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臨床実践ガイドラインの使用を妨げる障壁


📖 文献情報 と 抄録和訳

臨床診療ガイドラインの使用を妨げる障壁:デンマークの理学療法士とカイロプラクターの質的研究

📕Hubeishy, Maja Husted, et al. "Barriers to the use of clinical practice guidelines: a qualitative study of Danish physiotherapists and chiropractors." Disability and rehabilitation (2022): 1-10. https://doi.org/10.1080/09638288.2022.2157501
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🔑 Key points
🔹リハビリテーションへの示唆生物心理社会モデルの導入を成功させるためには、理学療法士とカイロプラクターが、自分たちの中核となる仕事と専門家としてのアイデンティティを構成するものは何かを考えることが重要である。
🔹ガイドラインに対する懐疑的な見方を克服するために、ガイドラインの適用可能性を向上させるためには、推奨事項をどのように個別化できるかを詳しく説明する必要がある。
🔹教育機関のプログラムに生物心理社会モデルを組み込み、理学療法士やカイロプラクターにそのスキルを向上させるためのトレーニングを提供することが重要である。

[背景・目的] 腰痛(LBP)は世界的に身体障害の主な原因である。腰痛患者に対してエビデンスに基づいた診療(EBP)を行うことは、非EBP患者に比べて費用対効果が高い。医療従事者がEBPを実施できるように、いくつかの臨床診療ガイドラインが発表されている。しかし、これらのガイドラインの普及率は、各国とも比較的低いことが確認されている。本研究の目的は、EBPの今後の実施を促進するために、臨床診療におけるLBPガイドラインの使用に対する障壁を探ることであった。

[方法] 障壁を深く理解するために、質的構成主義的グラウンデッド・セオリー・デザインを採用した。中央デンマーク地域のプライマリケアに従事する9名の理学療法士と9名のカイロプラクターを対象に、半構造化面接(+/-観察)を行った。

[結果] (1)理学療法士の間で特に顕著であった、ガイドラインの妥当性や適用性に対する疑念による懐疑心(2)カイロプラクターの間で特に顕著であった、認識された役割、関心、スキル不足、患者の好みによる、深いバイオメカニクス専門家としてのアイデンティティ

[結論] ガイドラインがよりよく実践されるためには、これらの主要な障壁に合わせた戦略で対処する必要がある。さらに、本研究では2つの職種間で障壁に違いがあることが示された。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

この研究が面白いのは、職種間で臨床実践ガイドライン使用の障壁が異なる可能性を示したところだ。
すなわち、職種によって臨床実践ガイドラインの使用を促す戦略が異なってくるかもしれない。
そして、もしかしたら同じ理学療法士の中にも、その職場、職場によって障壁は異なる可能性もある。

いま、その環境における障壁をしっかり把握して、それに対して効果的な手段を講じていくこと。
それが重要だということを、思わせてくれた論文だ。

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