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ココナッツジュースと、中国に来たばかりのあの頃に戻りたくなった話

少し前ですが、こんなバズったツイート(ポスト)が流れてきまして。

これ、たしかに中国で古くから売られている定番のココナッツジュースです。

僕はココナッツジュース自体が得意ではないので買うことはほぼありませんが、どこのコンビニやスーパーであろうと必ず置いてあります。メジャー感でいえばコカコーラとかそのレベルです。

つまり中国では文字通りどこにでもあるものなのですが、この奇抜なデザインが初めて見た人には強い衝撃を与えるようで、日本語圏のネットでたびたびこのココナッツジュースがバズっているのを見ます。しかし「殺虫剤」とは、うまく言ったものです。色遣いとかフォントがたしかに殺虫剤っぽいもんな。

ちなみにこのジュース、他にもデザインの異なるパッケージのものがあって、なかでも有名なのは妙になまめかしい濃い顔の女性の写真が入っているものです。せっかくなので近所のコンビニで買ってきて写真を撮りました。こちらです。

「小さい頃からずっと飲んでます」「36年ひとすじ」「香料は加えていません」などの文字が踊る

見れば見るほど意味がわからないポーズや、ぱっと見ではこれがココナッツジュースとは判別できないデザイン。あまりにも謎が多いですが、インパクトだけはあるのは間違いありません。

この奇抜なデザインをして、日本のネットでは「週刊誌の表紙」「東スポ」などとたとえられてバズっているのをよく見ます。これも上手いこと言うよなあ。

正直に告白すると、このココナッツジュースが日本でバズっているのを見かけるたびに、日々中国について書いているものとしては、「どうして自分がそのたとえを思い付けなかったんだ」という嫉妬心に似たものを感じてしまうことがあります。

このココナッツジュース、僕自身も中国に来たばかりの頃は「なんだか変なデザインだなあ」「でもどこに行っても置いてるよな」という新鮮な驚きを持てていたはずでした。でも中国に1年、また1年と暮らすうちにその驚きは失われ、いまではココナッツジュースはただ視界の隅に映るだけの存在になっています。

中国ではどこにでもありふれていて、でも本来はその切り取り方やたとえ方次第でたくさんの人に面白がってもらえるものを、みすみす見逃しているということになります。こんなにもったいないことはありません。

そして、このココナッツジュースのように、中国についてもっと基本的なことや当たり前のことでも、ちゃんと紹介すれば日本の読者にしっかり面白く伝えられることがたくさんあるんじゃないか、と不安になります。

最近は無駄に滞在年数だけを重ねて、中国で起こることについて新鮮な驚きをもつことが難しくなってしまいました。ちょっと中国に触れた程度ではわからないことでも自分で咀嚼してマガジンに書けることは自分の強みだとは思っていますが、代わりにもっと単純だけど、日本の読者に面白がってもらえるものをキャッチできなくなってるのではないか?という感覚があります。

そういう意味で、中国に来たばかりのあの目に映るものがすべて新鮮だったころに戻りたいなあ、と考えてしまうことがあるのです。最初のころの驚きを初期衝動たっぷりに伝えられたら、もっとたくさんの人に読んでもらえるんじゃないかと。

まあそんなことは願っても無理な話だし、知ってしまったものはもう忘れられないのでこのままやっていくしかないわけですが、中国に対するスタンスの取り方や距離感、その中でこのマガジンで何を扱っていくべきか、ちょっと考え直さないといけないかなあと最近はよく考えています。

特に近年はマガジンで扱うテーマがちょっと変に奥に行き過ぎているような気がしていて、読者から遠ざかってしまっているのではないかと感じています。在住10年の強みを活かすのもいいですが、ちょっと原点に立ち返ることも必要かなと。

読者のみなさんは、中国のどんなことについて知りたいと思っているでしょうか。よろしければコメント等でお知らせください。

今日はそんなマガジン運営者としての悩み、苦悩みたいな話になってしまいました。お付き合いいただきすいませんでした。ありがとうございます。

ではまた。

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