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自動記述①

反転は直接的に転覆を意味するとは、そんなことをかけらも勘違いしなかった青年の遺言である。真っ青に染まった天空を、ただ「何もない部屋の限界である」として取り合わなければ、おそらく今日という空間も存在し得なかっただろう。限りなく閉ざされた地平を見つめる時の情動を仮にモザイクと呼ぶのであれば、私たちの同胞はそれを同じようにモザイクとは呼んでくれない。その理由となるものは、言葉で表現するにはあまりに複雑で、そして世界に存在するには恐ろしく脆い。形のないものほど良く見えるという言説を、ほとんどの異星人が信じないのと同様に、私という塊も、向かい合った他者が語る全ての砲丸をたゆまぬ絶望で殴り返すのであって、またそこに含まれる様々な痛みと嫌悪を、鏡ほどの滑らかさを持った寒冷な表面で吸収かつ反射するのである。

認めた事実と帰らぬ呼吸との関係は、絶えず変容し続ける。無謀にも重力の反転を目指した少年は、今すでにコンピュータのモジュールの一つと交わり、欠けていたある特定の一つを発見することによって、存在として完成した。

見上げれば必ず世界を傍観していると思えてならない、ドミノの両端のような積乱雲は、果たして私と私以外の区別をするのか、否、仮定と仮定との衝突を助長するだけで、かつて健やかだった頃の私や彼らの肺を嘲笑することになど、みじんも興味がない。窓際に飾られた天使のような果物を、まるで絵画に閉じ込めるかのように噛む。箱に入った川の流れの向きこそ、私とその傍観者が向かうべき目的地であり、また同時に、この全てそのものが、ただの時間性との遊戯なのである。

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