母趾外転筋を最も活性化する運動は?
📖 文献情報 と 抄録和訳
9種類の足部運動における母趾外転筋の活性化と内側縦アーチ角の比較
[背景・目的] 足部内在筋は、内側縦アーチ(medial longitudinal arch, MLA)を支持し、足部を安定させることが知られており、体重負荷や姿勢負荷の増加に伴って活性化する。様々なタイプの足部内在筋トレーニングが報告されているが、その中でも最も有用なものの1つであるショートフットエクササイズは、効果的に実施することが難しく、練習が必要であるため、通常の臨床現場で実施することは困難である。研究課題体重支持とバランス状態を採用した足部内在筋エクササイズを最小限の練習で実施した場合、母趾外転筋(abductor hallucis longus, ABH)の筋活動とMLA角度にどのような違いが生じるか?
[方法] 16名の健康なボランティアが9種類の足部内在筋エクササイズを1~2回練習した。
これらの運動は、座った状態と立った状態の両方で行われた。各運動は5秒間3回行った。
ABH筋の活動は表面筋電図(EMG)センサーを用いて測定し、運動中のMLA角度は光学式モーション・トラッキング・システムを用いて捉えた。ABH筋のEMG信号の積分値を算出した。
[結果] ABH筋電図信号の積分値と最大値にエクササイズ間で差が認められた(p < 0.001)。ポストホックペアワイズ解析の結果、スイング運動中のEMG活動は、つま先開脚以外の運動、立ち上がりと立ち姿勢の両方、および立ったまま押すショートフットエクササイズ中よりも大きかった。
各運動中のMLA角度の最小値は、座位でつま先を広げる運動の方が他の運動よりも小さかった(p<0.023)。
[結論] 片足スイング運動は、特に集中的な監督下での理学療法が不可能な場合に、足部内在筋のセルフエクササイズに有効である可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
是非、やってみて欲しいのだがショートフットエクササイズは、難しい!
なかなか上手くできないので、たとえば患者さんの自主トレに組み込む場合にはその効果性は落ちやすいだろう。
じゃあ、どんな運動がいいか?
そんな臨床疑問を明らかにしたのが、今回の抄読研究である。
9種類の足部運動における内側縦アーチを支持する代表的な筋である母趾外転筋の筋活動を比較した。
その結果、ショートフットエクササイズより、筋活動を賦活する運動が明らかになった。
それは、『立位でのスイング運動』である。
そして、この運動も是非やってみて欲しいのだが、簡単である!
この運動であれば、失敗は少ないだろうと感じる。
難易度が低く、効果(筋活動)は高い、是非組み込みたいエクササイズである。
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