緑地と骨粗鬆症リスク
📖 文献情報 と 抄録和訳
住宅地の緑地と骨密度および骨粗鬆症との関連:遺伝的感受性の修飾効果
[背景・目的] 住宅の緑地と骨密度および骨粗鬆症の発症との関連を調査し、さらに遺伝的感受性の修飾効果の可能性を評価する。
[方法] 緑の豊かさの指標として、300m(NDVI300m)、500m(NDVI500m)、1000m(NDVI1000m)、1500m(NDVI1500m)を含む様々な緩衝距離における正規化差植生指数(NDVI)を用いた。推定骨密度(eBMD)、骨粗鬆症有病者、骨粗鬆症発症との関連を評価するために、それぞれ線形回帰、ロジスティック回帰、Cox比例ハザードモデルを適用した。骨粗鬆症の多遺伝子リスクスコア(PRS)を用いて、さらに骨粗鬆症リスクに対する遺伝的リスクと緑の多さの共同効果を評価した。潜在的な媒介因子を探索するために因果媒介分析を行った。
[結果] 緑の多さと骨粗鬆症の発症率との間に単調な関連があることが示された。
NDVI300mの各IQRの増加は、eBMDの0.0007(95%CI 0.0002~0.0013)増加、骨粗鬆症有病者リスクの6%低下(OR 0.94;95%CI 0.92~0.97)、骨粗鬆症発症リスクの5%低下(HR 0.95;95%CI 0.93~0.98)と関連していた。骨粗鬆症のリスクに対する緑度とPRSの共同効果は、明確な用量反応パターンを示した。NDVIレベルが低く遺伝的リスクが高い個体と比較して、NDVIレベルが高く遺伝的リスクが低い個体は、骨粗鬆症のリスクが56%(95%CI 51%~61%)低かった。緑の多さと骨粗鬆症発症との関連における主要な媒介因子は、PM2.5とNO2であった。さらに、効果は小さかったが身体活動、神経症スコアによっても部分的に媒介されることが判明した。
[結論] 住居の緑地化は、より高い骨密度および骨粗鬆症発症リスクの低下と関連していた。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
今回の抄読研究の結論は、不思議だ。
緑が豊かだと、骨粗鬆症リスクが低減する。
Why?
緑地と骨粗鬆症リスクが、どうして関連するのか。
いくつかの仕組みがあるのだろうと思うが、今回は身体活動による媒介に注目したい。
おそらく、以下の仕組みがあるように考える。
そう考えると、緑地は活動へのトリガーとなっている。
言い換えると、環境因子である「緑地」が活動である「散歩・身体活動」を促している。
以前、犬の威力について抄読した際に、このような機能を『AP-Trigger』と名付けた。
緑地は、まさにAP-Triggerの1つであろうと思う。
これから居住地を決める人は、参考にされたい。
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