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あなたのカルテ記載は,研修生の偏見に影響を及ぼす


📖 文献情報 と 抄録和訳

理学医学・リハビリテーション研修生におけるカルテのバイアスの伝播

📕Qin, Evelyn, et al. "Transmission of Bias in the Medical Record Among Physical Medicine and Rehabilitation Trainees." American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation (2023): 10-1097. https://doi.org/10.1097/PHM.0000000000002186
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[背景・目的] 汚名を着せるような言葉(スティグマ)は、医療提供者の患者に対する態度やケアに悪影響を及ぼす可能性があるが、理学療法士の間では研究されていない。スティグマ化された言葉が理学療法士およびリハビリテーション科研修生の患者に対する態度に影響を与えるかどうかを評価するために、オンライン調査を作成した。われわれは、汚名を着せるような言葉は研修生の態度にマイナスの影響を与えるという仮説を立てた。

[方法] 参加者は、同じ脊髄損傷患者を想定した、汚名を着せる言語と中立的な言語のヴィネットに無作為に割り付けられた。患者に対する態度や思い込み、描写に基づく疼痛管理、障害者に関する一般的な見解について質問を行った。

✅ 否定的な言語カテゴリーと例 & 代替表現

📕Park, Jenny, et al. JAMA Network Open 4.7 (2021): e2117052-e2117052. >>> doi.

✅ 医療提供者の患者に対する態度尺度の質問項目

📕P Goddu, Anna, et al. Journal of general internal medicine 33 (2018): 685-691. >>> doi.

[結果] 2021年8月から2022年1月にかけて、米国の理学医学・リハビリテーション75人が参加した。37人(49.3%)が女性であり、52人(69.3%)が白人で、半数(50.6%)がスティグマ化された描写を受け取った。スティグマ的な表現に接した参加者は、中立的な表現に接した参加者と比較して、患者に対する医療提供者の態度尺度の得点が4.8点低かった(P < 0.01)。障害に対する態度尺度では、両群間に有意差はみられなかった(P = 0.81)。

[結論] これらの所見は、カルテ中の汚名を着せるような表現が、理学療法士およびリハビリテーション訓練生の患者に対する態度に悪影響を及ぼす可能性があることを示しているのかもしれない。研修生を教育し、カルテにおける偏見の伝播を減少させる最善の方法を特定するためには、さらなる検討が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

実習生や新人に対しては、指導の際に理想を語りがちだ。
「患者さんに尊厳を持って接するように」
「“高齢者なのに(の割に)〇〇”とかは使わないように」
「話す態度に気をつけるように」

とか。

だが、生き物は“言われた通り”になるものではない。
たとえば、母から高レベルの育児行為を受けた子ネズミは、自分の子に高レベルの育児行為を与えていた。
そして、その結果はなんと、乳児交換しても同じ結果だった❗️

生き物は、言われた通りではなく、“養育者にされた通り”、もしくは“養育者のしている通り”になる可能性が高い。
今回の論文は、その主張を支持するものだった。
ネガティブなカルテ記載を見た実習生は、患者に対してネガティブな態度を持つようになった。
いうことより、することに気をつけていきたいものだ。

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