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#短編
【短編小説】翼をくれよ
ピアノの旋律が美しくはじまりを奏でる。
興味がなくて半開きのままの目をなんとか閉じないように気をつけながら、口を開く。
「今私の願い事が叶うならば、翼が欲しい…」
歌に乗せると無くなる違和感は、文字で考えると、やけにわがままに、俺には映る。
この歌がどんな風に作られたのかなんて知らない。だからこんな風に残酷に思えるのかもしれないけど、だからって誰かに責められたとしてもそこには何の責任も伴わ
【短編小説】努力もしてねえのに羨ましがるなよ
「じゃああなたもやってみなよ」
佐々木さんから笑顔で言われて、自分の足元からスーッと感覚がなくなっていくのが分かった。座敷に座っていて良かったと思う。
こんな飲み会来るんじゃなかったと思っても、後の祭りだった。
足元に迫る崖の目の前で背中を押されるような不快感が襲ってくる。
大きな机にはたくさんの食べ物やアルコールが雑然と置いてある。その周りを取り囲むように騒ぐ職場の人間たち。
一番端に