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足の裏に残された夏の記憶

五感の中で、思い出したときに一番、心地がいいのは「触覚」の記憶だ。
この夏、砂浜を裸足で歩いた感触は、いまだに足の裏がおぼえている。

人は街に行ったときに「街だ」とは言わないが、海に行ったときは誰もが「海だ」と口にしてしまう。言葉にせずにはいられない、そんな存在。

同じ眺めは二度と繰り返されない。それも海の魅力。

空と海と砂浜と。人工的なものが何ひとつない眺めが、根源的な喜びを誘う。わずらわしい日常のあれこれはひとまず忘れて、マインドを自由にしたくなる空間が広がっている。

海の家は閑散としていた

日が暮れてから、3年ぶりくらいに海の家に行ってみたら、あまりにも閑散としていて驚いた。
海から吹き付ける強風の中で、高くて不味い料理を食べ、薄いカクテルを傾けながら、夫と二人で他愛のない会話を楽しんだ。帰り道、「こんな完璧な夏の1日は二度とないかもね」と心の中でつぶやいた。

過ぎゆく夏を惜しみながら、あの日の海に思いを馳せる。
足裏に残る砂浜の感触は、今もはっきりと思い出せる。


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