見出し画像

腰痛の原因信念。その種類と研究数の調査

📖 文献情報 と 抄録和訳

腰痛の原因は何だと考えられているのか?スコープ・レビュー

📕Grøn, Søren, et al. "What do people believe to be the cause of low back pain? A scoping review." Brazilian Journal of Physical Therapy (2023): 100562. https://doi.org/10.1016/j.bjpt.2023.100562
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Connected Papers
※ Connected Papersとは? >>> note.

🔑 Key points
🔹腰痛に関する原因信念の測定には高いばらつきがある。
🔹原因信念を他の信念領域から明確に分離する測定法は存在しない。
🔹原因信念と健康アウトカムとの縦断的な関係を調べた研究が不足している。
🔹原因信念は、複雑な信念構成要素の一要素に過ぎず、その独自の関連性を判断できる定量的証拠はほとんどない。

[背景・目的] 非特異的腰痛(LBP)に関する原因信念がどのように定量的に調査されているかを探ること。

[方法] JBI(旧Joanna Briggs Institute)のガイドラインに基づいたスコープレビューを実施した。Medline、Embase、Psychinfo、CINAHLで関連研究を検索し、成人の非特異的腰痛に関する原因信念を測定し、他の信念領域とは別に結果を報告している査読付き原著論文を対象とした。

[結果] 合計81件の研究が含まれ、そのうち62件(77%)が横断的デザイン、11件(14%)がコホート研究、3件(4%)がランダム化比較試験、4件(5%)が非ランダム化比較試験、1件(1%)が症例対照であった。研究目的の中で原因、誘因、または病因について明確に言及した研究は15件のみであった。原因信念の尺度が得られる6つの質問票の使用が確認された。最も頻繁に使用された質問票はIllness Perception Questionnaireで、対象研究のうち8研究で使用されていた。

■ 腰痛の原因信念のカテゴリー

■ 腰痛の原因信念の研究数
🥇 構造的損傷または障害 45件(56%)
🥈 持ち上げと屈み 26件(32%)
🥉 精神的または心理的 24件(30%)

[結論] 原因信念の測定方法には大きなばらつきがあり、原因信念を調査するためにデザインされた研究や、そのような信念と患者の転帰との縦断的関連を決定する研究は不足している。このスクーピングレビューは、エビデンスのギャップを明らかにし、この分野における今後の研究を促すものである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

腰痛の原因を考えたときに、ついつい、それは内的なものに向きやすいと思う。
内的なものというのは、その患者さん自身の「動き方」や「病態」や「筋力」などなど…。
そして、今回の原因信念のランキングにおいても上位3つは内的なものに向いている。

だが、今回の研究のカテゴリーを見て分かる通り、腰痛の原因として考えられるのは、決して内的なもののみではなく、作業要求や外部環境といった外的なもの、そして一般的な健康やライフスタイルといった内的ではあるがかなり俯瞰したものなどもある。
大切なことは、広い視野も持ち合わせておくこと、だと感じた。
広い視野も持ち合わせた上で、そこから病態レベルに深く入っていく、外的な要因に深く入っていく、ということをすればいい。
全体のマップは、広く、網羅的で、漏れのないものを持ちたい。

⬇︎ 関連 note✨

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●○
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び

この記事が参加している募集

最近の学び