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概要:tailor your life / アパレル生産管理・テイラー修行を経て202…

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概要:tailor your life / アパレル生産管理・テイラー修行を経て2020年創業 / 長年着られる洋服と、豊かな人生を仕立てるテイラー / 週1回更新のnoteを読むと毎日の洋服が愉しくなる / 年代・国境を越える洋服の考察 / 目標:

記事一覧

洋装の「本物」さと純度

モノの真贋の判別によりそのモノの価値は大きく左右されます。時計やブランドモノを例にとっても、そのモノの保証書やプロによる鑑定書など、本物であることの証明ができる…

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1か月前

誰がために服は着る

世の中には服装にあまり意識を向けない方が多々います。 興味がない、面倒くさい、よく分からない、お金がもったいない、非合理だ、社会に迎合したくない、自分には不必要…

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1か月前
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最適な靴下の選び方

靴下の色日頃の服装を考える上で、靴下にどれほどの注意を払ったことがあるでしょうか? もちろん、ビジネススーツに白い靴下を合わせてはいけません。白い靴下は元来スポ…

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2か月前
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スラックスの素材選び

良いスラックスとは何でしょうか?なぜ生地によって良い雰囲気になるものとそうでないものができるのか? 上下共地のスーツではなく、独立したトラウザーズを選び始めると…

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2か月前
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色の妙味 – 正しい色合せ?

洋服のスタイリングを考える上で、色合せに課題意識を持つ方も多いのではないでしょうか? 自分では洋服同士の色合いがマッチしているのかしていないのか判断がつかない。…

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2か月前
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ツルツルとザラザラ

洋服の合わせ方が分からない、というご相談を受けることが多々あります。 僕の作成するものは英国的クラシックを軸に提案しており、テーマが共通しているためそれぞれの相…

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2か月前
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紳士服に於けるコーディネートの公式??

少しだけ算数のお話突然ですが三角形の面積の求め方を覚えていらっしゃるでしょうか? 答えは面積 = 底辺 × 高さ ÷ 2 です。 それでは、何故このような公式が成り立つ…

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3年前
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幻想の人々

衣服や持ち物で真に他人との差別化を図るのであれば、モノを着用者の生活の一部として染み込ませる時間と経験が必要です。 他人と違った自分を演出するツールとして衣類は…

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4年前
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”do not wear brown in town” ??

英国では「シティではブラウンを着用してはいけない」との古めかしいルールがありますが、それは何故でしょうか?たしかに本邦でもベージュやブラウン等、植物系の色合いを…

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4年前
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すばらしい新世界

多くは石油原料を元に、劣悪な労働環境で、安価で大量に作られた洋服を称して一部では’Junk Clothing’と呼ばれています。まさに’Junk Food’のように、必要以上に市場供…

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4年前
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洋装の「本物」さと純度

洋装の「本物」さと純度

モノの真贋の判別によりそのモノの価値は大きく左右されます。時計やブランドモノを例にとっても、そのモノの保証書やプロによる鑑定書など、本物であることの証明ができるか否かで経済的な価値は大きく揺らぎます。

どんなに綺麗に作り込んでいてもひとたびそれが本物ではないことが判ると、途端に経済的な価値(換金性)は地に堕ちてしまいます。

我々が求める「本物」世間がモノの真贋を重視していることがわかった上で、

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誰がために服は着る

誰がために服は着る

世の中には服装にあまり意識を向けない方が多々います。
興味がない、面倒くさい、よく分からない、お金がもったいない、非合理だ、社会に迎合したくない、自分には不必要だ、陰謀論だ…etc.

理由は様々かと思いますが、洋服を着ることは非常に社会的な行為であり、自分本位の発想でそれをないがしろにすることは批判の対象ともなり得ます。

今の無頓着な服装が成立している(ように見える)のは、その方の生活している

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最適な靴下の選び方

最適な靴下の選び方

靴下の色日頃の服装を考える上で、靴下にどれほどの注意を払ったことがあるでしょうか?

もちろん、ビジネススーツに白い靴下を合わせてはいけません。白い靴下は元来スポーツに用いられてきたものであり、スーツスタイルの鉄則と言ってもよいルールですからあえて深く言及しません。しかしビジネスシーンを想定しているから黒の靴下を履いていれば問題ない、と言うようにシンプルに考えられている方が多いように思います。

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スラックスの素材選び

スラックスの素材選び

良いスラックスとは何でしょうか?なぜ生地によって良い雰囲気になるものとそうでないものができるのか?
上下共地のスーツではなく、独立したトラウザーズを選び始めると、このような疑問が沸々と湧き始めると思います。
そこで今回は良いスラックスとはどのようなものか、そのシルエットと素材について考えてみました。

スラックスに求められる要素スラックスは(ブレイシーズを使わない限り)ヒップとウエストで固定され、

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色の妙味 – 正しい色合せ?

色の妙味 – 正しい色合せ?

洋服のスタイリングを考える上で、色合せに課題意識を持つ方も多いのではないでしょうか?

自分では洋服同士の色合いがマッチしているのかしていないのか判断がつかない。チマタで流布される、色合わせの正否に惑わさる。セレクトショップや百貨店のディスプレイ、雑誌で謳われるトレンドカラーに振り回される。。

(ちなみにトレンドの色はインターカラーという組織が年単位の流行色を人工的に決め、ラグジュアリーブランド

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ツルツルとザラザラ

ツルツルとザラザラ

洋服の合わせ方が分からない、というご相談を受けることが多々あります。

僕の作成するものは英国的クラシックを軸に提案しており、テーマが共通しているためそれぞれの相性が非常に良いのですが、それでもよく分からないと言う方に向けて、素材の相性について私見を述べます。

突然ですが今までの人生で、会社でサラリーマンの方が着るようなスーツのジャケットにデニムを合わせた事がございますか??
仕事以外のよそ行き

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紳士服に於けるコーディネートの公式??

少しだけ算数のお話突然ですが三角形の面積の求め方を覚えていらっしゃるでしょうか?

答えは面積 = 底辺 × 高さ ÷ 2 です。

それでは、何故このような公式が成り立つのか説明できるでしょうか?小学校で勉強したものですが大人でも悩んでしまう問題かもしれません。

上図の通り、三角形の頂点から底辺に向かって垂直に線を引くと、三角形の面積 = 底辺及び高さの同じ四角形の面積 ÷ 2 となるのが分

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幻想の人々

幻想の人々

衣服や持ち物で真に他人との差別化を図るのであれば、モノを着用者の生活の一部として染み込ませる時間と経験が必要です。

他人と違った自分を演出するツールとして衣類は大いに役立ちます。突飛な色柄や奇抜なシルエットの洋服を着る事で確かに他人との差別化は可能です。それ自体は表現の一環であり、背景が伴っていれば納得できることも少なくはありません。

シュルレアリスムの巨匠たちは、文字通り現実離れした情景を鑑

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”do not wear brown in town” ??

”do not wear brown in town” ??

英国では「シティではブラウンを着用してはいけない」との古めかしいルールがありますが、それは何故でしょうか?たしかに本邦でもベージュやブラウン等、植物系の色合いを職場で着用するのは憚られる、という方は少なくないと思います。

英国に於いてブラウンはシティで働く紳士が自宅や週末に着用する色であり、平日は黒や紺、グレーなどの濃色を着用するのが永く一般的でした。あくまでブラウンは、カントリーサイドでツイー

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すばらしい新世界

すばらしい新世界

多くは石油原料を元に、劣悪な労働環境で、安価で大量に作られた洋服を称して一部では’Junk Clothing’と呼ばれています。まさに’Junk Food’のように、必要以上に市場供給され、ほんの短期間のみ購入者のニーズや空腹を満たす為だけに作られた、持続的価値に乏しい商品。同義語として使われる’Fast Fashion’というフレーズは安易な大量消費の負の側面を捉えられていないように思えます。

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