10/19
何にどれだけお金を使ったか
今日は9時ごろに目が覚めたが、例の如く二度寝に耽り、次に覚醒したのは11時ごろだった。12時半にクボと待ち合わせをする予定があったので、急いで準備を終わらせる必要があった。しかし、何を思ったか私は、床にべちゃっと置いたクッションチェアに腰を沈めると、徐にコントローラを握り、テレビゲームを始めた。この時、すでに11時半をすぎており、もう家を出ないと間に合わない時刻だというのに、私にはまるで急ぐ気がない。それというのも、私は自宅から待ち合わせの場所までの距離を大幅に見誤っていたのだ。出発から到着まで最長で50分ほどかかるところを、15分ほどだと見積もっていた。なぜそのような素っ頓狂な見当違いをしたのか、今思うと情けないばかりだが、とにかく私はそう信じていた。そして12時前にようやく腰を上げ、ノロノロと着替え始める。
私には一つだけ、リュックに入れなければならないものがあった。それは、『海辺のカフカ』の下巻だ。村上春樹の10作目の長編小説で、海外でも演劇としてリメイクされるなど、世界的に高い評価を受けている作品だ。上巻を読み終えるのに約二ヶ月を要したが、その後は流れるように行を追い、終幕まで残り数章というところに来ていた。今日中には読み終えられそうだった。
私は近所の書店のカバーを被った『海辺のカフカ』をリュックに詰めながら、小説、いやもしかすると読み物全般において、読み始めが読みにくく、後半に行くほど読みやすくなっていくという法則のようなものがあるのかもしれないと憶測を立てた。(この憶測を立てていた時間さえ短縮すれば、待ち合わせに間に合ったかもしれない。)
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