にし

在宅で翻訳の仕事をしながら、このまま翻訳業を続けていくべきか悩み中のアラフィフ女性。 …

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在宅で翻訳の仕事をしながら、このまま翻訳業を続けていくべきか悩み中のアラフィフ女性。 夫と二人暮らしだったが、最近、老猫が家族に加わった。 最近はマインドフルネス瞑想とパン作りにハマっている。

最近の記事

老猫の命を考える

うちの猫はもうすぐ22歳。 食べるとき以外はずっと寝ているけど、 顔つきにそれほど「老い」は感じられない。 明け方に何度も起こされるとか、 食事を少量ずつ、何度にも分けてあげなくてはならないとか、 世話がとても大変になってきた。 心配なので泊りがけの旅行に行くこともできない。 仕事も在宅ワークに限っている。 つまり、完全に彼が自分の生活の中心になっている。 私の母親が飼ってきた猫とはいえ、 それを引き受けたからには最後まで面倒を見る責任がある。 そう思って猫の奴隷生活を続

    • シニア猫のお食事問題

      我が家の21歳になる老猫が最近よくドライフード(俗に言うカリカリ)を吐くようになった。 歯も消化力も弱っているのに、食欲は旺盛なので、ガツガツ早食いしちゃうためだ。 ウェットフードのほうが食べやすく消化もいいとわかっているけど、慢性腎臓病を患っているため「食事療法食ドライフード」を主食としている。 なので、ウェットフードもあげつつ、ドライを主に食べてほしい。 そこでまず試してみたのが、ぬるま湯でふやかして食べさせる方法。 単体ではおいしくなさそうなので、ウェットフードに

      • 猫と眠る

        うちの老猫は私のベッドのど真ん中でお眠りになる。 昨年の夏、実家で飼えなくなったために引き取った猫は、21歳を少し越えたところで、足取りはよろよろとおぼつかなく、食もだいぶ細くなっている。それでも我儘ぶりは健在で、早朝4時頃目覚めると私の頭皮に爪を立てて起こし、何か面白くないことがあると容赦無く噛み付いてくる。 私が食事をするときは食卓に何が載っているかいちいち検分しないと気が済まず、私がオンラインヨガをしていると決まって近寄って来て、マットの真ん中に寝そべって邪魔をする。

        • DeepLとChatGPTの出現で、翻訳家は失業するか?

          私は英語ができないのが悩みの英日翻訳家。 主に、オンライン・メディアの翻訳を仕事としている。 こんな私が仕事をいただけているのは奇跡のようなものなので、納期が厳しくても、基本断らず、ありがたくお引き受けしている。 さて、翻訳家なら誰でもChatGPTの存在が気になっているだろう。 すでにしばらく前から登場している機械翻訳サービスDeepLだけでも脅威だったが、そこにChatGPTが加わり、いっそう翻訳家の将来に影を落としている。こうしたAIツールの発展によって、他の多くの仕

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          英語のできない英日翻訳者の悩み

          私は現在、「英日翻訳」を主な仕事にしている。 もう少し詳しく説明すると、オンラインメディアの記事翻訳で、ビジネス、IT、科学、文化、芸能などありとあらゆるジャンルの英語記事を日本語に訳している。 小説を訳すほど凝った日本語にする必要はなく、どちらかというとスピードが求められるため、「ほどほどに読みやすい日本語にする」ことが使命だ。 元記事は興味深いものが多いため、それなりに楽しいが、実をいうと私は英語能力が低いため苦労も多く、時間もかかる。そう、クライアントには口が裂けて

          英語のできない英日翻訳者の悩み

          【ゲルハルト・リヒター展】〜真実はもっと悲劇的で、計り知れないほど恐ろしい

          東京国立近代美術館で開催されていた「ゲルハルト・リヒター展」に、滑り込みで行くことができた。 リヒターにも、抽象画にも詳しくないのだが、ホロコーストを主題に描いた4点の巨大な抽象画から成る作品「ビルケナウ」(2014年)だけは見ておきたかったのだ。 一見、単なる巨大な抽象画だが、塗りこめられた絵の具の下には、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で囚人が隠し撮りした写真を描き写したイメージが隠れているという。隣の壁にはその元となった4枚の写真の複製も展示されていた。 ア

          【ゲルハルト・リヒター展】〜真実はもっと悲劇的で、計り知れないほど恐ろしい

          「愛してる」って口に出して言えますか?

          欧米のドラマや映画を見ていると、家族や恋人同士が自然にハグしたり、「愛してるよ」と言い合ったりしているが、昔から私はそうした場面を見るのが気恥ずかしくて仕方ない。日本人は極端に愛情表現が薄い人種だと思うが、自分はその中でも極端に薄いのではないかと思う。 おそらく生まれ育った家庭環境に大きな原因があるのだろう。 私の両親は、私が物心ついたときにはすでに仲が悪く、結局、父親が亡くなるまで夫婦関係は悪化する一方だった。だったら別れればいいものを、専業主婦で経済力のない母親は独りに

          「愛してる」って口に出して言えますか?

          フィリップ・K・ディック 『高い城の男』

          フィリップ・K・ディックの小説を読んだのは、高校生のときに『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んで以来、実に20年ぶりになる。アマゾン・プライムで同書を原作とするドラマ・シリーズを数回見て、正直あまり面白いとは思えなかったので中断し、原作はもっとマシなのでは…と期待を込めて手に取った。思えば『アンドロイド…』の方も、かの大ヒット映画『羊たちの沈黙』を見たことがきっかけで読んだのではなかったか(こちらの映画は傑作の部類だったが)。 舞台設定はかなり魅力的である。 だって

          フィリップ・K・ディック 『高い城の男』

          ゴダールの死に思う、「自分の人生の終止符を打つ決断」

          映画監督ジャン=リュック・ゴダールが亡くなった。 私が見たことのある作品はごくわずかだ。 『小さな兵隊』、『カルメンという名の女』、『パッション』、『さらば、愛の言葉よ』、そして『右側に気をつけろ』を途中まで。 『小さな兵隊』以外は明確なストーリーがなく、どれも映像やセリフから受ける印象は鮮烈だが、見終わって頭の中は「???」という感じになった。 『さらば、愛の言葉よ』は公開時に映画館で見た。3Dの使い方が面白く、なかなか楽しめたが、実はいちばん記憶に残っているのは、映画

          ゴダールの死に思う、「自分の人生の終止符を打つ決断」

          スタバが休みのことだってある

          私と夫はスターバックスで扱っている「フレンチロースト」という、深入りのコーヒーが好きで、よく豆を購入して自宅で挽いて飲んでいる。 2年前まで暮らしていた街には、贅沢にも、徒歩圏内にスタバが2軒あって、散歩途中でスタバの前を通りかかり、「あ、スタバの豆を買っていこう!」と思い立って購入することがよくあったのだけれど、現在の住まいの近くにはスタバがない。最寄りの店舗まで歩いて30分はかかる。 数日前、ふとフレンチローストが恋しくなって、たまにはウォーキングがてらスタバに行って

          スタバが休みのことだってある

          足の裏に残された夏の記憶

          五感の中で、思い出したときに一番、心地がいいのは「触覚」の記憶だ。 この夏、砂浜を裸足で歩いた感触は、いまだに足の裏がおぼえている。 人は街に行ったときに「街だ」とは言わないが、海に行ったときは誰もが「海だ」と口にしてしまう。言葉にせずにはいられない、そんな存在。 空と海と砂浜と。人工的なものが何ひとつない眺めが、根源的な喜びを誘う。わずらわしい日常のあれこれはひとまず忘れて、マインドを自由にしたくなる空間が広がっている。 日が暮れてから、3年ぶりくらいに海の家に行って

          足の裏に残された夏の記憶

          小沢健二「So Kakkoii 宇宙 Shows」〜奇跡に帰ろう!

          小沢健二さんのライブツアー「So kakkoii 宇宙 Shows」の初日(パシフィコ横浜)と最終日(東京ガーデンシアター)に行ってきた。 2020年に予定されていたツアーが、まさかの疫病蔓延で2度の延期を経て、ようやく実現。 2年前はチケットを取り損ねて悔しい思いをしていたが、誰かが手放したチケットが私の元にめぐってきてくれた。元の持ち主の思いも携えて、全身全霊で楽しんできました。 せっかく2回も小沢さんと歌って踊る機会を得られたので、振り返って文章に残しておきたい、おか

          小沢健二「So Kakkoii 宇宙 Shows」〜奇跡に帰ろう!

          デザートの喜び

          レストランで食事をするなら、必ずデザートを食べる派です。 自分で好きなメニューを選ぶのもいいけど、コース料理に含まれていて、出てくるまで何だか分からないデザートが好き。「何が出てくるんだろう」とワクワク感を楽しみ、いざ目の前にサーブされたときの驚きと感動がたまらない。 ひと昔前は、フレンチのデザートといえばガトーショコラやタルトなど、こってり・どっしりしたデザートが多かった気がする。コースの最後に食べるには重すぎて、ちょっと苦手だった。でも最近は、ブランマンジェやフルーツを

          デザートの喜び

          毎日の食卓を特別なものにする「うつわ」の魅力

          以前、暮らしていた街には、すてきな陶器専門店と食器ギャラリーがあって、たまたまお店に足を踏み入れて以来、うつわが大好きになった。 その店で扱われていたのは、作家さんの一点物ばかり。 おそるおそる手に取ると、あたたかな質感に手のひらが癒され、以来、うつわのトリコになってしまった。 「お皿や茶碗なんて、100均のもので十分」と思う人もいるかもしれない。 たしかに手作りのうつわは、飯わん一つが3000円くらい普通にするし、毎日のお手入れも少し気をつかう。私自身、まだ片手の指の数

          毎日の食卓を特別なものにする「うつわ」の魅力

          暮らしに「風物詩」を取り入れよう〜ホタルの季節

          「今年もそろそろホタルの季節だね」 そんな風流な言葉が我が家で当たり前のように交わされるようになったのは、数年前に一時期、鎌倉に住んでいたときのこと。 都心から2時間とかからず行ける手頃な観光地のイメージが強い鎌倉だが、実際に住んでみたら、むしろ「自然あふれる田舎」としての鎌倉を強く感じるようになった。 カエル、ヤモリ、バッタ、カマキリ、チョウなど、都会ではめったに出会えなくなった虫たちが家の中まで入ってくる。ウグイスの声で春の朝を迎え、ひぐらしの声で初夏の日暮れを感じる

          暮らしに「風物詩」を取り入れよう〜ホタルの季節

          映画『サウナのあるところ』 フィンランドの平和な時間

          最近サウナにハマっている夫と一緒に、『サウナのあるところ』というドキュメンタリー映画を見た。 私自身は、サウナに苦手意識があるものの、最近よく「ととのう」という言葉を聞くので、どんな効果があるのか気になっていた。 これといったストーリーがあるわけではない。 夫婦で、家族で、友人で、ひとりで、ふたりで、または複数人で、サウナに入りながら話をする人たちを描いた映画。 ビールを飲みつつ、ひしゃくで水をすくってはサウナストーンにかけて、立ち登る蒸気を浴びる(サウナとビールって、な

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