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恋と愛の違いについて、または万葉仮名に見る古代人のセンス④〜授業中の雑談 これがホントの教養だ!04〜

5 「こい」のルーツ

 「恋」は、なにゆえに「こい」と言うのか?
 ヒントは古典の時間だって言いましたね。もっというと、古文単語です。

 はい、わかる人。

 う〜ん。いませんか。じゃあもう言います。

 「恋」の語源は「乞ふ」です。ハ行四段動詞、その連用形「乞ひ」が名詞化したものです。動詞の連用形って名詞化しちゃうでしょ?

 さて、「乞ふ」の意味、わかるよね? 「命乞いする」「許しを乞う」なんて言うでしょ。つまり「求めること」「欲しがること」です。

「恋」は「乞ひ」、求めること、欲しがること

なんです。古文単語、すごいね。まんまじゃないですか。だってみなさん、よくね、恋の始まり段階のカップルが言うじゃないですか。

「君がそばにいてくれるだけでいい。他には何もいらない」
「あなたの笑顔が見られたらそれでいいの。他には何もいらない」

なんてね。でもみなさん、ナニサマですよ。

「そばにいてくれるだけでいい」? そばにいなきゃならないわけ?
「笑顔が見られたらいい」? 笑顔にならなきゃいけないわけ?

 正確に言い直すならば、
「僕は、君にそばにいてほしい」
「私は、あなたに笑顔になってほしい」

ですよね。

「君(あなた)が喜んでくれたら、と思って」と言ってプレゼントしますが、だんだん不仲になっていく別離初期段階に入ると、
「君(あなた)のために僕(私)はこんなに努力してきたのに〜」
と言い出し、別離最終段階に入ると、
「あの時あげたあれ返せこれ返せ」
となっていき、しまいには自らを被害者にして、相手がどれだけ極悪非道のゲス野郎か友だちに言ったりネットの海に叫んだりします。

 2人は対等だとか言っておきながら、いざお別れとなると加害者と被害者関係に変換されるこの不思議。

 おわかりですね。つまり

恋は自分中心、自己中

なんです。

主語は全部「オレ」「アタシ」

 考えてみれば、あの一連のセリフも、オレやアタシがそうしたいだけのことなんです。

 私は恋をディスりたいわけではありません。それこそが恋だと言いたいんです。

 このことをすでに明治時代に指摘していた作家がいます。誰だかわかる人、いますか? その作家は小説のテーマとしてひたすら三角関係、不倫を描くことで恋の本質を書き続けました。

 次回はその話をだな、させてもらいますとも。あ、それから英検1次合格者、今日の放課後、特教の2に集合だからね、2の方ね、間違えないように。3階の方の教室な。

 はい、じゃあ、号令!
 あざしたあっ!




 

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