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機械による痙縮評価

📖 文献情報 と 抄録和訳

痙縮の技術支援評価:システマティックレビュー

📕Guo, Xinliang, et al. "Technology-assisted assessment of spasticity: a systematic review." Journal of NeuroEngineering and Rehabilitation 19.1 (2022): 1-17. https://doi.org/10.1186/s12984-022-01115-2
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[背景・目的] 痙縮は、「速度に依存した緊張性伸張反射(筋緊張)の増大と、誇張された腱の引き攣れによって特徴付けられる運動障害」と定義されている。脳卒中やその他の神経学的疾患の後遺症として、非常によく見られる症状。痙縮の臨床評価は、主に手動の非計器的な臨床尺度に依存している。この数十年の間に、より具体的で感度の高い、正確な代替手段を提供する技術ベースのソリューションが開発されたが、これらの異なるアプローチに関するコンセンサスは存在しない。

[方法] 痙縮の評価を目的とした技術に基づく方法に関する文献の系統的レビューを実施した。研究において採用されたアプローチは、使用された方法とその結果指標に基づいて分類された。報告された方法と結果尺度の心理測定学的特性と使いやすさを評価した。

[結果] 124の研究が分析に含まれた。78の異なる結果指標が同定され、そのうち7つはそれぞれ10以上の異なる研究で使用されていた。

■ 使用された機器
・純粋に測定装置という意味では、筋電図が最もよく使用されており(N = 83)、次いでゴニオメーター(N = 26)と慣性計測装置(N = 17)、ダイナモメーター(N = 8)、最後に超音波またはメカノミグラフィー(N = 7)であった。

■ 測定法の種類(図a)
・大多数の研究が運動学的測定(KI、N = 105)、次に筋活動測定(MA、N = 83)、次に力/トルク(FT、N = 64)、そして少数の研究が固有筋特性(MP、N = 8)を使用していた(図2aを参照)。
・最も一般的な組み合わせは、運動学と筋活動(N = 63)、運動学と力/トルク(N = 56)であった。

■ 伸張の種類と主要な伸張区分の内訳(図b)
・ほとんどの研究は、手による四肢のストレッチ(N = 60)または制御された機械によるストレッチ運動(N = 45)のいずれかに依存していた。
・少数の研究(N = 14)は、自発的な動作に頼っていた。
・主なストレッチのカテゴリーを比較すると、機械のよる制御されたストレッチを使用するすべての方法は、ストレッチシステムによって直接提供され制御されるため、運動学的測定に頼っていた。
・制御された機械によるストレッチでは、ManualストレッチよりもForce/Torqueの計測が多く用いられています。
・一方で、徒手的伸張では、Force/Torqueの代わりにMuscle Activityをより頻繁に使用する傾向にあった。

■ 方法を適応した関節(図c)
上肢または下肢の関節に等しく適用されたが(52%対48%)、より遠位の関節に適用されることがはるかに多く、肩に関する研究はわずか2件、股関節に関する研究は4件だった(図cを参照)。
指の関節に適用された研究は4件のみであった。

■ アウトカム評価(図d)
・最も大きなカテゴリーは、様々な条件で測定された抵抗トルク、または伸張角度や速度に対する力/トルクの変化で、力/トルクレベルの結果(N = 51)を包含している。
・36の研究が筋活動レベルを、19がキャッチアングルを、16がEMGオンセットの存在を、15がTonic Stretch Reflex Threshold(TSRT)を、時には関連するTonic Stretch Reflex Slope(TSRS)を報告した。

[結論] 多様な評価方法の開発は、その慎重な評価を犠牲にして行われているように思われる。しかし、十分に検証されたアプローチのうち、手技によるストレッチと筋活動反応の測定に基づくもの、および伸張反射トルク成分を分離しながら制御されたストレッチを活用するものは、臨床尺度に代わる有望な実用的アプローチであると思われる。これらの方法は、その可能性を十分に伝えるために、感度を含めてさらに評価する必要がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

機械は間違えない。
だから、審判に最適だ。機械は責められることなどはないだろう。間違えないのだから。
その意味で、痙縮の評価はいずれ、人間から機械に置き換えられるだろうと思う、間違えない方が良い領域だと思われるから。
でも、機械はつまらない、面白くはない。そこに価値は少ないと感じる。それは単に、誰かにセットされた予定通りのふるまいであるきすぎない。
近年は、人工知能などと言って、やや面白くなってきているようだが。

人間は間違える。ファジーな存在だ。
だから、厳正なる審判には向かない。彼自身の価値を、出したくなってしまうだろうから。
でも、彼は面白い。予定調和を故意的にではなく、ぶっ壊すから。ズレちゃうことが価値。コロンブスが機械だったら、予定通りジパングに着いて、アメリカ大陸が発見されることはなかっただろう。
航路がいろんな方向にズレることが次の発展の萌芽で、創造の酵母。
だから、標準化の際は、その人間らしい価値を失わないことを、慎重に留意し、システムに組み込むことを検討した方がいい。

この数十年で、機械は人間に近づき、人間は機械に近づいた。
機械はその良さを保ったまま、人間に近づきつつある。
人間は、標準化とか、効率化とかいって、機械の領分に立ち入りつつある。
そのとき、僕たちは人間の良さを失わずにいられるだろうか。
どう思う。どうしたらいいと思う。
僕は考えていきたい。

everything's a metaphor(世界の万物はメタファーである)
ゲーテ

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