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本を読むは1人じゃない、屋外で開かれた「港の読書会」

「遠くを見ると、人にとってのimagine(想像)につながる。日頃のしょうもない話から離れられるからいい。この場は、コンパクトにたためてゴミを出さない設えにしました。帆に書かれている数字は、虚数。素数・虚数に触れて、imagineしてほしい。」

現代美術家の椿昇さんが読書会の冒頭で話された言葉

この週末にお台場で開かれた「港の読書会」で、座右の本を持参し、港町出身のゲストのトークを聞いた。想像をはるかに超える素敵な時間だった。

読書会の場所って、屋内が一般的ではないか。例えば、大型書店の一角、最近だとコワーキングスペース。ところが、外なのだ。

東京ビッグサイトに向かう道すがらのスペース。チラシにある会場MAPを片手に、「目印は『まあるい水平線』」と書かれているその場所を探した。低めの船の帆布がはためいている。白く丸いテーブルが5-6個置かれ、そのテーブルの上にはグラフィックデザインのブックカバーに包まれた本が置かれていた。知り合いが数人、でもほとんどは知らない人ばかり。
17時になると、どこからともなく人が集まり会がはじまった。30名くらい。女性が大半で、一人参加の人も多く、飛び込み参加の大学生もいた。


5-6人のグループに分かれ、それぞれの座右の書をなぜ持参したかを紹介する。
本を読み返していない私はしどろもどろ、よく手にとる本なのだと伝えた。父に「面白いから」と勧めらた歴史上の人物に出会い、その後本好きになり、5,000冊の蔵書を持ち、今は素敵な本屋も構えている方や、30年前の雑誌で照明についての本を持ってきてくれた方。初対面の方なのに、たった1-2分という短い時間に、その人が歩んでこられた人生の大切な場面を覗きこむ。ちなみに自分は、1週間前から本棚を眺め、迷いに迷い、持参したのは吉本ばななさんの「幸せのセンサー」と『嫌われる勇気』の著者の書く本を。

ファシリテーターは現代アーティストの椿さんとクリエイティブ・ディレクターの倉成さん。ゲストのアナウンサーの榎戸さんは娘さんと1年かけて世界一周旅行をして今春に帰国されたという。もう人方のゲストだったショートショート作家の方も、港町出身だった。「文庫本を一冊持ってね。本は古くなってくると文庫本めくると、ふうって匂うの、もうたまりませんよね」と一冊の「紙」の本について話す椿さんなど、ご自身の港町と本にまつわるエピソードをそれぞれ話してくれた。

また、参加者には、「港町」にまつわる本を選び持ち帰らせてもくれる。自身の座右の書には、額縁を入れてアートとしても楽しめるブックカバーを巻いて持ち帰れる嬉しいお土産土産付きなのだ。つくりあげたチームの方々に感謝、裏方でイベントの立ち上げから支え続けたスタッフのお二人にも大感謝。

本を題材に過去と未来を行き来しつつ、初めての人と出会う、舟の帆のアートも楽しむ......こんな読書会は初めて。心地よさがぎゅっと詰まった2時間だった。




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