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バリスティック運動の威力


📖 文献情報 と 抄録和訳

バリスティック運動と高負荷レジスタンス運動のプロトコル: 翌日の神経筋パフォーマンス向上にはどちらのレジスタンスプライミングが効果的か?

📕Nishioka, Takuya, and Junichi Okada. "Ballistic Exercise Versus Heavy Resistance Exercise Protocols: Which Resistance Priming Is More Effective for Improving Neuromuscular Performance on the Following Day?." The Journal of Strength & Conditioning Research (2022): 10-1519. https://doi.org/10.1519/JSC.0000000000004512
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[背景・目的] 本研究は、24時間後のバリスティック運動プライミング(ballistic exercise priming, BEP)高強度筋力トレーニングプライミング(heavy resistance priming, HRP)のどちらがバリスティックパフォーマンス向上に効果的かを明らかにすることを目的とした。

[方法] 筋力トレーニングを受けている男性10名を対象に、72~144時間間隔でBEPとHRPの条件を無作為かつカウンターバランスの順序で実施した。BEPおよびHRPセッションの前と24時間後に、0および40%1反復最大(1RM)スクワットジャンプ(SJ)、0および40%1RMカウンタームーブメントジャンプ(CMJ)、ドロップジャンプ(DJ)反応性筋力指数(RSI)を用いて、跳躍パフォーマンスを評価した。統計的有意性はp≦0.05とした。

✅ バリスティック運動と高強度筋力トレーニング
<バリスティック運動:Ballistic Exercise Priming: BEP>
・1セットあたり4回の連続反復と40%1RMのジャンプスクワットを3分間の休息で5セット
・被験者には、ジャンプスクワットを膝角度90°の反動で行い、下降期と上昇期には「できるだけ強く速く」地面を押すように指示した。
<高強度の筋力トレーニング:Heavy resistance priming: HRP>
・1セットあたり2回の反復と60%1RMのハーフスクワットを1セット、続いて1セットあたり2回の反復と85%1RMのハーフスクワットを3分間の休息で3セット)。

[結果] BEP条件では、0%1RM CMJの高さ(+3.62%)、プライミングセッション24時間後のCMJから得られた理論的最大速度(+5.14%)および理論的最大パワー(+2.55%)は、ベースライン時のものよりも有意に大きかったが(p≦0.05)、0%1RM SJの高さおよびDJ RSI(p>0.05)は、ベースライン時のものよりも大きくなかった。HRP条件では、ジャンプのパフォーマンスは改善しなかった(p>0.05)。BEP条件における0% 1RM CMJ高さの変化率は、HRP条件における変化率よりも有意に大きかったが(p = 0.015)、0% 1RM SJ高さとDJ RSIについては差がなかった(p > 0.05)。

[結論] これらの結果は、24時間後のCMJパフォーマンスの改善において、BEPがHRPよりも効果的であることを示唆している。したがって、実施者は、翌日のアスリートのパフォーマンスを向上させる計画を立てる際には、高負荷の伝統的なエクササイズではなく、低負荷のバリスティック・エクササイズを用いたレジスタンス・プライミングの処方を検討すべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

下肢骨折で入院していた若者で、退院前にランニングの練習を行ったことがある。
その際に、その患者さんは「めちゃめちゃ筋肉痛になりました」と訴えてきた。
ランニング導入以前も、高強度に筋力トレーニングを行っていたにもかかわらず、である。

そんな経験が何度かある。
やはり、反動や跳躍を含まない筋力トレーニングと、それらの要素を含むバリスティック運動では、大きく機能需要が異なるのだろうと思う。
力学的、理論的に考えても、そうだ。
筋力トレーニングにおいては筋実質部分の収縮-弛緩が大きく関わりそうだが、バリスティック運動ではインターナルショートニング(筋腱複合体において筋は収縮して腱が伸長する現象)を含む筋腱移行部、あるいは腱実質が大きく関わりそうだ。

そして、今回の抄読研究は、介入研究によって、カウンタームーブメントジャンプに対しては、バリスティック運動が効果的であることを明らかにした。
アウトカムとなる動作の機能需要がバリスティックに近いのであれば、直前に行う運動としては類似の運動が良さそうだ。
特異性の原則、である。

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