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転倒予防を実践に導く、行動変容介入ベスト3

📖 文献情報 と 抄録和訳

地域在住高齢者における多因子性転倒予防介入策の実施戦略:システマティックレビュー

📕Vandervelde, Sara, et al. "Strategies to implement multifactorial falls prevention interventions in community-dwelling older persons: a systematic review." Implementation science 18.1 (2023): 4. https://doi.org/10.1186/s13012-022-01257-w
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※ Connected Papersとは? >>> note.

[背景・目的] 地域在住の高齢者の 3 分の 1 が毎年転倒している。ガイドラインでは、多因子にわたる転倒予防のための介入を行うことが推奨されている。しかし、これらの介入を地域社会に実施することは困難である。この系統的レビューでは、多因子性転倒予防介入を地域社会に実施するために用いられる戦略を探ることを目的とした。

[方法] PubMed(MEDLINEを含む),CINAHL(EBSCO),Embase,Web of Science(core collection),Cochrane Libraryでの系統的検索を行い,2022年8月25日に更新された。地域環境における多因子性転倒予防介入の実施戦略の評価について報告した研究を対象とした。2名の査読者が独立して検索、スクリーニング、データ抽出、統合のプロセスを実施した(PRISMAフロー図)。含まれる報告の質は感度分析により評価し、研究課題との関連性と方法論の質を評価した(Mixed Method Appraisal Tool)。実施戦略の種類と定義づけは,Proctorら(2013)の実施戦略の特定と報告に関するガイドライン,Kokら(2016)のTaxonomy of Behavioral Change Methodsに従って報告された

📕Proctor, Enola K., Byron J. Powell, and J. Curtis McMillen. "Implementation strategies: recommendations for specifying and reporting." Implementation science 8.1 (2013): 1-11. >>> doi.
📕Kok, Gerjo, et al. "A taxonomy of behaviour change methods: an intervention mapping approach." Health psychology review 10.3 (2016): 297-312. >>> doi.

[結果] 23報(18研究)が包括基準を満たし,そのうち感度分析で高得点を得た報告は14報,中得点を得た報告は9報であった。すべての研究は、異なる決定要因に対処する実施戦略を組み合わせていた。

■ 個人レベルで最も頻繁に使用された実施戦略ベスト3
🥇テーラーリング tailoring:介入または構成要素を事前に測定した参加者の特徴に合わせること。すべての報告でテーラリングが用いられていた
🥈アクティブラーニング active learning:目標駆動や活動に基づく経験からの学習を促すこと。ほとんどが高齢者と医療従事者のレベルで使用されていた
🥉パーソナライズリスク personalize risk:行動に伴う不作為の個人的なコストやリスクに関する情報提供。テーラーリングと合わせて、多因子転倒予防介入の重要な部分とされる

■ 環境レベルで最も頻繁に使用された実施戦略ベスト3
🥇技術的支援 technical assistance:望ましい行動を達成するための技術的手段を提供すること。支援材料やツール(ハンドブック/チラシ.評価ツールなど)の開発・普及
🥈ピア教育 lay health workers and peer education:役割モデルとしての役割を果たすターゲット集団のメンバーの動員。例えば、プログラムの教育的要素に高齢者が関与すること
🥉利害関係者の影響力強化 increasing stakeholders influence:利害関係者の力、正当性、緊急性を高める。連合を形成、組織の方針を変えるために地域開発および社会活動を利用

対象となった研究では、実施戦略について詳細な記述はなく、実施戦略には様々なラベルが使用されていた。12の研究では、実施理論、モデル、およびフレームワークを使用していた。決定要因のフレームワークの使用と、実施戦略がどのように影響する要因を対象としているかを記述している研究はなかった。

[結論] このレビューでは、実施戦略の詳細な記述と、実施フレームワーク、モデル、理論の効果的な使用におけるギャップを明らかにした。レビューでは、主に高齢者と医療従事者のレベルでの実施戦略に焦点を当て、実施プロセスにおける「テーラリング」「意識改革」「参加」の重要性を強調している研究があることが明らかになった。組織、地域、政策・社会のレベルでの実施戦略を記述した研究では、「技術的支援」、「関係者の積極的関与」、「連合体の形成」が重要な戦略であることが示されています。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

これまで、ことあるごとに「実践が大事」「K2P」など知識を行動に結びつけることの重要性を考察してきた。
その理念は、もう十二分に理解しているつもりだ。
そろそろ、次の段階に進みたい。
つまり、『具体的に実践を導くためにどうするか?』を明らかにしたい。

今回の研究は、そのための「言葉」を与えてくれた。
実践研究数のランキングも重要だが、それ以上に重要だと捉えているのは、実践戦略の種類と定義づけを明らかにしたProctor, Kokらの論文である。
まだ詳細には消毒できていないが、実践戦略の種類とその定義が、実に多い中で、明確な定義づけがあることは、これからの思考の整理にとって非常に重要である。
まず、言葉を定め、そこから進みたい。

子路が言った。
「衛の君が、先生をお迎えして政治を為すなら、先生はまず何を第一にしますか」
先生(孔子)がおっしゃった。
「必ずや名を正さんか(まず必ず物の名前を正すことから始めるだろう)」

孔子

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