Yura

創作家。#シュルレアリスム

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正夢

夢の中で夢を見た。 日のとうに落ちた刻、路地を歩いていた。 二歩先を歩いていた男が振り返る。 「街を買わないか?」 私には到底縁のない話であるので、無言に首を振って拒む。 男の顔つきがきと変わる。 「なら死ね」 ナイフを横腹に刺されーーー。 ここで夢が覚める。 これは夢の中の夢の中夢、 ずっと包まれてわからなくなっていく、現実とは何か。 夢の中で夢を見ている。

    • どこへ向かうのか

      どこかへ向かって歩く。歩けば歩くだけ、時間が経つ。 地球は丸いから、進んだ分、元いた地点までの距離は縮む。これは大事なことだ。 地球すら一つの方向に永遠に伸びていないのに、時間だけがそうだなんて、よく考えたらおかしな話だ。 だから2023年の次の年は2023年だし、11月21日の次は11月21日だし、8:50の次も8:50だ。そうして、認識のパラダイムシフトによって止まってしまった2023年11月21日8:50の中に、僕は生きたい。 とはいえ、夢もある。それほど大きなも

      • 詩 | 愛の形をしたゲーム機

         伸びた麺を啜って、落ちた日を追いかける妄想をする。決してシンプルではない色らが、僕の後ろに立って並んでいる。  色らはみな一様に、たった一つの抽象的な欲望を持っている。それが背中に当たる物質的な熱でわかる。その欲望の始まりを辿れば、僕の人生は終わらなくなる気すらする。  カーテンを開ければ、そこには単色の世界が広がっている。パソコンの光が照らす机の一部は、それに慣れてもう光っていない。ここは、物も"物理"法則に従うのをやめた世界だ。  全てを孕む言葉を作る仕事を、僕は

        • 小説『ガラスのクラゲ』

          X以前 彼が通う学校では、全生徒が同じ制服を着ることになっていた。  気候の話を抜きにすれば一見退屈に見えた学園生活は、わずかな綻びから急速に崩壊へ向かった。  ある日の放課後、生徒の一人であるYが二階の教室の窓から飛び降りた。この時Yが運よく死んでいれば、綻んだかのように見えた閉鎖的な学校社会はすぐに自ずから修復し、完全な安定を取り戻していたかもしれない。  二階という高さは死ぬには低すぎたのだろう、 Yは死ななかった。Yはよろよろと立ち上がり、教室に戻った。何人かとす

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        記事

          10/19

          何にどれだけお金を使ったか  今日は9時ごろに目が覚めたが、例の如く二度寝に耽り、次に覚醒したのは11時ごろだった。12時半にクボと待ち合わせをする予定があったので、急いで準備を終わらせる必要があった。しかし、何を思ったか私は、床にべちゃっと置いたクッションチェアに腰を沈めると、徐にコントローラを握り、テレビゲームを始めた。この時、すでに11時半をすぎており、もう家を出ないと間に合わない時刻だというのに、私にはまるで急ぐ気がない。それというのも、私は自宅から待ち合わせの場所

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          内なる狂気をいかに解消するか

          みんな心の中でトンデモナイ妄想や空想をしたことがあると思う。例えばこんな妄想である。 さて、これらのような妄想は、無論妄想の域を出ない。それは僕が社会性を身につけているからか、あるいは他者に特定の行動を要請するからだ。 しかし、これらの狂気じみた妄想は、「欲望を伴う」という性質からして、解消しないわけにはいかない。食欲はご飯を食べることによって、性欲は性行為か自慰行為をすることによって、解消される。では妄想した内容を実行に移したい欲はいかにして解消するか。これは非常に大き

          内なる狂気をいかに解消するか

          カラオケアフターエッセイ

          1. 人間同士は全く分かり合えない、この寂しさ僕たち人間は、日々さまざまな情報を交換しあっている。 家ではLINEでメッセージを送り合い、Twitterでつぶやきを覗き見し合い、いざ対面すれば会話をし、目線を送り合い、身振り手振りで気持ちを表現し、あるいは路上で歌を歌ったり、絵を展示したり、小説を書いたり、とにかく多様な情報を交換しあっている。 そして僕たちはここで受け取った情報をもとに、その人が何を考えているか、何を思ったか、何をしたいか、したくないか、などを理解しよう

          カラオケアフターエッセイ

          自動記述①

          反転は直接的に転覆を意味するとは、そんなことをかけらも勘違いしなかった青年の遺言である。真っ青に染まった天空を、ただ「何もない部屋の限界である」として取り合わなければ、おそらく今日という空間も存在し得なかっただろう。限りなく閉ざされた地平を見つめる時の情動を仮にモザイクと呼ぶのであれば、私たちの同胞はそれを同じようにモザイクとは呼んでくれない。その理由となるものは、言葉で表現するにはあまりに複雑で、そして世界に存在するには恐ろしく脆い。形のないものほど良く見えるという言説を、

          自動記述①

          どんな気持ちで創作しているか(2022.8.2最終更新)

          0:最近の創作のテーマ ここ最近の創作のテーマは、「潜在意識の表出」である。 1:これまでの「潜在意識と人間」 人間の潜在意識はこれまで、夢や孤独で純粋な夢想において、部分的に※表出 し得るとされてきた、と私は見ている。 しかしながら、それは自己完結的で、客観的に観測可能なものに変換することができずにいた(=客観的観測不可能性があった)だろう。 端的に述べれば、私の創作の目的は「夢をはじめとするPESのOUを克服すること」である。(待って!ちゃんと説明するから!) ここ

          どんな気持ちで創作しているか(2022.8.2最終更新)

          【詩】りせい

          ずうっと、細い綱を渡っているようだ わたしは大人になってゆくにつれて、何かを上達させないとまずいのだろうか 歳をとるにつれて人生のけだるさは増すいっぽうであるのに、それに抗って、人間として強くならなければいけないのだろうか この世界で生きるため、社交的で好戦的な理性を獲得しなければならないのだろうか、その理性を発揮させるための概念的な筋肉をみるみる肥大させる他、いのちをつなぐ術はないのだろうか そのような社会が知覚できぬほど情報の靄は濃くなり、僕らが真実を見ようとする

          【詩】りせい

          【日記】経験と言葉

          どんなに果てしなく脈絡がなく、要領を得ない、文脈が崩壊した、狂気じみた文や発言も、その人の頭の中から出てきている。 その人の頭は、一秒前までのその人の経験と、先天的な幾つかの要素によって出来上がっている。 だから、ある人の文章や発言というのは、以下のような方程式であらわせる。 こう考えると、人類は皆兄弟だなと思える。同じ地球に住んでいるから経験はそんなに大袈裟に違わないし、元を辿れば数種類の遺伝子が人間の始まりだってことを考えれば、人は全然違うようで、意外とそうでもない。

          【日記】経験と言葉

          【詩】長針

          波のように迫ってくる長針は、僕のことを知らない。でもそれを、知らないふりをしているだけなのかもしれないって思うと、少しは頑張ろうと思える。高層のビルに屋根があったり、川に道があったりすることを想像して、僕の心は長針を飛び越えて走り出していく。本当に今、歩いているこの地面とは遠くへ、僕の心はとっくに行っている。そうして鳥になってまだ人間の僕をみて、テストの点数ばかり馬鹿にする。鳥もそうなのかと思って安心なんてしていると、また長針は僕を飲み込もうとする。はい、もう君は時間に負けた

          【詩】長針

          【詩】突然の話

          数秒先は突然やってくる。そしてこのように、いつも僕たちは、「突然」という言葉にいろんな黒くて重いものを背負わせている。表には出てこないけれど、それは少しずつ時間をかけて積み重なって、いつか耐えきれなくなった「突然」が突然失くなる。そうしたら僕たちが代わりにその黒くて重いものを持たないといけなくなって、その時初めて、「突然」がすごく便利で優しい言葉だったんだってことに気がつく。静まり返るとかえってうるさいのは、「突然」にいろんな黒さを任せてきた僕らへの復讐だ。それもこれも忘れて

          【詩】突然の話

          【詩】俺が嫌いなもの

          世界が間伸びしていくような、それでいて必ず閉まっているような、妙なことを気にかけていて、きっとどこかに最果てがあるのに、自分に目隠しをしていつまでもそれを見ない それを自ら選んでいる感覚はないのに、誰もそれに全然違和感を抱かない、どこかで無くしてきちゃったのかなと心配になって、でもそのビー玉を投げたりする勇気はなくて、解(ほど)けたアイスみたいにわたしと世界は距離を見失って、そのままになっている 重心を少し変えれば見づらくなるから、みんな震える足を揉んで必死で保っている、

          【詩】俺が嫌いなもの

          ある、哲学に関する講義の、感想

          講義中盤の<ポストモダンにおける人文学>の話の中で、モダン科学に対する懐疑(「本質の存在の有無」の側面)への言及がありました。そして、ポストモダンの立場は、 「ある事物においては、絶対的な本質は存在しない。存在するのはただ他の事物との差異や、そこにおいて発生する他の事物とのあらゆる関係だけだ。」 という解説がありました。ここで思ったことが二点有ります。 1 人間や個人は、ある事物に含まれます。そうすると、<私>すらも絶対的な本質を持たないということになり、つまり<私>は

          ある、哲学に関する講義の、感想

          【詩】メモ書き

          明日にとっての、他愛のないメモ書きに今日がなればいい 誰だって外に出したい不定形な内容を脳に負っていて 喉の形が脳の性格と相性が悪いと、 壊れたスペースキーみたいに全然ダメなだけで、 それはその人が悪いのではないと そう教えてくれたいつかの先生の手のひらが 今私の喉の形を決めている。 でも肝心の脳はもちろん、私だけのもの。 誰かに喉を奪われても、脳は私だけのもの。 例えばそういった話の中では唇は全然大事じゃなくて、それだって 特筆すべきではないけれど 書

          【詩】メモ書き