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Doseのショートショート

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記事一覧

【ショートショート】終わりなき戦い

 その国はA国といった。それほど国民の数は多くなかったが、国民たちはお互いに協力し合い、平和な暮らしを築いていた。中には貿易をするものなどもいて、経済的にもある程度発展していた。A国の国民は、皆が幸せだった。

 そんなある日、恐ろしいニュースがA国中に流れた。なんと、海を挟んだ隣国のB国が、A国にミサイルを打つと予告してきたというのだ。これまでの平和な暮らしが壊れるかもしれないという状況に陥り、

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【ショートショート】カフェ

 昨日彼から電話があって、何の用とも言わず、とあるカフェで待ち合わせたい旨だけを伝えられた。
私が到着した時には、もう彼はコーヒーを飲んでいた。
「ごめん、待たせちゃったね。」
「いや、待ってないよ。」
「それで、話って何かな?」
「話?僕は話があるなんて言ってないよ。君に、ここに来て欲しいと頼んだだけだ。」
… ん?妙だ。話したいことがないのに人をカフェに呼ぶことがあるだろうか。
「えっと、それ

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【ショートショート】ロボット人間

「ジェイ、ご飯の時間ですよ。」
「…。」
「ジェイ、学校に間に合いませんよ。」
「…。」
「ジェイ、聞こえているの?」
「わかってるよ、うるさいな!」

ここのところ、母が鬱陶しい。いつもいつも、同じことばかり俺に言ってくる。頭がへんになりそうだ。俺は痺れを切らした。

「いつも、そんなにうるさく言われなくてもわかってるんだから、黙ってくれ!」

流石に言いすぎたか、と思った。母親は、悲しいという

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【ショートショート】壺

 その男は、大きな家の前に立っていた。男は新入りの詐欺師だった。老人に安い壺を高く売りつけろ、とボスの詐欺師から頼まれていた。

「初めてだが、うまくいくだろうか。」

緊張気味でインターホンを押すと、気の優しそうな老婆がでた。少しほっとした。

「こんにちは、少しお時間いいですか。」
「はい、何の用です?」
「おばあさん、あなた、今の生活が退屈ではありませんか?」

老婆は目を丸くして答えた。

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