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ヒューマノイドロボットが、解剖学の授業を受け持ちます。

📖 文献情報 と 抄録和訳

解剖学教育におけるヒューマノイドロボットの潜在的範囲:ユニークな提案のレビュー

📕Asghar, Adil, Apurba Patra, and Kumar Satish Ravi. "The potential scope of a humanoid robot in anatomy education: a review of a unique proposal." Surgical and Radiologic Anatomy (2022): 1-9. https://doi.org/10.1007/s00276-022-03020-8
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[背景・目的] 人工知能や機械学習を利用した学習指導が盛んになってきている。このような背景のもと、ロボットが教育現場においてどのような役割を果たすことができるのか、教育関係者の関心を集めている。

✅ ヒューマノイドロボットのビジュアルイメージの一例(📕García, 2020 >>> doi.)

[方法] PubMed、Google Scholar、Web of Scienceのデータセットを用いて、タイトルやキーワードに人型ロボットと教育に関する論文を広範囲に検索した。検索キーワードは、人工知能、教育、医学教育、解剖学、ロボット、人型ロボット、教育、教育助手、家庭教師であった。

[結果] 人型ロボットのような人工知能の利用はごく一般的である。しかし、医学教育での利用を挙げている文献は少ない。教師または教育助手としてのヒューマノイドロボットは、主に外国語学習で使用されている。ヒューマノイドロボットは、主に5つの教師としての機能を発揮することができる。

■ ヒューマノイドロボットが果たす可能性のある5つの可能性

■ ヒューマノイドロボット(AI)の利用で想定される弊害の可能性

[結論] ヒューマノイドロボットは、人間の反応を再現することができ、学生が間違いを繰り返しても容赦なく働き、革新的な教授法を搭載し、より多くの最新情報をアップグレードできるため、医学における多くの教育目標を効果的に達成することができる。医学の中でも解剖学は非常に視覚的な科目であるため、数十年にわたりテクノロジーを駆使した学習を開発する試みが続けられてきた。人型ロボットの人工知能は、初等教育や外国語学習で成功裏に使用されているが、解剖学教師または教育助手としての応用は新しく、ユニークなアイデアであり、探求が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

叱ることは良いが、怒ることはいけない
叱ることと、怒ることは違う

教育の場に感情を持ち込みすぎることは、弊害とされてきた風潮がある。
さてさて、今回の論文は、その議論に強烈な一石を投じている。

「じゃあ、一切感情を持ち込まない、ヒューマノイドロボットにしたらどうですか?」

たとえば、ヒューマノイドロボットの完成度がさらに高まった時、人による教育 vs. ヒューマノイドロボットによる教育というRCTが可能になるのだろうか。
その時、教育現場における『感情』の役割が晒されることになる。
僕は、おそらく感情は必要なことなのだろうと思っている。

あの先生に叱られてめっちゃムカついたけど、それがモチベーションになった。
あの先生が、自分の勉強やその成果に心底喜んでくれて、それで自分の持分がわかった。
あの先生、教え方は好きじゃないけど、人間として好き、尊敬できる。

そういうことが、人間の生長に不要であるとは思わない(今回の論文は完全にヒューマノイドロボになる、という論調ではないが)。
ただ、『感情が必要』が明らかになれば、即座に感情を表出するよう、プログラミングされる世の中だ…。
個人的に、以下の一文が怖すぎた。

ヒューマノイドロボットは・・・、
学生が間違いを繰り返しても容赦なく働き、・・・

だけど僕らだって、疲労度と闘った上で、容赦なく働いている。
その“何かを乗り越える力”、はロボットには少ないだろう。
内村鑑三は言った「不足に打ち勝つことこそが大事業である」と。
何かを乗り越えて、容赦なく働く、そこで勝負したい。

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