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テカポで新生活スタート

クライストチャーチを早朝出発し、お昼過ぎにテカポに到着。
テカポは空気がスッキリしていて気持ちよく、雲1つ無い快晴でした。

住み込みで働くホテルへ向かい、部屋の鍵を受け取りました。
部屋が古くて少し汚く、がっかりしましたが、旅行のおかげでホステル生活に慣れたので「まっ、こんなもんか」と思い直すことが出来ました。
部屋にはシングルベッドが2台、小さい冷蔵庫、ソファ、バスルーム。
もう1人のルームメイトと、共同生活です。
その面においても、以前だったら「絶対無理」と感じたでしょう。
しかし、旅行中は4-8人部屋が当たり前だったので、「他の人も尊重しつつ、でも周りを気にしすぎず、自分の世界に浸る方法」が、有難いことに自然と身につきました。
なるようになるもんですね!

荷解きして、ホテル内の案内や契約書のサインなど事務手続きの時間まで、さっそくテカポ湖の周りを散策することにしました。

湖の周りは散歩道があり、ぶらぶら歩くのにちょうどよかったです。
勝手に心の底から嬉しくなるような、素晴らしい天候。
透き通る湖。
圧巻の自然。
どんな生活になるだろう、期待でワクワクしました。

テカポで有名な、「善き羊飼いの教会」に行ってみました。
観光客で溢れかえっていましたが、素敵な教会でした。

街の中心部は、フランツジョセフと似たような規模でした。
スーパーが1件のみ、ホテルやホステル、モーテルがほとんど。
レストランやカフェがちらほら、お土産ショップに、観光アクティビティ施設が数件。

ただ、中心部の裏手にある住宅地が大きめで、そこがフランツジョセフと大きく違うところでした。
あと、本屋さんがあって嬉しかったのと、スポーツ用品店もあり、「やった!」と心の中でガッツポーズ。
「これでもし靴が壊れても、ここで買えるぞ!」
フランツジョセフで靴が壊れた時、ネットオーダーするしかなく、届くまで1週間待ちました。
それにスポーツウェアなどが置いてあるのも見えたので、いざとなったら服もいつでも買えるな、と安心しました。

ホテルのマネージャー2人から、契約書の説明やホテルを案内してもらったりして、部屋に戻りました。
すると、一緒に暮らすルームメイトと初対面。
イギリスからワーホリで来ている20歳の女の子でした。
ブロンドヘアーで美人さん、長身で優しそうな方でした。
分からないことを彼女に尋ねまくり、お互いの自己紹介をして、1日目終了。


翌日、さっそくお仕事スタートです。
ハウスキーパーチームのリーダー、フィリピン出身でワークビザ所有の男性から、掃除のやり方を教わりました。
メンバーはかなり流動的で、ほぼワーホリの人たちで構成されていましたが、いい方たちばかりで安心しました。

ホテルは1棟のみリフォームされており、きれいで新しいのですが、残り2棟は私の部屋と同様にかなり古いのです。
事前にホームページで客室の写真を見ていたのですが、それより実物はかなり古く、ここでも少しがっかりしてしまいました。

数日後、朝食バイキングのトレーニングを受けました。
週2-3回、ハウスキーパーの前の約2時間、バイキング会場で働きます。
ツアー団体毎に時間が振り分けられていて、受け付けから料理の補充、空いたお皿を下げて掃除、といった内容です。

バイキングのお客さんは、ほぼ中国の方。
そしてほぼ全員が完食せずに、お皿に大量の食べ物を当たり前のように残していきます。
手つかずのパンや、1口だけ囓ったパン。
半分だけ食べたスクランブルエッグ、ソーセージ、シリアル。
飲み物も半分以上、入ったまま。
たまーにきれいに完食してくれたお皿を見ると、「おっ、珍しい!」と嬉しくなる程です。

(後日、ハウスキーパーチームの方から、中国では食べきれる量しか注文しないと、周りから低所得な奴、と見られるらしく、それが嫌で絶対に多く注文するらしい、という文化の違いを教えてもらいました)

そして、数字やフォークといった、簡単な単語を英語で言えない大人たちも、大勢目の当たりにし、驚きました。

お皿を下げようとした時、きちんと「サンキュー」か「謝謝」と言ってくれる方が多いですが、無言でお皿を突き出されたり、しっしっとジェスチャーされたりして、ムカついてしまうこともありました。

街中も中国の観光客で溢れかえっており、必ず中国語が耳に入ってきます。

今のところ、私は中国のお客さんについて、正直あまり良い印象は持っていません。


また、ホテルにはたくさんの日本人が働いていたのです。
ハウスキーパーチームに2人、他の部署に合計3人。
そして、街中でもお客さん、住んでる人、両方の日本人をよく見かけます。

オークランドを思い出す程の日本人の多さで、ここでもまた少しがっかり。
以前定住していた場所が、フランツジョセフだったのが大きな要因だと思っています。
フランツジョセフに住んでいた日本人は私1人でしたし、お客さんとしてもアジア系は本当に少数でした。

私は日本人と日本語でコミュニケーションをとるのが、まだまだ苦手です。
相当仲良くなってからでないと、心をオープンに出来ません。

そして、ニュージーランドにいるのに、日本語が飛び交う状態に身を置きたくない、という気持ちもありました。


日本に帰国する日も見えてきたし、その準備と捉えればいいのでは?と、ポジティブに考えようとトライしてみたり。
姉に、「人種差別だ」と言われ反省もしましたが、どうしても「なんか嫌」という感覚が消えませんでした。


最初はテカポで8月末まで、4カ月間働く予定だったのですが、来て早々、「最長2,3カ月が限界だな、これは」と感じました。
数週間働いてみて、いつ辞めるか決めることにしました。

そんなわけでテカポの滑り出しは、素晴らしい絶景と、複数の「がっかり」、そして「なんか嫌」という、2極の側面を併せ持ちつつスタートしました。


2,3週間が経過すると、最初がっかりしたことに耐性がついてきました。
居住している部屋、客室の古さや、日本人の同僚との付き合い方、中国のお客さんへのマインド。
2ヶ月半から3ヶ月なら続けられそうだな、と思い始めました。


何より、ルームメイトと過ごした最初の2週間ちょっとは、私にとってかけがえのない日々となりました。
彼女は2ヶ月ここで働き、クイーンズタウンへ旅立ちました。

最初はお互い距離感を保ちつつ接していたのですが、雲1つ無い快晴の日、「星を一緒に見に行こう」と誘ってみました。
それまでは1人で何回か行っていたのですが、あまりにきれいだったのと、彼女はインドア派だったので、誘わないと星空を見ないでクイーンズタウンへ行くのでは?と、勝手に心配になったのです。
彼女はネットで星空の天気予報を調べ、快晴ということが確定したので、一緒に行くことに。
その前日、流れ星を見ることが出来たと話すと、今日は見れるかな?待ってみよう!と、盛り上がりました。

一緒に見た星空は、驚く程きれいでした。
日本では見たことないレベルの無数の星で、天の川もハッキリ見えました。
善き羊飼いの教会と、湖の周りで星を眺めました。
いろんな話をして、距離がぐっと縮まりました。
お互いの家族のこと、テカポでの生活、これからの計画。
年齢の話になると、なんと私の誕生日の4日後が彼女の誕生日でした。

「誕生日は、ミルフォードサウンドのクルーズツアーを予約したの」
「私それ大雨の中行ったけど、めちゃくちゃよかったよ!絶対最高な日になると思う!」

彼女のiPhoneで撮影してくれた星空がきれいで、iPhoneに機種変更したくなりました。


夜、「シークレットガーデン」という本を数ページ読んでから、寝るようにしています。
それを見たルームメイトが、「本好き?もしよかったら、これ読まない?あげるよ!」と言って、読み終えた本を渡してくれました。
「lessons in chemistry」というカラフルな本でした。
「とても面白かったよ!でも、1度読んだ本はもう読まないタイプなんだ」
「えー!ありがとう!!ちょうど今日、本屋さんで次読む本をぶらぶら見に行ったところだよ!この本も、本屋さんで見たよ!」

思いがけないプレゼントで、とても嬉しかったです。
しかも、ちょうど探し始めたタイミング、というのが運命的で、こんなこともあるんだな、と驚きました。
読むのがとても楽しみです!


休日、マウントクックのトレッキングに1人で行って来ました。
その翌日、ハウスキーパーチームの日本人女の子が、18時からのイベントに誘ってくれました。
ルームメイトも誘って3人で、街の中心部へ。
ホテルのカフェの常連さんだという初老の男性が、ほぼ毎日開催しているイベントで、普段は星空の解説などを行っているそうです。

しかしこの日は、例外。
外へ出ると、既に空はピンク色。
生まれて初めてオーロラを見ました。
太陽フレアの動きが活発化した影響で、世界各国でオーロラが見れるという、とても珍しい現象が起きていたのです。
(写真は彼女たちがiPhoneで撮影してくれたものです)

マシュマロを火で炙って食べ、男性のドラム演奏を聞きました。
そして皆で、より暗い湖の近くへ移動。
彼は「ここまで濃い、ハッキリしたオーロラは11年間で初めて」と言っており、この日この場所で見れた私はすっごいラッキーだなあと有難く思いました。

イギリスからワーホリで来ている女性が1人で参加しており、隣で寝転んだので私も真似して寝転びました。
明るく快活な人柄で、1瞬で彼女が好きになりました。
ちょうど2人で寝転んで、同じ方向を見ている時、大きな流れ星が空を横切りました。
私たちしか見ていなかったので、大興奮!
オーロラのみならず、流れ星まで見れるなんて、奇跡でした。

その後、彼女と別れて3人で善き羊飼いの教会まで行きました。
また違った色のオーロラで、とてもきれいでした。

刻々と変化するオーロラに、ただただ圧倒されました。
赤やピンクのオーロラは、肉眼ではっきり見ることが出来ました。
緑や白はぼやっとしたモヤのような感じで、写真の方がより鮮明に確認出来ました。
動き続ける神秘的なオーロラを目の当たりに出来た、この奇跡を噛み締めました。

ルームメイト「あなた明日、誕生日じゃない!」
私「神様からの誕生日プレゼントだ!」

まさかニュージーランドでオーロラが見れるなんて、想像もしていませんでした。
最高の夜でした。


翌日、誕生日ということで、夕方ルームメイトがドーナツを買ってきて、プレゼントしてくれました。

「ショートケーキを探したんだけど、売ってなくて」
「ドーナツ大好きなの!本当にありがとう!」

2個入りだったので、シェアして1個ずつ食べました。
チョコでコーティングされており、中にもチョコの入った、甘党には最高のプレゼントでした。

前日にホテル全体のメッセンジャー(Facebookのメッセージアプリ)でマネージャーが、「星空ツアーに、明日無料で参加できるよ。参加したい人は教えて」とメッセージがあったのを思い出し、ルームメイトを誘いました。
よしまだスペースあるなら行こう、ということで、マネージャーに急いでメッセージしました。
その時点でツアー開始まで2時間もないくらいでしたが、マネージャーはすぐに確認してくれ、無事に参加出来ることに!

ホテルから徒歩20分程の場所で、会場が近づくにつれ、辺りは街灯が一切無く、どんどん暗くなっていきました。
スマホのライトを使い、なんとか会場に辿り着き、ソファに腰掛けブランケットにくるまりました。
街から見る星空も充分すぎる程きれいだったのですが、それとは比べものにならないくらい、より鮮明に無数の星空が広がっていました。
まさしく、満天の星空、という言葉がぴったりでした。
また、この日はかなり細い月だったので、絶好のタイミングでした。

どういったツアー内容か知ってもらうために、ローカル限定で無料で行ってくれる日ということでした。
ルームメイトが、「2ヶ月間でこんなの初めてだよ」と言っていたので、めちゃくちゃラッキーでした。

待っている間、何と流れ星が!
しかも、ルームメイトと一緒に見ることが出来、2人ではしゃぎました。

参加者が揃うと、ガイドの男性がレーザーポインターを使いながら星や星座、宇宙の解説を始めました。
彼の英語はとても聞き取りやすく、助かりました。
サザンクロスの見つけ方から、マオリに絡めた星座の説明など、ニュージーランドならではのためになる解説を、たっぷり聞くことが出来ました。

望遠鏡が2台あり、順番にそれぞれ覗きました。
焦点を変えて複数回、様々な宇宙を垣間見れた気がして、楽しかったです。

ホットチョコレートを振る舞ってくれ、また、マシュマロを火で炙って食べました。
寒い中、温かいものを口にするととても美味しく感じました。
星空をバックにペア毎に写真撮影をしてくれ、大満足なツアーでした。

ホテルのカフェで働くドイツとイギリスの夫婦も参加していたので、有難くホテルまで車で送っていただきました。

翌日、ペア毎に撮影した写真、星空の写真、望遠鏡の写真、そして前日のオーロラの写真まで、メールで送ってくれました。

今までの人生史上、1番最高の誕生日でした。


2日後、ついにルームメイトが飛び立つ日です。
仕事の15分休憩の際に、早めの誕生日プレゼントと、感謝を込めて、旅行中でも食べやすそうなお菓子と、手紙を渡しました。
すごく喜んでくれて、本当に嬉しかったです。
ツーショットを撮り、私は仕事に戻りました。

客室を掃除していると、バス停に向かうルームメイトが私を探し出しに来てくれました。
「絶対また会おうね」
と言い合い、ハグをして、彼女の後ろ姿を見送りました。

タオルが足りなかったのでストックルームに取りに行くと、ちょうど道路にインターシティバスが!
しかも赤信号で止まっています。
前から窓辺に座る人を順々に見ていくと、真ん中辺りでルームメイトを発見!
ちょうど信号が青に変わり、バスは緩やかに発進。
手に持っていた白いタオルをブンブン、大きく横に振ると、気付いて手を振り返してくれました!
素敵なお別れが出来ました。

彼女とは2週間ちょっと一緒に暮らしましたが、大好きになりました。
優しくてリラックスすることが上手で、家族想いなパーソナリティはもちろん。
動画を見るときは必ずイヤホンを使ってくれましたし、シャワーや洗面台もきれいに使用してくれました。
基本個別で静かにまったり、たまに話すときは盛り上がって話しました。
お互いのことを尊重し合いながら、生活出来ました。

私の英語も、いつも理解しようとしてくれました。
彼女は「hopefully」という単語を頻発に使っていました。
それが印象的で、私もたくさん使っていこうと思いました。

何より奇跡的な夜を一緒にたくさん過ごせたことが、掛け替えのない大切な思い出となりました。
彼女との出会いは、間違いなく素晴らしいものでした。
テカポに来て、彼女と過ごせて本当によかった。


ワーホリビザの期限も、早いもので残り3ヶ月程になりました。
どのくらいこの仕事を続けるか、まだ未定です。
しかし、テカポを去るその日まで、ここでの日々を、ありのままの自分で思いっきり過ごそうと思います。




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