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活動種別の膝負荷


📖 文献情報 と 抄録和訳

膝関節および股関節軟骨に対する関節負荷活動の即時および遅延効果: 系統的レビューとメタ分析

📕Coburn SL, Crossley KM, Kemp JL, et al. Immediate and Delayed Effects of Joint Loading Activities on Knee and Hip Cartilage: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Med Open. 2023;9(1):56. Published 2023 Jul 14. doi:10.1186/s40798-023-00602-7 https://doi.org/10.1186/s40798-023-00602-7
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[背景・目的] 活動に関連した関節負荷が軟骨に与える影響は明らかではない。異常負荷は変形性関節症(osteoarthritis, OA)の機械的な要因であると考えられているが、適度な運動量やリハビリテーション運動は関節軟骨に良い影響を与える可能性がある。我々の目的は、健康な成人の膝と股関節軟骨に対する関節負荷活動の即時効果を、磁気共鳴画像法を用いて評価することであった。また、健康な軟骨に対する活動の遅発性効果と、OAを有する、またはそのリスクを有する成人の軟骨に対する活動の効果についても調べた。性別、年齢、負荷時間と軟骨の変化との関連についても検討した。

[方法] 6つのデータベースを対象としたシステマティックレビューにより、関節負荷介入/活動の前後48時間以内のMRIを用いて成人の股関節および膝関節軟骨の変化を評価した研究を同定した。研究対象は、健康な軟骨を有する成人、またはOAを有する成人、またはそのリスクを有する成人であった。関節負荷活動には、歩行、ホッピング、サイクリング、体重負荷膝屈曲、スキャナー内での模擬立位などが含まれた。バイアスのリスクはNewcastle-Ottawa Scaleを用いて評価した。ランダム効果メタアナリシスにより、コンパートメント特異的な軟骨の厚さまたは体積および組成(T2緩和時間)のアウトカムの変化率を推定した。GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)システムにより、エビデンスの確実性が評価された。

[結果] 検索された5159件の研究をスクリーニングした結果、653人が参加した40件の研究が組み入れられた。膝軟骨の厚さまたは体積は、健常成人を対象としたすべての負荷活動直後に減少した;しかしながら、GRADE評価では、エビデンスの確実性は非常に低いことが示された。膝蓋軟骨の厚さおよび体積は、体重をかけて膝を曲げた後に5.0%(95%信頼区間3.5、6.4、I2 = 89.3%)減少し、脛骨軟骨の組成(T2緩和時間)は、スキャナー内で模擬的に立った後に5.1%(95%信頼区間3.7、6.5、I2 = 0.0%)減少した。股関節軟骨のデータはプールするには不十分であった。

副次的転帰を総合すると、膝軟骨は歩行30分以内、膝屈曲100回で90分以内に回復することが示唆された。我々は、OAを有する成人、またはそのリスクを有する成人において、立位と歩行をシミュレートしたところ、対照的な効果が認められた。膝関節屈曲回数が10回増加すると、膝蓋骨の厚さまたは容積が2%減少した。

[結論] 体重負荷による膝屈伸、模擬立位、歩行、ホッピング・ジャンピング、サイクリング後に、膝軟骨の厚さ、体積、組成(T2緩和時間)の最小限の減少(0~5%)が起こるという非常に確実性の低いエビデンスがあり、膝屈伸の影響は投与量に依存する可能性がある。この知見は、健常成人の荷重に対する軟骨反応の枠組みを提供するものであり、理学療法士がリハビリテーションプログラムを設計・処方し、運動アドバイスを提供する際に有用であろう。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

この活動が、どのくらい関節に負荷をかけるか。
これは、理学療法士がいつも気にかけていることだ。
だが、その推論は、頭の中の机上で行われることが多い。

モーメントアームがこのくらい大きくなるから、負荷が大きそうだ。
加速度が大きいから、負荷が大きそうだ。
〇〇そうだ、という域を出ない。

そこで、今回の論文が提示してくれたような実際に負荷がどのくらいだったか?というデータはありがたい。
さらに、軟骨の箇所までしていてくれている。
膝蓋大腿関節に負荷をかけたくない場合は・・・、という使い方も可能だ。

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