Satoko Nishino

会社員を経て2020年12月に独立. つぎてとして活動中 このnoteでは記憶に残ったミュージアム、地域で出会ったヒト、日々の暮らしの中で感じたことを不定期に綴ります.

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会社員を経て2020年12月に独立. つぎてとして活動中 このnoteでは記憶に残ったミュージアム、地域で出会ったヒト、日々の暮らしの中で感じたことを不定期に綴ります.

マガジン

  • もう一度訪ねたいあの美術館

    再訪したいと思っているミュージアム、記憶に残る企画展、常設展、美術館の記事です

  • あとでゆっくり読もう〜

    noteをみていて気になった記事、繰り返し読みたい記事を紹介しています

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    覚えておきたい本の記録を残しています

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最近の記事

1年ぶりに訪ねた いまの能登

「窓を閉めて!」 輪島市内は公費解体で砂埃とも粉塵が舞っている。人気のない民家の入り口に割れた瓦の瓦礫。外装は大丈夫そうなのに内装が厳しくもう住めないだろうという。 1年ぶりののと里山空港。 前回訪ねたのは2023年11月。震災から11ヶ月後になってしまいました。 9月に訪ねる予定が、その直前に水害に見舞われてキャンセルしました。 空港から輪島市内までの道路はぼんやりとみた様子は変わりません。 違うのは、市内までの道行く車両にトラックが多いこと、市内までの道が渋滞している

    • 見た夢も10冊のノートに 世界的アーティストの「記憶」をテーマにした大回個展

      東京アートフェアのトークイベントで教えていただいた田名網敬一さんの「記憶の冒険」。「60年以上におよぶ活動を「記憶」というテーマのもとに改めて紐解こう」という展覧会で11/11に閉幕した。 鮮やかな色彩とポップアート。静画なのに動画のような動きを感じる絵、コラージュ、立体作品、アニメーション、映像、インスタレーション。圧倒的な量と多彩な表現を受け止めようとするが、五感が完全に容量オーバーになった。企画段階から広報まで惜しむことなく精力的に準備に力を注がれたそうだ。この大回個

      • 企画から聞きたくなる「空間と作品」の楽しみ方

        東京・京橋駅にあるアーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)。知人のお勧めで「空間と作品」に閉幕間際に駆け込んだ。サブタイトルは「作品が見てきた景色をさぐる」。 会場に入ると、見覚えのある二体の木彫りの仏像、部屋にはそれ以外に何もない潔さ。親しみやすい笑顔の木彫りの作品は円空。「祈りの対象」という部屋だった。部屋の先には、赤で彩られた部屋が見えてくる。 数年前、魅力的な展示についてリサーチしていた頃、あるクリエイターの方に「入り口が大事だ。入った時の印象にどれだけインパク

        • 本を読むは1人じゃない、屋外で開かれた「港の読書会」

          この週末にお台場で開かれた「港の読書会」で、座右の本を持参し、港町出身のゲストのトークを聞いた。想像をはるかに超える素敵な時間だった。 読書会の場所って、屋内が一般的ではないか。例えば、大型書店の一角、最近だとコワーキングスペース。ところが、外なのだ。 東京ビッグサイトに向かう道すがらのスペース。チラシにある会場MAPを片手に、「目印は『まあるい水平線』」と書かれているその場所を探した。低めの船の帆布がはためいている。白く丸いテーブルが5-6個置かれ、そのテーブルの上には

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        • もう一度訪ねたいあの美術館
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        記事

          本で出会った村に行く

          1ヶ月ほど前に手にした本がある。ページをめくると、山の影なのか、光と影の陰影のある小さな村が描かれている。その風景からはじまる本の世界にいつの間にか引き込まれ、リュックに入れてこの本をしばらくは持ち歩いていたくらいだ。 東北地方の里山、実際にその地を訪ねた印象を備忘として残したい。 堰(せき)が現存する小さな集落 ついに、その土地を訪ねた。 場所は、秋田市内より車で30分。四方を山々に守られるようにした、鵜養(うやしない)という村。集落はわずか46戸しかない。多くは70-

          本で出会った村に行く

          More good time with our stuff _そのブランドを好きになった理由

          今年5年ぶりに欧州で帰りの空港でリュックを購入した。 (季節をまたぐほど前の話なのだけれど、残しておきます!) これまで愛用していたものは重たいものを入れすぎたせいに違いなく、ジッパーが壊れてしまっていた。 お直しできるかもしれないと調べもしたが、アウトレットで手に入れた故、購入代金とお直し代はほぼ同等だ。必需品なので買わねば。 空港内で知らないお店に入った。そのリュック、革製なのに持たせてもらうと軽い。「極力軽くなるようにデザインしているんです」とお店のヒトが話してくれ

          More good time with our stuff _そのブランドを好きになった理由

          DIC川村美術館 この地にあってほしい

          千葉の佐倉市にあるDIC川村美術館。 世界の60以上の国・地域でビジネス展開している化学メーカー DICが経営している。この会社、世界トップシェアの印刷インキや顔料を製造している。 その研究拠点がこの美術館のある広大な敷地内に静かに隣接していた。 東京を横断して片道約2時間、初めて訪ねた。 実は、先日、来年初冬に休館のニュースを見て至極慌てたのだ。 アート好きの知人に昨年何度もオススメされていたのに...。 チケットを手にして緑の小道を抜けると、美術館が見えてきた。 思っ

          DIC川村美術館 この地にあってほしい

          大切にしている価値感を伝える___宿にこだわりがあっていい

          鎌倉に行くには日帰り圏内なるも、 往復にすると5時間。2連日通うのはなんとかしたい。かれこれ15年以上、陶芸の工房に通い慣れてはいるのだが、真夏の容赦ない日差しを想像した。 知り合いに教えてもらった宿のことを思い出した。 調べてみると、部屋数10室以下。 テレビがない。トイレとシャワーは共用だ。その割にはビジネスホテルよりも料金は高めだった。 予約は公式のHPより、メールのみで宿主と何度かやり取りをする。 しばし考えたけれど、自分の夏休みだということにして予約を入れてみた。

          大切にしている価値感を伝える___宿にこだわりがあっていい

          自然とともにあるecological museum 〜ドイツのあるミュージアムのかたち

          数年前にアートギャラリーを経営する0さんに教えてもらったドイツにある美術館、Insel Hombroich。お話を伺い、写真を見せてもらい、いつか訪ねたいと思っていた。 デュッセルドルフの近郊、かつてはNATOの軍事基地だったという場所にある。 ここでは、入り口でもらう一枚の紙以外に美術作品についての説明が一切ない。作家が誰なのか、作品タイトルや時代背景ももちろんない。 屋外にあるものは、それが作品なのか自然の造形によるものなのかも、正直区別できなかったりする。 小田原

          自然とともにあるecological museum 〜ドイツのあるミュージアムのかたち

          養老先生の虫展に行く

          大分の大分県立美術館(OPAM)で開催中の「虫展」。大分に住む仕事仲間の友人がこの企画展に携わっている。「行きたいけれど大分に行く仕事もないし、ちょっと難しそうなのよねー」と伝えると、「鎌倉で養老先生の企画展をやっているよ」と教えてくれた。 教えてもらったらからには行かねば! そんなわけで、汗をかきかき、鶴岡八幡宮内にある鎌倉文華館・鶴岡ミュージアムに出かけてきました。 外観から見ると、新しいミュージアムです。どこか懐かしいなと思って歴史を調べてみると、神奈川県立近代美術館

          養老先生の虫展に行く

          真夏のテラスバーベキュー

          先日、前職で知り合ったお二人と再会した。 お店探しを始めたら、自宅でテラスバーベキューをしようと誘ってくださった。 ご自身でリノベーションしたお部屋の先には、大切に育てられたグリーンに溢れるテラスが見えた。雑誌の取材が入ったというくらいセンスに満ちたお部屋は居心地がいい。サーモンピンクのテーブルが欲しかったから、と手作りで描いたサーモンのテーブルを一緒に組み立てる。アウトドア用の椅子、ゆったり座るチェア、いろんな気分に合わせられるように7日、椅子もいくつもある。それぞれに

          真夏のテラスバーベキュー

          孔雀の羽をいただいた日

          この日は10分遅れて教室に滑り込む。 今日の講師の自己紹介が始まっていた。 背が高くて明るくて、勢いのある早口めな英語。モノクロの映画のワンシーンが流れていた。 毎月通っている都内の勉強会。講師の方は、企画された方が10年以上前にスペインに留学し、オランダでアーティストを紹介してもらったご縁からだと教えてもらった。去年も日本に由来するユニークなプロジェクトで来日されていて、今も交流が続いているという。そんなとっておきの方を講師に招いてくれている回だった。加えて、英語だと厳し

          孔雀の羽をいただいた日

          離島の時間がくれたもの

          数ヶ月前、1本のLINEが届いた。 主はコロナの前後だったかに会って以来の、前職で協業先だった広報仲間のMさん。彼女の突然の誘いは「五島ツアー、一緒に行きませんか?」だった。 船泊入りのスケジュールをみて、(ハードやな)が第一印象。一旦保留にしたのだが、五島に拠点をおく友人が経営する旅行代理店の社長が組んでくれるという言葉に惹かれ、3年ぶりの五島を訪ねる。 島と島の間をいくつもの船で移動しながら、浮遊式洋上発電所の実証実験、隠れキリシタンの教会、しかの住む島・野崎島の集落

          離島の時間がくれたもの

          みんなに優しい場をつくる人たち

          週末に友人に誘われてあるイベントに参加した。 「みんなでゴロンしよう!」 身体がだんだん動かなくなるALSという病気を知ってもらうためのイベントで、患者さんの方々やそのご家族、関係者、それ以外の方も集まる。 イベントの目玉は、会場の参加者全員で5分間、床に寝そべり動かずに、目を瞑り「ゴロン」する。ALSの人の気持ちになってみるというもの。 会場のモリコロパーク(名古屋)には、のべ5,000人の人が集まった。遠隔ロボットOrihimeが会場のあちこちで活躍していた。車椅子で一

          みんなに優しい場をつくる人たち

          初めまして RUT BRYK!

          フィンランドの 陶芸家 RUT BRYK(ルート・ブリュック)さん。 展覧会でその作品を知ってからかれこれ5年が経つ。 コロナもありその後2回ほど計画とリスケした。 ルートさんの作品を訪ね、雪が残る体感気温-1度のフィンランド  ヘルシンキを訪ねてきました。 「はじめまして、ルート・ブリュック」 2019年の春、東京ステーションギャラリーで開かれたルートさんの展覧会「はじめまして、ルート・ブリュック」に出かけた。陶芸の工房で師匠に図録を見せてもらったのがキカッケだ。

          ¥200

          初めまして RUT BRYK!

          ¥200

          "all of us" ヘルシンキで訪ねたみんなの図書館 「 Oodi」

          ヘルシンキ中央図書館 「Oodi」はヘルシンキ駅から徒歩5分ほどのところにあった。ゆるやなかに波打った曲線を描く建造物は(ここだな)と遠目に見てもわかる。フィンランドの独立100周年を記念した、国民へのギフトだという。 時間があったら1日ここで過ごしたいと思ったくらい居心地のいいステキな場所だ。 残念ながらその時間はなかったのでもう一度、ヘルシンキを離れる日に訪ねた。日本も、魅力的な図書館が増えてきているが、all for you の精神が隅々にデザインされ、馴染んでいた。

          "all of us" ヘルシンキで訪ねたみんなの図書館 「 Oodi」