華村@中国
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「心ある人」の哀悼と、「無敵の人」の現実——「文明的」中国社会の冷酷な分断
まだ例の事件について冷静になれているかどうかは分からないのですが、いろいろな反応を見ているうちに考えたことを、忘れないうちに書いておきたいと思います。
「心ある人」の振る舞いこの事件については日本人はもちろん、多くの中国人も動揺と悲しみを示しています。「高度に発展した中国」の象徴のような場所である深圳市で事件が起きたことも、中国人にとっての衝撃を大きくしているようです。
現場には献花に訪れた人
ずっと子どもを抱いて過ごした日
昨日は、ずっと子どもを抱いて過ごしていました。
朝、流れ続ける事件のディテールと、そこに渦巻く人々の感情の奔流に耐えきれずに、そっとSNSを閉じました。そして、ついさっきお昼寝から覚めたばかりの息子を抱きかかえました。
息子はつぶらだけど大きな目を見開いて、僕をじっと見つめた後、にっこりと微笑んでくれました。僕は抱える手に力を込め、泣きそうになるのを堪えながら、微笑みを返しました。
その後も
スマホを紛失したことで、スマホとのつきあい方を見直した話
昨日に引き続き、「スマホをライドシェアの車内に忘れた事件」からの派生でもう一本書きます。
僕にとってこの事件はとんでもなく心身を消耗する出来事だったのですが、実は収穫がなかったわけではありません。というのも、1日以上強制的にスマホのない生活を送ることで、自分がどれほどスマホに依存していたかや、適切な付き合い方がわかったような気がしたのです。
ということで今日はそれについて。
家ではなくても全
【お知らせ】マガジンの更新をお休みします
現在、子どもの病院対応に追われておりマガジンの更新ができない状態です。そのため本日はお休みとさせてください。楽しみにしていただいていた方、申し訳ございません。
よろしければ、過去の記事をお読みになってください。過去記事でも面白いと思ったものにはスキや高評価を押していただけるとうれしいです。
落としたスマホは戻ってきたが、中国で生きていく自信は少しなくなった話
先日、ライドシェアの車内にスマホを忘れてしまいました。で、30時間ほどを経て手元に戻ってきました。
ここで一発「失くしものが戻ってくるなんて、中国の治安もずいぶん向上したものだ」という話でも書いて中国のイメージ向上に貢献し、日中友好的な文脈の人々から小銭でももらおうかとも考えたのですが……ただ、戻ってくるまでの過程を顧みると、とてもじゃないけどそういう気分になれません。今日はそのことを書いてみま
「話せばわかる」は幻想だが、それでも話すことには意味があると思う話
くまてつさんのnote。読みながらうなずきまくりました。
「話せばわかる」なんていうのは、本当に幻想です。
話してもわからないどころか、話の通じなさに絶望したり、話すことによって嫌なところがより鮮明に見えてしまって、余計に相手を嫌いになってしまうことさえあります。
「話せばわかる」を臆面もなく口にする人というのは、よほどコミュニケーションというものに真剣に取り組んでこなかったか、普段押し付け
中国でモノを作って日本で売るコツ
最近、日本にいながらにして上手に中国のECサイトなどを活用してお小遣い稼ぎに繋げている友達の話を聞きました。
それがとても面白く参考になったので、内容をみなさんにシェアしてみたいと思います。
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その人が扱っているのは、自作のキーホルダーやストラップ、アクリルスタンドのような雑貨だそうです。自分でデザインしたものを中国で生産してもらい、日本に発送して自分で売ったり、友達の店に卸したり
ガッカリする中国の「そういうとこ」
紀実作家・安田峰俊さんによるこんな記事を読みました。
先ごろ日本で行われたサッカーワールドカップ予選の日本対中国戦を、「中国側のサポーターとして」観戦しようという試みです。よくこんな有意義かつ面白い企画を思いつくものだと唸らされます。
サッカーに毛ほども興味がないままの実況や、日本が点を取るたびにごっそりと帰ってしまう中国サポーターなど笑いどころたっぷりなのと同時に、そこに駆けつけた中国人がど
中国は学歴一辺倒から抜け出せるのか
こんなツイートを見ました。
ACG(アニメ・コミック・ゲーム)に代表される「二次元」カルチャーの中国での相変わらずの強さとか、街中でコスプレしていても何も言われないおおらかさとか(地下鉄にJK制服と漢服と初音ミクが同乗したりしてます)、いろいろと語るべき部分はあるのですが、僕にとって思うところがあるのはこの部分です。
これ、本当にそうなんですよねー。
子どもができて、必然的に子ども向けのサー
「自分がコントロールできること」ってなんだろう。日本人と中国人を例に考える
「自分がコントロールできることに集中しなさい」ってよく言いますよね。自分で変えられないことに気を揉んだり、他人の感情や行動にストレスを感じたりするのは不毛なことであり、それよりも自分のできることに集中したほうが幸福度が高いですよ、というアレです。
たしかにこれはよくわかる話で、僕自身心がけていることではあるのですが、その「コントロールできること」の線引きというのも、実は結構難しいというか、人によ
中国とテクノロジーと、倫理観と中国人と
2年ほど前ですが、中国に関するこんな記事が話題になったことがあります。
このニュースはよく読むと「人口子宮内の中で胎児を監視し、うまく育てるためのシステム」の開発が進められているという話であって、決して人口子宮そのものが実用段階に入ったとかそういうことではないのですが、日本のネットではすわ「ついに人口子宮の技術が実用化に!ディストピアの到来だ!」という盛り上がりが発生しました(実を言うと、僕も最
結婚前に確認すべきは、相手の年収でも価値観でもなくて
——「衛生観念」ではないか、と思うのです。
「衛生観念も価値観の一部では?」というツッコミが聞こえてきそうですがそれはさておき、結婚してからすり合わせがもっとも大変なのはこの衛生観念に関することなのでは、という話を書きます。お付き合いください。
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というのも、中国人との国際結婚をした僕が、まさにこの衛生観念の違いで苦労した(してる)んですね。
日本人と中国人では、何をキレイだと感
Gホイホイひとつで揉める日中夫婦の話
ちょっと前まで、夫婦間の空気が非常に険悪だったことをマガジンに書きました。子どもが生まれて前途洋々かと思いきや、やはり試練もあるものです。こういう身内の恥のようなことを書くかどうかは迷ったのですが、読者のみなさんにウソはつけないということで思い切って書いてしまいました。
で、もうバラしてしまったということで、今日はその険悪だった時期の出来事から、こんな些細な事で揉めたという話を書かせてください。
産後、男は育児に積極的に参加しないほうがいい説
ちょっとタイトルを露悪的にしすぎた感はありますが、経験を経て本当に思っていることなので書いちゃいます。
僕は在宅フルリモートで働いているため、出産前から育児にできる限りコミットしようと考えておりました。流行りのイクメンになってやろうと意気込んでいたわけです。
実際には中国の習慣にのっとり(我が家は中国人の妻と国際結婚で、生活も中国でしております👈一見さん向けの説明)、最初の一ヶ月はお手伝いさ