結婚して、子供を2人産んで、後悔してしまったら

パパと妹とオマール海老がメインのバルへ行ってきました。

店内はダダーッと広い空間に大きなテーブルが各組のために用意されている感じ。個室などはないので必然的に隣の席の方の様子なんかも見える。このお店は食べるための海老を水槽からお客さんがつかみ取りできるというちょっとしたイベントもあって、皆できゃいきゃい言いながら楽しんでいました。

メインの大きな海老の蒸し焼きもたべ、ちょこちょこ追加した貝やらパスタやらをつまんでいたところ、お手洗いから帰ってきたパパが隣のテーブルとの間を通過して席に着こうとした時、相手のテーブルギリギリに置いてあったフキンがサッと落ちた。どうやら引っかかってしまったみたい。

「あ!すみませんー」とパパが謝ったついでに1番相手側に座っていた私も「パパのケツが!すみません~」なんて軽く謝っておいた。相手の男性はサラリーマン風の40代くらい?のおじさまでかなりもうお酒もすすんでいたので「いえいえ!いーえいえ!」なんて言って許してくれた。その際にこちらのメンバー構成を改めて認識したみたいで(パパ、私、妹、妹の女友達)「みなさん女の子ばかりですねーいいなー」なんて話しかけてきた。

「て、言ってもパパなんでね~」なんて特攻隊長の私が速攻で返すとノリノリのおじさまが「え!みなさん娘?!いいな~一緒にご飯とか行ってくれるんだ~」と返しお話モードに。相手のテーブルにはそのおじさまとその部下と思われる若い女の人が仕事帰りにご飯に来ていたみたい。

後はもう飲み会の席あるあるトークの、こちらの年齢やら家族構成やら、色々やりとりしてそのたびにおじさまは「いいなーいいなー」と唸っていた。どうやら話を聞くとおじさまには奥さんと2人の息子がいるそう。ただその息子は本人いわく「ぜんぜんなついてくれない」らしく買い物、ましてや一緒に外食なんて夢のまた夢なんだそう。

「でも息子さん高校生なんですよね?きっともうちょっと大きくなったらお父さんの偉大さとか気づいてくれますよ!」

「いや~だめだよーもうね、家に安らぎがないの!」

「またまた謙遜して~奥さんがいるじゃないですか!」

「奥さんもねー勢いで結婚しちゃったのよ!そしたら家事なんにもできないの!毎日俺が洗濯物もやるしね、これから遅くなって帰るけど今日もやるよー。娘さん(私のこと)同棲してるんだよね?同棲は必ずしといた方がいい!俺みたいに勢いだと後で大変だからね!本当に失敗した。」

ここでパパが「未来ある若者にそんなこと言わないで!」とひと笑いいれてその場はいい感じに次の話題へ。かなり面白いおじさまだったけど後々冷静に考えてしまった。そんな人生ってどうなんだろう。本当に日本人特有の自分の家庭への謙遜であってほしい。

自分の場合で考えてみる。この人だ!と思って結婚したけど、その後あれよあれよと許せない部分が現れ始めて、でも妊娠もしてしまった。子供が産まれれば何か変わるのかと期待して産んだ子供が全くなつかない。相手も別に変わらない。男の子だからかもともう一人作るけどその子も親には無関心。これから最低20年はこの無関心の息子2人のためにお金を稼ぎ、神経を使い、全てをつぎ込んでいかなくてはいけない。


絶望だった。子供を無償の愛で育てられる人であれば全く見返りがなくても愛しい存在なのかもしれないけれど。私は元々子供を「育てる自身のない女」(嫌いな訳ではない)。そんな女が「何か変わるかも」で産もうとするのはますます博打な事なのだとおもった。この発言は別に産むことを軽んじている訳ではありませんよ。子供、こわい、全国の親、すごい。

おじさまはこれから死ぬまでこのままでいいのかな。何かを毎日後悔しているのかな。そしてたまたま会った私たちみたいな人に愚痴ってしまうくらいやるせない気持ちで生きていくのかな。


そんな気持ちを抱えたままおじさまから「同棲してたらそろそろ結婚の話とかあるの?」と直球な質問が。思わずさっきの考えも相まって「いや、結婚願望があまりないんですよ、私」と言ってしまった。パパごめん。孫も妹が頑張ってみせてください、よろしく。

でもパパは「娘の相手が結婚の挨拶に来たらとりあえず一発は殴る」と昔から公言している人なので。彼氏が殴られるところ、見たくないからまだいいかな。


おじさまはそんな調子で「さっきもうちのテーブルでこの後輩と家庭のこと相談に乗ってもらってたのよーこの子も最近結婚したの!」と部下を紹介してくれた。化粧っ気のない、でもふわっとした顔立ちの女性。「わたし、結婚式しなくてもいいくらいだったんですけど、旦那さんに合わせて嫌々しました」という彼女。お隣トークが終わってそれぞれが自分のテーブルの会話を楽しんでいた時、ふと隣に目をやると、おじさまが女性の髪の毛の先を指でふわっと触っていた。いいのか、酔いがあるとしても大丈夫なのか、相談からのアレなのか。

そんなことが駆け巡った海老の会でした。

ちなみにおじさまと部下とはLINE交換したいくらいだよ!と言われた。私、ソロだったら大歓迎だったんだけど(おもしろかったし)家族の手前流しました。一応?


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