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はじまりのはなし

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第52回新潮新人賞に応募しましたが、擦りもしませんでした。 お手柔らかに読んで頂ければ幸いです。
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#記憶障害

はじまりのはなし…エピローグ⑮(終)

はじまりのはなし…エピローグ⑮(終)

また年賀状が書けなかった。

小春日和の陽気な日差しが、小さな窓から射し込んだのかと思えば、もう大晦日の朝だと言う。

私はまた、数日間眠り続けていたらしい…異常なくらいの暖冬で、気候の変化が感じられず…携帯電話に表示された日付を見た瞬間は、目を疑ったし…狐に摘まれたような気持ちになった。
それでも私は彼の言う通り、精神病院に入院しているとは思えないくらい能天気で、突然のタイムスリップにショックを

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はじまりのはなし…恐怖感⑧

はじまりのはなし…恐怖感⑧

「恐れとは無知の現れなのです…暗闇を恐れる事が正にそれを露呈しているでしょう。見えないだけで…解らないだけで…知らないだけで恐ろしいのです。
なんて臆病な事でしょう…放てども放てども一粒の光では一片の闇も照らせはしないのに…それでも逃れよう、逃れようと...ただ徒らに虚無を照らし続けるのです」

手首を切った彼女の第一発見者は僕だった…ナースコールを連打したり、大声で彼女の名前を泣き叫んだり…パニ

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はじまりのはなし…退屈感⑦

はじまりのはなし…退屈感⑦

「時間だけがひたすらに過ぎて行きました。それでも時間は余るのです。埋め合わせても、埋め合わせても…次から次へと現れるのです。
繰り返すばかりで、もう飽き飽きして…最早この報われる事のない虚しい気持ちを味わい尽くす事のみが、麻酔の様に気怠く悶々とした感覚を紛らわせてくれるのです」

婦長さんは何とも気丈な人だ…若い看護師さん達も、熱心に不安定な状態の彼女に寄り添ってくれているが、婦長さんはどんな事態

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