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双星たかはるの詩歌などテキストを集めたマガジンです。2020年以前の作品は、テキストブログかカクヨムをご覧ください。
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2021年8月の記事一覧

短歌『ロボットとして愛を伝える』

短歌『ロボットとして愛を伝える』

言いなりのあの子とワタシどう違う機能停止をさせてもいいのよ

量産のできないことがこんなにも怖いだなんてマイ・マスター

心音も跳ねてアラートが出ています助けてください貴方が好きです

気がついてロボだからこそ21グラム以上は愛しています

叶うならワタシの身など壊れても構いませんから抱いてください

20210828
深夜の二時間作詩 第123回「ロボットとして愛を伝えてください」

詩『依存』

詩『依存』

詩人は書くことに依存をしているし
なんなら読み手にも依存をしている

自分の波を音に変える楽器奏者のように
より響かせるべく淡々と表現を練っている
詩には楽譜がなく即興なのでたちが悪い
自らの含有物がどんどん主張してくる

でもそれは
人が人として生きていくことと
何ら違わないんじゃないのかな
恋とか愛と同系列じゃないのかな
評価や見返りを求めずにはおれない
醜く可愛い誰かがそこにいるでしょう

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詩『触媒、接着剤のようなもの』

詩『触媒、接着剤のようなもの』

思考をふらふらと探しものにさまよっている
表現について考えると心身が苛まれるのだが
苦悩や材料だけでは思い描く物にはできない

シナプスが機能しないと伝達されないように
脳には素材と記憶を結ぶ触媒が不可欠だから
手がかりを求めて脳細胞の深部にダイブする

無秩序に散らばる輝きを星座に繋ぐ糸は意図
身請けをされる星の消えゆく光と闇のあわい
暗黒にひっそりと咲いていた紅い星雲の思惑

触媒は錬金術師の

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詩『帰り道』

詩『帰り道』

行きはよいよい帰りは怖い
意味も判らずに聴いていたころから何年も経ち
あとの祭りという言葉に潰されそうになる今日
陽の傾いてきた空になんとなく虹を探している

どうすればよかったのかなんて
気づいたところでなにも変わりやしないのだから
後悔しても仕方ないのにふと蘇ってくる思い出に
打ちのめされて哀しむ日々はもう終わりにしたい

天色は琥珀から天壇青に変わる
時間の流れていくごとに毎日着実に入れ替わ

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詩『そして、花火が消えた
』

詩『そして、花火が消えた 』

足許も気にしないで走っていました
きっと星も月も霞んでいました
正直ぬくもり以外はどうでもよかったのです

ただただ打ちあがる大輪を眺めては
歓声をあげるほかには言葉もなく
きみの手だけをしっかり離しませんでした

線香花火の儚さに自分の人生を見た
ぼくの手から小さな夕日が落ちます
無常すら感じないこんな斜陽もいいなと思った

火薬の匂いがきみの残り香のようで
似合いはしないけれど蘇るのです
夏の

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