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【循環の形】♯2 ゲストハウス誕生秘話−菊池勇太との出会い


広さは正義。大は小を兼ねる。

滋賀県長浜市が私のライフスタイルの第2の拠点に決まり、いよいよ、本格的に建築設計を始めていた。一級建築士であることを忘れてしまいそうな最近ではあるが、改めて整理をすると、今回、滋賀県長浜市に購入した土地は、山、田畑、宅地含めて、約10,000m2。そして、所有建物は、母屋約230m2、離れ170m2(倉庫含)合わせて約400m2になった。80m2のマンションから、5倍拡張した。いや、拡張してしまった。そう、気がついた人はいるかもしれない。我々は3人家族。大きすぎるし、広すぎるのである。そんな時、設計事務所時代の殺し文句を思い出す…「大は小を兼ねる」である。狭いよりは広いほうが良いし、余っているスペースは何にでもすることができる。しかし、家族の間では、誰が掃除をするんだ?どうやって、あの遺品たちを片付けるのか?など、問題も山積しており、ひとつひとつ「納得して解決」するか「強引に解決(みんなの納得が難しい場合)」するかの判断を迫られながらも、楽しい設計の時間を過ごすことになる。

上空から見た所有建物

さて、この2つの建物(母屋と離れ)をどうしようかと、一緒に設計をしてくれる事になった冨塚崇くん(通称トミー)と考えながら、設計を進めていった。その中で「母屋を宿へ、離れを自宅へ」と方向性が決まっていくのだが、宿についてはいくつかある建築法制度の中で、旅館業(簡易宿所)で進めることを決めた。これは新潟のトロノキハウスを参考したのだが、行政管轄によって異なる考え方があるので注意が必要。さらに滋賀県の農家民宿制度を活用している。こちらも住宅から改修する場合の「さまざまな緩和措置」が規定されていて、コスト面においてもメリットは大きい。余談ではあるが、ここの設計中に設計者トミーも古民家に触れハマってくれた。そして彼自身、地元宮城で地域おこし協力隊へ転身し古民家を購入することに…。詳しくはトミーのnoteをご覧ください。

母屋の解体中
母屋の施工中

ゲストハウスPORTOとの出会い

その頃、私は日本中の空き家を活用した住宅サブスクの会社の副社長を兼務しており、国内のさまざまな地域を渡り歩いていた。また、その地域にあるいろいろなタイプの宿に泊まった。旅館、民宿、ホテル(国内・外資系)、ペンション。それぞれに良いところはあるものの、この滋賀の里山エリアにハマるようなタイプの宿は見当たらなかった。その中で唯一、元遊郭の古民家を活用した異色のゲストハウスに出会った。福岡県北九州市門司港にある「ゲストハウスPORTO」である。ここの内部空間は、あちこちに元遊廓ならではの”設えとした遊び”が散りばめられており、かつての船乗りたちが、ここを舞台に粋な大人の遊びに興じていた景色が色濃く残るとても面白いゲスハウス。是非、北九州に行くことがあれば泊まっていただきたい。しかし、面白かったのは「ただの宿ではない」というところにある。それは…。

ゲストハウスPORTO外観
ゲストハウスPORTO内観

菊池勇太という男との出会い

このゲストハウスを経営している門司港生まれ門司港育ちの「菊池勇太」という男が「ヤバイ」のである。私より10歳も年下で7人兄弟の6男坊(私は3人兄弟の二男坊)。男だらけの兄弟の中で鍛え上げられた「男気と門司港への愛」が度を越して「ヤバイ」のだ。初めて会ったときから、初めての感じがせず、どこか厳しさと親しみが入り混じる彼の周りには、自然と地域を良くしたい・地域活動をしたいという仲間が集まり、彼ら彼女らの溜まり場としての「ゲストハウス」がそこにあった。門司港は「海賊と呼ばれた男」出光佐三さんが商売を開始した土地。その魂を受け継ぐかのような野心と愛情に溢れた男が、少子高齢化でシャッター街化していく地域をなんとか盛り上げようとしていたのだ。そんな彼に出会い、私自身も日本の地域活動への火を灯されてしまった。出身地ではないけれど、これから住む古民家のある長浜も広い意味で同じ課題に直面する日本の地域。視点を広げてみて、何かできることがるのではないか?と改めて問われた気がする。そう、この出会いこそ「ゲストハウスAMARI」が生まれる原点といっても過言ではない。

AMARI誕生のきっかけ?!となったヤバい男、菊池勇太

次回は、私がパーソナリティを務めたラジオ番組「Dual Life Journey」で、その男「菊池勇太」氏がゲストに来てくれた回の紹介、裏話などをお話します。

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