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もう一度訪ねたいあの美術館

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再訪したいと思っているミュージアム、記憶に残る企画展、常設展、美術館の記事です
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記事一覧

DIC川村美術館 この地にあってほしい

千葉の佐倉市にあるDIC川村美術館。 世界の60以上の国・地域でビジネス展開している化学メーカー DICが経営している。この会社、世界トップシェアの印刷インキや顔料を製造している。 その研究拠点がこの美術館のある広大な敷地内に静かに隣接していた。 東京を横断して片道約2時間、初めて訪ねた。 実は、先日、来年初冬に休館のニュースを見て至極慌てたのだ。 アート好きの知人に昨年何度もオススメされていたのに...。 チケットを手にして緑の小道を抜けると、美術館が見えてきた。 思っ

自然とともにあるecological museum 〜ドイツのあるミュージアムのかたち

数年前にアートギャラリーを経営する0さんに教えてもらったドイツにある美術館、Insel Hombroich。お話を伺い、写真を見せてもらい、いつか訪ねたいと思っていた。 デュッセルドルフの近郊、かつてはNATOの軍事基地だったという場所にある。 ここでは、入り口でもらう一枚の紙以外に美術作品についての説明が一切ない。作家が誰なのか、作品タイトルや時代背景ももちろんない。 屋外にあるものは、それが作品なのか自然の造形によるものなのかも、正直区別できなかったりする。 小田原

初めまして RUT BRYK!

フィンランドの 陶芸家 RUT BRYK(ルート・ブリュック)さん。 展覧会でその作品を知ってからかれこれ5年が経つ。 コロナもありその後2回ほど計画とリスケした。 ルートさんの作品を訪ね、雪が残る体感気温-1度のフィンランド ヘルシンキを訪ねてきました。 「はじめまして、ルート・ブリュック」 2019年の春、東京ステーションギャラリーで開かれたルートさんの展覧会「はじめまして、ルート・ブリュック」に出かけた。陶芸の工房で師匠に図録を見せてもらったのがキカッケだ。

¥200

"all of us" ヘルシンキで訪ねたみんなの図書館 「 Oodi」

ヘルシンキ中央図書館 「Oodi」はヘルシンキ駅から徒歩5分ほどのところにあった。ゆるやなかに波打った曲線を描く建造物は(ここだな)と遠目に見てもわかる。フィンランドの独立100周年を記念した、国民へのギフトだという。 時間があったら1日ここで過ごしたいと思ったくらい居心地のいいステキな場所だ。 残念ながらその時間はなかったのでもう一度、ヘルシンキを離れる日に訪ねた。日本も、魅力的な図書館が増えてきているが、all for you の精神が隅々にデザインされ、馴染んでいた。

現代アートの祭典・黄金町バザールの一角で〜「黄金森」のネコたちはどこに

横浜トリエンナーレの分室ともいえる黄金町バザール。「黄金森」から持ち帰った6つのネコさん。ぬいぐるみバッヂなのだが、こんな方々に持って欲しいなぁと思う人にもらわれていきました。岡山、能登、作家の方、美味しいものを作る人。気がついたら手元に残ったのは一つ。 また行かなくては... ネコの作り手は、大分在住のアーティスト 安部泰輔さん。 安部さんのことを知ったのは昨年の夏。 大分県立美術館に竹工芸に関する取材に出向いた時だった。 取材時間まで30分余裕があり、吹き抜けのアトリ

アートで歩く台北

2024年の正月明け、台北で訪ねた美術館などについて書きました。 備忘メモです。 華山1914文化創意園区 かつての酒造工場の跡地🏭をリノベした文化施設。アートに関わるものを集めた商業施設だろうか。印象派、ハローキティの50周年企画、印象派展。レストラン、カフェ、映画館もある。現代アート系のギャラリーには奈良美智さんの作品もありました。 奥は南国の緑に溢れた公園。ふらりと散歩だけでもいいかも。 松山文創園区 デザインミュージアム 1930年代の紙巻きたばこ工場をリノベ

まちの魅力とアートをつなぐ「金沢 新天地」、官民連携が生んだまちなか美術館

石川県金沢市に2022年12月に出現した昭和レトロな飲み屋街「金沢 新天地」のアート企画。地元・金沢市と私設美術館「KAMU kanazawa」が連携して実現した、いわば“街中の美術館”です。スナップ写真やポートレート写真で世界的に有名な写真家・森山大道氏の作品をライトボックスによる突き出し看板で展示する「KAMU kanazawa TOWN hack」を開催中です。自治体と民間の連携が「アートな飲み屋街」となった背景を、現地からレポートします。 アートが街に溶け込む北陸で

「竹の美」根付く文化が発信源――観光と連携で大分県立美術館が磨いた集客コンテンツ

 地域に根付いた文化を、どうすれば国内外から人を呼び込める「コンテンツ」にできるのか――。多くの文化観光関係者が課題感として持っているテーマだと思います。ともすれば「ありふれていて、大した面白みはない」と捉えがちな地域の文化を、いかに磨き抜いて文化と観光の“集客素材”に育て上げるか。そんな課題に取り組んできた文化観光拠点施設、大分県立美術館のチャレンジをひもといてみました。  大分県立美術館は、英語表記の「Oita Prefectural Art Museum」の頭文字をと

日本の文化「もっとわかりやすく」 東京国立博物館が編み出した多言語での展示解説ノウハウ

 インバウンド(訪日外国人)がコロナ後に再び増える中、博物館や美術館で「多言語での展示・解説」を再確認する動きが出始めています。海外からの来館者の知的好奇心を刺激して満足感を引き出す展示内容の紹介は、日本文化の理解や思い出づくりにも影響を与えます。国宝を多数所蔵し、国内屈指の来館者数を誇る東京・上野の東京国立博物館(以後、東博)は、どのように外国語で展示を紹介しているのでしょうか。東博の英語解説担当者に、文化財に関する“翻訳”について話を聞きました。  2022年(令和4年

柚木沙弥郎展〜ワクワクするために

去年からたのしみだった展覧会、 日本民藝館で開かれている「生誕100年 柚木沙弥郎展」に行ってきました! 駒場東大前より向かう道すがら、目立った宣伝をしない民藝館。これは区の案内ボードに。 基本撮影禁止なのでここからは展覧の様子です。 柚木沙弥郎さんは染色家。昨年100歳を迎えられました。いまも各地で展覧会をひらき美しく染の世界をわたしたちに見せてくださっています。 着物の反となると思われる布、帯、洋服の布、クロス類。どちらかというと実用向きの作品が多い。年代ものの日

現代アートをみにいく   〜六本木クロッシング2022展

現代アートはわからなくて… と二の足を踏み続けていた。たまに行くことがあってもわからないのモヤモヤをかかえて帰宅する。なので楽しくない。 そんな中、美術館で活躍される方からお話をうかがう機会にめぐまれた。 「美術館に興味のない人に足を運んでもらいたいんです」とお話を聞いた。いや、現代アートで、というのはハードルが高いと思う。都心にあるという立地にめぐまれているとしてもだ。 この方、伝えるという仕事を心からたのしまれていた。その人の姿を見て、話を聞いて、現代アートもわからな