景・目的] 脳卒中後の心肺機能(V̇O2peak, 主要アウトカム)、収縮期血圧(systolic blood pressure, SBP)、運動能力(6分間歩行試験(6 min Walk Test, 6MWT)距離、10m歩行速度(快適速度))など、脳卒中回復の主要アウトカムに対する有酸素運動(aerobic exercise, AE)介入の優越性を明らかにすること。

[方法] データ情報源 MEDLINE、EMBASE、Web of Science、CINAHL、CENTRAL、SPORTDiscus、PsycINFO、AMED Allied and Complementary Medicineを開始時から2023年2月まで検索した。適格基準 脳卒中後患者において、あらゆるAE介入(低強度、中強度、高強度継続トレーニング(high-intensity continuous training, HICT)、高強度インターバルトレーニング(high-intensity interval training, HIIT))の効果を、運動なし、通常ケア、その他のAE介入と比較した無作為化対照試験を対象とした。解析 ベイズネットワークメタ解析(network meta-analysis, NMA)法による系統的レビューを採用した。累積順位曲線下表面(Surface under the cumulative ranking curve, SUCRA)値を用いて介入をランク付けした。NMAのためのGrading of Recommendations,Assessment,Development and Evaluationの最小限の文脈化された枠組みに従った。

✅ 運動強度の定義
・AE強度は、報告されたパーセンテージ心拍数最大値(HRmax)またはHRR、または主観的運動強度(RPE)に基づき、低(<54% HRmax、<40% HRR、<11/20 RPE)、中(55%~69% HRmax、40%~59% HRR、12~15/20 RPE)、高(>70% HRmax、>60% HRR、>15/20 RPE)と定義し、決定セットに含めた。

[結果] V̇O2peakについては28の研究(n=1298)、SBPについては11の研究(n=648)、6MWTについては28の研究(n=1494)、10m常用歩行速度については18の研究(n=775)がNMAに含まれた。V̇O2peak、6MWT、10m常用歩行速度に対する最大の効果は、HIITとHICTの後に観察された。SBPについては介入間の差は認められなかった。

SUCRA値では、HIITがすべてのアウトカムにおいて優れたAE介入であることが確認された。HIITは通常ケアと比較して、V̇O2peakの改善(2.9mL/kg/分(95%信頼区間0.8~5.0)中程度の確実性)において最も効果的な介入であった。

[結論] このNMAは、脳卒中後の転帰を改善するためには、高強度のAEが従来の低強度~中強度のAEよりも優れていることを示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「有酸素運動と無酸素運動(筋力トレーニング)を併行すると、健康ベネフィットが大きくなるので、是非両方ともやってください」

そのような指導をすることがある。
そして、有酸素運動の場合、その量的な指導はまあまあなされる。

「推奨される歩数は〇〇歩くらいですので、それを目標にして歩きましょう」

といった具合に。
ただし、『運動強度』については、あまり突っ込んだ指導はしてこなかった。
今回の抄読研究は、脳卒中者の有酸素運動において、どのような運動強度が推奨されるかの参考になるデータを示してくれた。
その結果によれば、やはりというか、『高強度』であった。
高強度の定義は、>70% HRmax、>60% HRR、>15/20 RPE。
主観的な運動強度(Borg Scaleなど)が使いやすいかもしれない。

今回の結果で注目すべきことは、低強度ではどのアウトカムに対しても有効ではなかった、という点だ。
せっかく運動をするのだから、有効な方法でやりたいものだ。

苦労する身は 何いとわねど
苦労し甲斐の あるように

高杉晋作

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