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#30「未来の自分」から助言をもらう - 解決志向アプローチ -

この記事では「解決志向アプローチ」の考え方について、一緒に学んでいきたいと思います。前回の記事では、「自分にとって重要な人物が今の自分を見たら、どんなアドバイスをくれるか?を考えることで解決の糸口を見つけていく」ということを一緒にみてきました。

ここでは、さらにそこから発展して、「未来の自分」からアドバイスをもらうということについてみていきたいと思います。「未来の自分」から「今の自分」を見ることでいかに解決の糸口を探っていくか、そのプロセスを一緒に学んでいきましょう。


問題に埋没した「今」から離れる

僕たちは悩んでいるとき、よく視野が狭くなってしまうため、一人称の自分の視点から離れて、二人称、三人称と、意識的に他者の視点に立って「今」を見てみることが大切でした。(詳しくはこちらの記事をご覧ください)

「今の自分」の視点から離れて解決の糸口を見つけていくためには、「人称」を変えていくことも役立ちますが、「時間軸」を変えることも役立つときがあります。「時間軸」を変える、つまり、「未来の自分」や「過去の自分」から「今の自分」を見てみるということです。異なる時間軸にいる自分から見てみると、問題に埋没してしまっている今の意識では気づけない気づきや発見が得られるときがあります。

「未来の自分」から「今」を見る

例えば、「未来」の場合。今、自分が抱えている問題に対して、「なぜこうなってしまったんだろう」と現状を分析したり、原因を追及したりしても、どんどん泥沼にはまってしまい、どうすればいいのか分からなくなってしまうことがあります。

そんなとき、解決志向アプローチの考え方は、一度、問題を棚上げして、「何を望んでいるのか?」「どうなりたいのか?」と、望んでいる「未来」を明確に描いていくことで解決の糸口を見つけていきます。(詳しくはこちらの記事をご覧ください)

明確に望んでいる状態、つまり、問題が解決した後の状態を描き、そこにいる「未来の自分」の視点に一度、立ってみる、すると、「今の自分」の視点からでは見えないものが見えてきます。具体的なやり方として、未来に ”ワープ” した「自分」に対して、以下のようにヒーローインタビューのような質問をしていくと、より解決の糸口が見えやすくなっていきます。

  • (「未来の自分」に対して)見事に解決されましたね、おめでとうございます!今、どんな気持ちですか?

  • どうやってここまできたんですか?

  • 何がご自身を駆り立てたんですか?

  • ここまでこれた秘訣は何だったんですか?

  • コツは何だったんですか?

これ、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、まさに以前の記事でみた「勝因分析」のプロセスですよね。

まだ、実際には解決してないんですが、想像上の未来では既に解決しています。その勝因を分析していくプロセスの中で、「ああ、こうしたから解決したのか。これまで考えてなかったな、そのことについて」など、解決に繋がるヒントが見つかることがあるんです。

「未来の自分」からアドバイスをもらう

ここまでの流れを整理すると、先ずは、解決した後の「未来」に飛ぶ(未来の描き方はこちら)。次に、その「未来の自分」に対して、なんで解決したのかと勝因分析を行っていく。そして、最後にダメ押しで、以下の質問をしてみてください。

  • なるほど、そうやってこられたんですね。因みに、その「未来の自分」が「今の自分」を見たら、どんなアドバイスをしてくれると思いますか?

  • 具体的に何をしたらいいと言ってくると思いますか?

この質問をすることで「今の自分」が具体的に何をすればいいかがより明確に見えてきますので、ぜひ、ここまで試しにやってみてほしいなと思います。

さて、ここまで「未来」という時間軸から「今」を見ていくことで、解決の糸口を見つけていくプロセスをみてきました。次回の記事では「過去」から「今」を見ていくことで解決していくプロセスを一緒にみていきたいと思います。(つづく)

【参考文献】
Warner, R. E. (2013). Solution-focused interviewing: Applying positive psychology: A manual for practitioners. University of Toronto Press.

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