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みんなに優しい場をつくる人たち


週末に友人に誘われてあるイベントに参加した。
「みんなでゴロンしよう!」
身体がだんだん動かなくなるALSという病気を知ってもらうためのイベントで、患者さんの方々やそのご家族、関係者、それ以外の方も集まる。
イベントの目玉は、会場の参加者全員で5分間、床に寝そべり動かずに、目を瞑り「ゴロン」する。ALSの人の気持ちになってみるというもの。


会場のモリコロパーク(名古屋)には、のべ5,000人の人が集まった。遠隔ロボットOrihimeが会場のあちこちで活躍していた。車椅子で一人でいらしている方、ご家族の方や介護士スタッフの方と共にいらしている方、たぶん介護施設に勤めるご家族と子供たちや、学生さん、ふらっと立ち寄られた方もいた。

ボランティアに参加する人は女性が多く、中には男性もちらほら。年齢もいろいろ。そんな彼ら彼女らと一日を過ごした。 
朝8時の会場はまだガランとしていて、音響や運搬車、フードや展示用の移動車が入りはじめている時間帯だった。カーペットを敷いたり部屋から机や椅子を運び出したり。オープンの11時までに、恐るべしスピードで会場が設営されていく。タイムプラス回しをしたいくらいだった。

日々の自分の生活の中で、車椅子で生活する人との接点は少ない。移動の中でもあまり目にすることがない。

けれど、昨日はたくさんの方々が目にはいってくる。そして、目がキラっと光っている。家族の方々も明るい、楽しそうなのだ。


自分の持ち場は、インフォメーションセンターだった。無料のうちわを配ったり、来場者の方にメッセージボードに貼るメッセージを書いてもらったり。
うちわにはゴロンのキャラクターのパンダ🐼やロゴをあしらった手製のシールを貼っていく(10年前からこのイベントを支援している彼女の友人であるデザイナーさんが夜鍋して作られていた)。

設営中の会場 モリコロパーク内

会場で一日過ごすとイベントを行うということの大変さも、チームアップの力の強さも肌感覚で伝わってくる。

「仕事で知り合った知人がALSの患者さんだった。みんなで集まれる場がほしいと。でもその方は動けないからね。だったら私がやるよといって始めた」のだそうだ。そして今年が10年目だと。
これだけの規模のイベントを手掛けるのはどれほど大変なことか...
10年続けてきたとは。
最初は小規模なものだったのが
毎年回を重ねるごとに参加者や協力者が増えていったんだという。

人が集まるようになると、目に止める人が増える。興味のない人も足を運んでみようと思うかもしれない。
関心が集まると治療のための開発が加速するかもしれない。より患者さんに役立つテクノロジーを開発しようとする人が出てきたりそのための資金も集めやすくなるかもしれない。

そうすると、障害を持つ人にとって優しい社会に近づくかもしれない.... それは
年を重ねた人たちにも同じ優しい社会になるのだろう。

いろんな感情が自分の中に生まれた。
行き交う人たちの表情をずっと
みていた気がする。優しい時間だった。


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