SONO

漫画描き。

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記事一覧

禍話リライト「坂の青い屋根」

僕からしたら「不思議だなぁ」で済んだ話なんですけどね。 ごっこ遊びをしただけなんですけど。 僕、高校生の時クラスでいじめに遭ってまして。それが陰湿ないじめで、あ…

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2年前
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禍話リライト「六文銭の夢」

夢日記の話ですね。 夢見たんです。 僕、すごい急な坂を登ってるんです。もし自転車で下ろうとしたら、スピード出すぎて事故るぞっていうくらいな坂で。上るのも、おじい…

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2年前
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禍話リライト「当人と本人」

ドッペルゲンガーの話なんです。 仮に、そいつの名前を山田ってしておくと。 九州で。なんか、高校の同窓会に集まった時に。 あれ山田どうした?何人かは来てないけど、…

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2年前
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『ピューリたん』単行本あとがき ロングバージョン

発売中の『教派擬人化マンガ ピューリたん』→アマゾンで購入できます 締め切りの関係で未公開になっていたあとがきのリライト、ロングバージョン 2018年4月に連載が終了…

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4年前
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『痒み』12歳の文学 第2回 佳作作品

痒い。 絵筆を床に置いてから、首筋をかく。 昨日からどうも痒い。『どこが』とかじゃなくて、とりとめなく痒い。 頭が痒くなったすぐ後に小指の爪が、その後には右の掌…

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4年前
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『白い掌 赤い傘』12歳の文学 第2回 奨励賞作品

「傘、無いの?」 確か、僕が中学生の時の事だったと思う。 「傘、無いの?」 その言葉は今でも僕の胸に深く染みついていて、なかなか消えない。 あの雨の日、傘を忘れ…

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4年前
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禍話リライト「坂の青い屋根」

禍話リライト「坂の青い屋根」

僕からしたら「不思議だなぁ」で済んだ話なんですけどね。

ごっこ遊びをしただけなんですけど。

僕、高校生の時クラスでいじめに遭ってまして。それが陰湿ないじめで、あの、カツアゲとか暴力じゃないんですよ。精神的にくるいじめっていうのかな。パッとバレない感じでいじめてきて、だから周りからしたらつるんでんのかなっていう。みんなが分かんないところでいじめてるっていう、うん。すごい陰湿なやり方ね。精神的にど

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禍話リライト「六文銭の夢」

禍話リライト「六文銭の夢」

夢日記の話ですね。

夢見たんです。

僕、すごい急な坂を登ってるんです。もし自転車で下ろうとしたら、スピード出すぎて事故るぞっていうくらいな坂で。上るのも、おじいちゃんおばあちゃんだったらキツイぞっていう、坂を上ってて。

これ、懐かしいな。この坂登ったことあるな。2、3回あるな、どこだったっけ。

竹が生えてて。その山、竹藪が。そん中に、青い屋根の家があったんです。

ほかは見たことある景色な

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禍話リライト「当人と本人」

禍話リライト「当人と本人」

ドッペルゲンガーの話なんです。

仮に、そいつの名前を山田ってしておくと。

九州で。なんか、高校の同窓会に集まった時に。
あれ山田どうした?何人かは来てないけど、山田も来てねーのかって。でも山田ってわりあい仕事とか、できそうなタイプだったけど?そんな社会でつまずくタイプでもなかったし。なんかいい大学行ったでしょ?頭も悪くなかったでしょ?同窓会に来れないような感じじゃないでしょ。

いやあいつね。

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『ピューリたん』単行本あとがき ロングバージョン

『ピューリたん』単行本あとがき ロングバージョン

発売中の『教派擬人化マンガ ピューリたん』→アマゾンで購入できます
締め切りの関係で未公開になっていたあとがきのリライト、ロングバージョン

2018年4月に連載が終了してから1年が経ちました。読者のみなさんに、やっと本の形でお届けできるとほっとしています。
連載開始時は知識も画力も足りず、今読み返すと辛い…。でも、締め切りの中でネタを出し、公に発表していくことは最高の訓練でした。現在の知識があっ

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『痒み』12歳の文学 第2回 佳作作品

『痒み』12歳の文学 第2回 佳作作品

痒い。

絵筆を床に置いてから、首筋をかく。

昨日からどうも痒い。『どこが』とかじゃなくて、とりとめなく痒い。

頭が痒くなったすぐ後に小指の爪が、その後には右の掌が、といった感じだ。

永湖(えいこ)は髪の毛を手櫛でとかした。指にからまる髪が汗をじっとり含んでいて、気持ち悪い。

「・・・・・昨日はお風呂に入った・・・・・。」

心の中で言う。

「・・・・たぶん石鹸だ・・・・。」

そうだ。

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『白い掌 赤い傘』12歳の文学 第2回 奨励賞作品

『白い掌 赤い傘』12歳の文学 第2回 奨励賞作品

「傘、無いの?」

確か、僕が中学生の時の事だったと思う。

「傘、無いの?」

その言葉は今でも僕の胸に深く染みついていて、なかなか消えない。

あの雨の日、傘を忘れて困っていた僕にそう声を掛けたのは今まで話した事もないクラスメイトの女の子だった。

「傘、無いの?」

降りしきる雨をただぼうっと眺めていた僕はその言葉で我にかえった。

声の発せられた方向へ視線を向けると、ぴしっとアイロンのかか

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