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Doseの散文・エッセイ

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内なる狂気をいかに解消するか

内なる狂気をいかに解消するか

みんな心の中でトンデモナイ妄想や空想をしたことがあると思う。例えばこんな妄想である。

さて、これらのような妄想は、無論妄想の域を出ない。それは僕が社会性を身につけているからか、あるいは他者に特定の行動を要請するからだ。

しかし、これらの狂気じみた妄想は、「欲望を伴う」という性質からして、解消しないわけにはいかない。食欲はご飯を食べることによって、性欲は性行為か自慰行為をすることによって、解消さ

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カラオケアフターエッセイ

カラオケアフターエッセイ

1. 人間同士は全く分かり合えない、この寂しさ僕たち人間は、日々さまざまな情報を交換しあっている。

家ではLINEでメッセージを送り合い、Twitterでつぶやきを覗き見し合い、いざ対面すれば会話をし、目線を送り合い、身振り手振りで気持ちを表現し、あるいは路上で歌を歌ったり、絵を展示したり、小説を書いたり、とにかく多様な情報を交換しあっている。

そして僕たちはここで受け取った情報をもとに、その

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【散文】自由について

自由の許容によって、自由は侵害される

秩序のない社会に責任と制約は存在しえず、つまり全ての人は平等に不自由を強いられる

二兎を追うものは一兎も得ぬが、一兎に執着し追った末は、一兎を得ぬどころか、あらゆる手持ちを失う

そうして一体何を追っていたのかわからなくなり、兎に成り果てる。

【散文】狂気纏う駅

【散文】狂気纏う駅

 降車すると、エスカレーターが故障していた。僕はエスカレーター以外に上のフロアに行く方法を知らなかったので、「通行禁止」のコーンを爪先で軽く蹴ってどかし、エスカレーターに右足を乗せようとした。しかし、一向にそれは動き出さないので、苛立ち、その場で地団駄を踏んだ。するとヘルメットを被った作業着の男性が近づいてきた。

「おい、何してるんすか。立ち入らないでください」

そう言われても僕は、エスカレー

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【散文】斫り

【散文】斫り

 工事の音がうるさいが、俺は薄暗い路地を歩く。だらしなく歩く。両耳に挿した線のないイヤホンからは、流行りのJ-Popが流れている。映画のエンドロールに果てがあるように、退屈な俺の人生にもいつか終わりが来る。そのことを噛み締めてニヤリと笑い、俺はまだこの暗くてうるさい路地をのろりと歩き続ける。

 俺は何も為せず、二十一歳を持て余していた。そして同時に、健康に憧れながら不健康を謳歌していた。俺は過度

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【エッセイ】僕は今戦っていない

 小学二年生の秋、僕は地元のサッカー少年団に所属した。今ではLINEで話すこともなくなった当時の近所の友達が、僕を誘ったのがきっかけだった。

 僕の両親は、やや肥満気味だった僕を若干心配していたようで、その誘いに対して積極的だった。特に母親の提案を断ることが当時はできず、サッカーなんてなんとも思ったことがなかったが、とりあえず見学に行った。
 見学だけのつもりだったので、トレーナーにデニムに俊足

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