初めまして。熊本の障がい福祉サービス事業者『ソラヒロ』です。

こんにちは。障がい児支援を中心に、地域の方々や子どもの未来の場づくりを行なっている株式会社ソラヒロと申します。

私たちの運営する児童発達支援・放課後等デイサービス『そらひろ』は、関連施設も含め熊本・北海道・新潟に計14ヶ所あり、障がいのある未就学児童および、小学1年生から高校3年生までを対象に受け入れています。

これらの施設では、鹿児島大学との共同研究による独自のキャリアアップ学習療育プログラム『S.T.E.P.』を採用し、社会で自立していくために必要なコミュニケーション力を高めるための療養を行なっています。

そんな私たちが、今年10月に成人の方を対象とした部門をスタートすることになりました。現在、カフェや就労支援サービスの入った複合型福祉施設『Sorahiro Connect』を熊本市北区に建設中です。

新たな一歩を踏み出すこのタイミングに、私たちの活動や想いについてお話しできればと思い、noteを立ち上げました。障がい福祉の会社がどんなことを行っているか知っていただくことで、私たちは皆さんにとって身近な存在だと感じてもらえると嬉しいです。

まずは、これまでの経緯や活動を自己紹介がてらお話ししたく、1本の記事にしました。代表取締役・池田と専務取締役・髙木の想いを綴ったので、ぜひのぞいてみてください。

株式会社ソラヒロ

熊本・北海道・新潟の児童発達支援・放課後等デイサービス『そらひろ』は、障がいのある未就学児および、小学1年生から高校3年生までのお子様をお預かりする施設です。『S.T.E.P.』という独自の療育プログラムを用いて、自分の世界を大きく広げ、自分自身や家族やお友達と共に成長していく学びの場を提供しています。
●所在地:熊本県菊池郡菊陽町津久礼154-23 NSH
●電話:096-285-3362

池田 英彦(いけだ ひでひこ)
株式会社ソラヒロ 代表取締役/
陸上自衛隊、日昇薬品 代表、株式会社日本エスキューブ 代表取締役などの経歴を経て、2015年10月に株式会社ソラヒロを設立。フルマラソンに12ヶ月連続出るなどアクティブな一面も。

髙木 美奈(たかき みな)株式会社ソラヒロ
専務取締役/東京お茶の水女子大学 家政学部児童学科卒業後、
学校法人駿河台学園入社。株式会社グランド 代表取締役を務めたのち、
株式会社ソラヒロの専務取締役に。

生まれ育った地域に恩返しがしたくて。

−まずは、ソラヒロを作ることになった経緯を教えてください。

代表取締役・池田英彦氏(以下、敬称略)は熊本で、不動産事業とGoogleマップストリートビューの認定代理店の社長業をしていた47才の頃、知り合いの方に“障がい児通所支援事業”のお話をいただいたのがきっかけです。それまでは薬品業や不動産など全く別の畑にいたので、当時は障がい福祉の分野にあまり精通していなかったんですね。だけど調べていくうちに、障がい福祉事業は今の世に本当に必要で、持続可能な社会貢献もできるということが分かりました。私は幼少期、親だけでなく親戚や近所の人たちに育ててもらってきたので、この地域に恩返しがしたいと思っていたんです。人種の違いや障がいの有無にかかわらず、誰もが平等に自分らしく生きられる社会基盤を充実させたい。ノーマライゼーションを支えていける企業や仕組みを作りたいと思い、ソラヒロを作ることを決めました。

−障がいを抱える方はもちろん、それ以外の方も含む、地域全体への貢献がベースにあるのですね。

池田:はい。私たちは障がい児(者)通所支援事業所を50施設つくることを目標にしているのですが、それは『ソラヒロ基金』を積み立てるためでもあります。『ソラヒロ基金』とは、各施設の毎月の売り上げの一部を積み立て、地元地域に役立てていくことを目的に作った仕組みです。例えば、1施設の売り上げのうち10万円を基金に入れるとしますよね。それが50施設あれば、年間6000万円がソラヒロ基金として貯められるんです。それを使って、ご縁のある小中学校や地域に恩返しをすることで、持続可能な地域貢献を目指しています。これまでも、様々な物を寄贈してきました。

ソラヒロの中心『児童発達支援・放課後等デイサービス』

-ソラヒロが現在、主軸として運営されている児童発達支援・放課後等デイサービスについて教えてください。

髙木:児童発達支援・放課後等デイサービスそらひろは、障がいのある18才未満の子ども達が通う場所です。『児童発達支援』では未就学児さんを、『放課後等デイサービス』では小学1年生から高校3年生までのお子様をお預かりしています。基本的には学校まで子どもたちを迎えに行って施設でお預かりし、その後ご自宅まで送り届けています。

一般の学校でいうと、放課後児童クラブ(学童)ってあるじゃないですか。今、共働きのご家庭が増えていることもあり、どこの学校の放課後児童クラブも100人規模になっているようなんです。

そんな中、障がいのある子ども達はコミュニケーションが苦手な子が多いため、お友達との輪になかなか馴染めずひとりぼっちになり、行きたがらなかったりすることが多いんですね。なので、放課後児童クラブよりも手厚い支援のある障害児通所支援事業所に通わせたいという親御さんが近頃は増えてきています。

-ひとつの施設に定員数はどれくらいですか?

髙木:1日にお預かりできる定員数は、1施設につき10名です。そらひろは月~土曜日まで開所していますが、毎日通われている方もいれば、週に1日など、お子さんの状況や必要性に合わせて親御さんと相談して決めています。

-ひとりひとりとしっかり向き合える少人数制なのですね。親御さんとのコミュニケーションはどのように取られていますか?

髙木:そらひろのような支援施設に通うためには、保護者の方はまず行政とも相談し、病院から指示書をもらう必要があります。そして、相談支援事業所の相談員さんから支援計画を立ててもらい、その後親御さんと相談員さん、そして弊社のスタッフの3者で面談をし、お子さんの特性や環境、病歴などについて伺いながらさらに詳しい支援計画を作っていきます。

そらひろに通うようになってからは、幼稚園・保育園や学校へお迎えに行った際に先生にお話を伺い、ご自宅に送り届ける際に親御さんにお伝えしながら、どういった声かけをしたらいいかや、翌日からの支援について相談しながら一緒に考えていきます。

社会性を身につける独自の療育プログラム『S.T.E.P.』

-子どもたちは、そらひろではどのように過ごすのでしょう?

髙木:日常生活動作や感覚統合、SSTという(後述)様々なプログラムを通して療育を行なっています。放課後等デイサービスでは、お預かりする時間は最長で4時間ですが、高学年になると夕方4時にきて、5時に帰るという子もいるわけです。その貴重な時間をどう濃厚に過ごすかによって、これから先の将来に大きく影響すると思うんです。こういった施設でただ漫画を読む、学校の宿題をするというところも全国的にみると多くあるようですが、私たちは1時間1時間を大切にしていきたいと考えています。そのためにどんな考え方で療育を行なっていくのかを鹿児島大学の先生と一緒に考えて、そらひろでは『S.T.E.P.』という独自の療育プログラムを設けています。

『S.T.E.P.』とは、Social・Trust・Enjoy・Passionの略です。子どもたちが社会で活躍するために、一番大切なのは信頼されることだと思います。家族からも職場の同僚からも、この人なら安心して仕事を任せられるという信頼を得ること。子どもたちが社会の一員として信頼され、当人たちも周りも楽しく過ごしていけるように、私たちそらひろスタッフは情熱を持って療育を行います、という考えが『S.T.E.P.』です。そらひろでは年間を通して、定期的にスタッフ研修も行っています。

-基本的な考えのベースに『S.T.E.P.』があるとして、具体的にはどういった内容の療育を行なっているのでしょう?

髙木:色々とありますが、代表的なものに『ドリームパスポート』があります。公立小学校校長を務め(※退職済)、絵本作家としても活動されている園田裕子先生と鹿児島大学が共同開発したキャリア教育プログラムを行なっております。絵本や偉人伝を読んで感動したり共感したりすることで、子ども達の豊かな感性を伸ばします。ドリームパスポートの目的は「夢を描く力をつける」ことです。

-園田先生が選ばれた本を読み、様々な形で表現やアウトプットをするんですね。

髙木:はい。ドリームパスポートは親御さんにも好評で、ご紹介すると「ぜひうちの子に受けさせてください」とおっしゃる方が多いです。学校だとどうしても教科書に沿って学んでいく、知識をつける学習が主流です。一方、ドリームパスポートには正解・不正解という考え方や、答えがないんですね。その子が感じること、考えることは1つじゃないし、どんな考え方もOK。

障がいを抱える子たちには色々な特性や考えがあるからこそ、ひとりひとりを認めてあげて、自己肯定感を高めてあげることが非常に大切だと思います。ドリームパスポートは「今のままでいいんだよ」「もっと表現してごらん」という安心感のある自由なものなので、子ども達の発想力が大きく広がります。

-全ての学校で取り入れた方がいい素晴らしい取り組みですね! 他にも取り組んでいるものはありますか?

髙木:あとは、先ほどお話に出た『SST』というプログラムもあります。Social Skills Trainingの略で、“社会生活技能訓練”ともいいます。どう会話すればいいのかわからない、肩をポンと叩くときの力の強さがわからないというように、障がいをもつ子どもたちはコミュニケーションが苦手なことが多いんですね。日常生活のあらゆるルールを感覚的に理解する事が苦手な子ども達の為に、社会スキルを身につけるそらひろ独自の『SST』プログラムをつくり、トレーニングしています。

-そういった試みに対する反応や、手応えはいかがですか?

髙木:たくさんの嬉しい反応をいただいていますが、この前特に嬉しいことがありました! そらひろ出身者のひとりに、熊本市役所への就職が決まったんです。親御さんも当時は、将来市役所に勤めるなんて思ってなかったんじゃないかなと思います。でもその子は、ドリームマップ(※夢や目標など自分に関することを地図に書き込むプログラム)に「スーツを着て仕事がしたい」と書いていたんですね。夢を一つひとつ叶えている様子に、スタッフは涙して喜んでいました。

親御さんの中には、お子さまがじっと座っていられないことや、お箸が持てないことなど、目の前の困りごとが気になり、5年後、10年後のことを今すぐには考えられないとご相談くださる方もいらっしゃいます。

弊社のスタッフは、『S.T.E.P.』の考えを深く心に持ち、その児童が数年先の社会で活躍する姿をイメージしながら支援計画を立てています。スタッフは皆、責任と誇りを持って仕事をしているので、保護者の方からも安心して預けられるという声を多数いただいています。

この秋スタートする成人部門『Sorahiro Connect』

-お子さんにとっても親御さんにとっても、本当にそらひろが心の支えになっているでしょうね。

髙木:そうだと嬉しいです。ただ、やはり発達障がいを持つ子ども達は、コミュニケーションや勉強面で生きづらさを感じていることが多いんですよね。そうすると保護者の方々は、我が子がこれから先、社会に出て仕事ができるのか、生きていけるのかという点が不安だと思うんです。特に、中学・高校になってくると、学業や部活動、習い事で周りについていけなくなって取り残されてしまい、不登校になってしまうパターンがすごく増えているんですよ。なのでそういった心配なく、社会での活躍をサポートしてくれるような場所が欲しいと保護者の方々は感じていらっしゃいます。

池田:そらひろも、以前より「成人のサポートをする場所を作って欲しい」と言われていました。そこで、18才未満の療育を主軸においてきた1期が終わり、2期に入る7年目の今年、満を持して成人部門を作ることになりました。その皮切りとして始まるのが、複合型福祉施設『Sorahiro Connect』です。1階がカフェ、2階が就労継続支援B型、3階が自立訓練・就労移行支援の施設を、10月のオープンに向けて、現在熊本市北区に建築中です。

1階のカフェでは、軽度の障がいをお持ちの方に裏方で働いてもらうなど、働く場の提供を考えています。2階の就労継続支援B型では、障害をお持ちの方が働く場所を提供し、3階の自立訓練・就労移行支援では、社会に出る前の準備や就職活動をサポートする予定です。

髙木:1階のカフェは、障がいを持つ方々が働く場所でありながら、地域の人たちが気軽に立ち寄れる一般のカフェにしたいと思っているんです。障がいを持つ方に対する世間の偏見はまだ残っていますが、みんなで支え合って共に地域を盛り上げていける、そんな仕組みづくりを熊本から発信していければと思っています。

池田:最初の話に戻りますが、やはり私がやりたいのは、障がいの有無に関わらず、地域みんなで子育てができる環境づくりなんですね。より多くの人が思い切り個性を伸ばせる仕組みを作っていければと思うので、ぜひ、一緒に盛り上げてもらえたら嬉しいです。

取材・文:大下杏子

そらひろホームページ https://sorahiro.jp/
Sorahiro Connect インスタグラム https://instagram.com/sorahiro_connect?igshid=YmMyMTA2M2Y=


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