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ツルツルとザラザラ

洋服の合わせ方が分からない、というご相談を受けることが多々あります。

僕の作成するものは英国的クラシックを軸に提案しており、テーマが共通しているためそれぞれの相性が非常に良いのですが、それでもよく分からないと言う方に向けて、素材の相性について私見を述べます。

突然ですが今までの人生で、会社でサラリーマンの方が着るようなスーツのジャケットにデニムを合わせた事がございますか??
仕事以外のよそ行きの服として何を着て良いか分からず、取りあえずスーツのスラックスをデニムにしてみたという方を稀にお見かけしますが、これは絶対にやめて頂きたい。

それぞれのアイテムの出自や用途もさることながら、最も違和感を生じさせるのは素材感の違いです。つまりザラザラとした見た目のデニムとツルツルのジャケットの相性です。

写真で確認する限り、相性が良いとはとても言い難いですね。。


しかし、試しにジャケットをフランネルやツイードなどのザラザラしたものに変えると、この違和感が解消される事が分かると思います。

こちらの写真ではザラッとした表面感の洋服を合わせたことで、素材表面の統一感が生まれました。

また、共にワークウエアとして厳しい環境で使用されることを主眼に置かれた生地同士が共鳴していると捉えることもできます。
こうして素材の相性を近づけるだけで、ぐっとスタイリングの統一感がうまれ、着こなしが洗練されるので、意識されることをおすすめします。


これはあくまで極端な事例であり、「さすがにスーツとデニムを合わせたりしないよ。」という方が大半かと思います。そこで、より現実世界で陥りがちな失敗例を挙げるなら、ツイードジャケットにツルツルのシルクのネクタイ。

またはザラザラの麻にツルツルのポリエステルのシャツなどなど。。ミスとは言わずとも、こうした細かい相性にも目を向けることでスタイルの違和感を拭い、より洗練された装いへと近づくことができます。

そして、これは何もジャケットスタイルに限った話ではありません。
例えばウールのニット(セーター)とフランネルやコーデュロイのスラックス。これらは生地いずれも柔らかい触感で、毛足の長い繊維/生地が用いられており質感が共通しています。

同じ文脈で語るなら、足元にはスエードの革靴を合わせるのも良いでしょう。スタイル全体が、「温かさ」という質感の共通項のもとで統一されるのが分かるかと思います。

ついでに言うと色調も合わせているので、アイテム同士が喧嘩にならずお互いを引き立て合っているの分かります。


このように洋服合わせにはあまり言語化されていない暗黙のルールが多々存在しますが、それを華やかに打ち砕く洋服の達人もいます。

以下の写真はラルフローレン氏が写真集の中で披露している、デニムとディナージャケットのコーディネート。

飛び道具的なスタイリングですので深くは言及しませんが、氏が中心となることで、ディナージャケットとデニムとの間に着慣れたアイテムという統一感が生まれているように思えます。

もし、ツルツルとザラザラ、どちらも愛し容易に着こなす同氏ならではの装いに憧れる方がいらっしゃるとしたら、まずはデニムのようにディナージャケットを着用できるよう、毎日着続けることが近道になるでしょう。
(そんな良い意味で奇特な方は全力で応援させて頂きます!)

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