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高齢者の転倒予防・管理の世界的ガイドライン

Super Human | 理学療法士／保健学博士 Ph.D.

📖 文献情報 と 抄録和訳

高齢者の転倒予防と管理のための世界ガイドライン：世界的な取り組み

📕Montero-Odasso, Manuel, et al. "World guidelines for falls prevention and management for older adults: a global initiative." Age and ageing 51.9 (2022): afac205. https://doi.org/10.1093/ageing/afac205
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[背景・目的] 転倒や転倒に関連した傷害は高齢者に多く、機能的自立や生活の質に悪影響を及ぼし、罹患率、死亡率、医療関連費用の増加に関連している。現在のガイドラインには一貫性がなく、世界的に通用する最新のものは存在しない。目的：高齢者に適用可能な、エビデンスと専門家のコンセンサスに基づいた転倒予防・管理に関する推奨事項を作成し、医療従事者やその他の専門家が使用できるようにする： (i)生活経験を持つ高齢者、介護者、その他の利害関係者の視点を含む人中心アプローチ、(ii)以前のガイドラインにおけるギャップ、(iii)e-ヘルスにおける最近の発展、(iv)低・中所得国など資源へのアクセスが限られている場所での実施。

[方法] 高齢者を含む専門家および利害関係者からなる運営委員会および世界的な学際的グループが集められた。老年医学会および老年学会の代表も参加した。修正デルファイ法を用いて、11のトピック別ワーキンググループ（WG）、10のアドホックWG、高齢者の視点を扱うWGからの提言が検討され、洗練された。最終的な勧告は投票によって決定された。

[結果] 提言：すべての高齢者は、転倒予防と身体活動に関する助言を受けるべきである。地域在住の高齢者には、転倒リスクの機会的ケースファインディングが推奨される。

■ 高齢者の転倒リスク評価予防・管理のためのアルゴリズム

■ 転倒リスクの高い地域在住高齢者に対する介入

■ 強い推奨 GRADE IA (高品質のRCTに基づいており、望ましい効果が明確)
地域在住高齢者の転倒予防のための運動プログラムは、バランス感覚を向上する運動や機能的な運動(例えば、座位から立位、ステップ運動)を含む、少なくとも12週間以上は個人に合わせて強度を上げ、より大きな効果を得るためにはより長く継続し、週3回以上実施されるべきである。

その他の推奨は、アセスメントと介入の構成要素や組み合わせの詳細、特定の設定や集団に対する推奨を網羅している。結論推奨の中核をなす一連の勧告は、地域の状況と資源の両方を考慮した柔軟な実施戦略を必要とする。

[結論] 世界の人口は高齢化している。転倒とそれに関連する傷害はますます一般的になっており、その予防と管理は世界的に重要な課題となっている。高齢者は転倒後に受診しないこともあり、また転倒を報告したがらないこともあるため、機会的な症例発見が必要である。個人の危険因子に合わせた多領域介入を実施すると効果的である。転倒とその管理に関する高齢者の信念、態度、優先事項への関与は不可欠である。これらの推奨事項のいくつかは、低資源環境や国のニーズに合わせて修正が必要かもしれない。

🌱 So What?：何が面白いと感じたか？

被引用数、というその論文がどれだけ他の論文に引用されているか、というパラメータがある。
このパラメータは、重要だ。
なぜなら、この数字が大きいほど、当該研究が後世に生かされている、影響を与えている、と判断できるからだ。
そして、臨床研究の大きな大きな目的の１つは、人類全体の営みに参加することであって、個別（１つの論文）の発見を全体の武器にしていくことなのである。

その被引用数において、この論文は、2022年に出版され、まだ2年間しか経っていないにも関わらず、すでに “778” なのである。
この数字がどの程度のものなのかは、臨床研究にタッチしていない人にはわかりにくいかもしれない。
参考までに、2018年に筆者が出版した論文の被引用数は “12” であり、2023年に出版した論文の被引用数は “1~3” である。
よほどのオバケ論文といえる。
さらに、高齢者の転倒予防・管理という理学療法士にとって最重要とも言えるテーマ。
これは、必読のガイドラインと言えそうだ。

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