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スマホによる動作解析のいま


📖 文献情報 と 抄録和訳

健常歩行と病的歩行における下肢関節運動学的定量化のためのスマートフォンを用いたマーカーレスモーションキャプチャーの同時有効性

📕Horsak, Brian, et al. "Concurrent validity of smartphone-based markerless motion capturing to quantify lower-limb joint kinematics in healthy and pathological gait." Journal of Biomechanics (2023): 111801. https://doi.org/10.1016/j.jbiomech.2023.111801
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[背景・目的] マーカーレスモーションキャプチャは、実世界のバイオメカニクス評価において、従来のマーカーベースのシステムに代わる低コストで利用しやすいシステムを提供する可能性がある。しかし、これらのシステムを実用化する前に、様々な歩行パターンに対する関節運動量の推定精度を厳密に評価する必要がある。本研究では、低コストでオープンソースのスマートフォンベースのマーカーレスモーションキャプチャシステムであるOpenCapの、健常歩行および病的歩行における3D関節運動計測の精度を、マーカーベースシステムと比較して評価した。

[方法] 21人の健康なボランティアに、健常歩行、膝曲げ歩行、ぶん回し歩行、爪先立ち歩行の4つの異なる歩行パターンで歩くよう指示した。マーカーレスおよびマーカーベースのモーションキャプチャシステムを用いて、3次元運動データを同時に記録した。両システムで得られた各関節運動変数間の二乗平均平方根誤差(RMSE)とピーク誤差を算出した。

[結果] 全体のRMSEは5.8度(SD:1.8度)、ピーク誤差は11.3度(SD:3.9度)であった。反復測定ANOVAと事後検定の結果、4つの歩行パターン間でRMSEとピーク誤差に有意差があることが示された(p < 0.05)。健常歩行は最も誤差が小さく、膝曲げ歩行とぶん回し歩行は最も誤差が大きかった。この結果は、IMUベースのアプローチや市販のマーカーレス・マルチカメラ・ソリューションとほぼ同等の精度を示していた。しかし、誤差は臨床的に望ましい閾値である2~5度を依然として上回っていた。

[結論] 我々の知見は、歩行運動学評価におけるマーカーレスシステムの可能性を強調する一方で、マーカーレス姿勢推定を臨床現場で価値あるツールとするために、基礎となる深層学習アルゴリズムをさらに改善する必要性を裏付けている。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「あー、VICONあるんだ、いいなぁ。うちはないから(できない)」
「へー、屋外でも撮影可能なんだ、いいなぁ。そんな最新機器買えないから(できない)」

僕たちは、ついつい “やらない理由” に飛びつき、やらないという結論を下してしまう。
だが、やりようはいくらだってあるのだ。
動作解析でいえば、例えばスマートフォンを用いた今回の抄読研究のような方法がある。
著者らは、その方法の検証をして、それを用いようとしている(のだと思う)。
そして、その方法はあとちょっとで実用に耐えるものになるかもしれないと思わせてくれた。

「あー、VICONもあるんだ、いいなぁ。うちはないけれど、スマホによる方法を考えてみよう!」
「へー、屋外でも撮影可能なんだ、いいなぁ。そんな最新機器買えないけど、違う安価な機器で工夫してみよう!」

やらない理由に飛びつくのではなく、やれる理由を掘れ。
あのiPhoneをつくったスティーブ・ジョブズだって、こういっている。

オーケー、誰も助けてくれないなら、自分たちでやるまでだ
スティーブ・ジョブズ

いま、できないなら、やれないなら、自分たちでやろうとするまでだ。

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