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フレイルと骨折リスク


📖 文献情報 と 抄録和訳

フレイル状態、座りがちな行動、新規骨折リスク

📕Zhou, Jian, et al. "Frailty status, sedentary behaviors, and risk of incident bone fractures." The Journals of Gerontology, Series A: Biological Sciences and Medical Sciences 79.9 (2024): glae186. https://doi.org/10.1093/gerona/glae186
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[背景・目的] 身体的なプレフレイルおよびフレイルと骨折との関連、および座りがちな生活様式の修正効果については、依然として不明な点が多い。本研究は、身体的なプレフレイルおよびフレイルと新規骨折リスクとの関連を調査し、座りがちな生活様式およびその他のリスク因子の修正効果を検証することを目的として実施された。

[方法] このコホート研究には、2006年から2010年の英国バイオバンク研究のベースライン時に骨折していない413,630人が参加し、2021年まで追跡調査が行われた。参加者の平均年齢は56.5歳であった。登録された参加者のうち女性は224,351人(54.2%)であり、白人参加者は376,053人(90.9%)であった。 プレ・フレイルおよびフレイルと、総骨折、大腿骨近位部骨折、脊椎骨折、その他の骨折との関連性を分析するために、3つのCox回帰モデルが構築された。

[結果] 身体的フレイル指数と総骨折発生率(p-linearity < 0.001)、大腿骨近位部骨折(p-linearity < 0.001)、椎体骨折(p-linearity < 0.001)、その他の骨折(p-linearity < 0.001)との間に正の線形関係が認められた。

非フレイルグループと比較すると、多変量調整ハザード比は、プレフレイルグループで1.17(95%信頼区間[CI]:1.14–1.21)、フレイルグループで1.63(95% CI:1.53–1.74)であった(p-trend <0.001)。さらに、座位行動時間が長いほど、プレフレイルおよびフレイルと骨折総数(p-相互作用 <.001)、大腿骨近位部骨折(p-相互作用 = 0.013)、その他の骨折(p-相互作用 <.001)との関連が有意に強まることが判明した。

[結論] 本研究の結果は、身体的プレフレイルおよびフレイルが骨折リスクの上昇と関連していることを示している。このような関連性は、座位行動時間が長い人々においてより顕著であった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

フレイルとは、加齢によって心身の活力が低下し、要介護状態に近づいてきた状態を指す。
健康と要介護の中間に位置し、放っておくと要介護につながる危険性が高まる。
フレイルの主な特徴には、体重減少、疲れやすい、歩行速度の低下、握力の低下、 身体活動量の低下などがある。

フレイルによる弊害は、様々な報告があり、文献抄読した中でも、死亡率、入院期間、自宅退院、院内合併症、社会参加、要介護認定、死亡リスクなどとの関連が報告されていた(関連note参照)。
そして、今回の抄読研究においては、骨折リスクとの関連について明らかにされた。
その結果としては、フレイル重症度とあらゆる骨折リスクとの関連が明らかとなった。
骨折をすると、その後のフレイルリスクもさらに高まる、悪循環である。
この悪循環に入らないためにも、まずは予防的にフレイルの重度化を防いでいきたい。

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