見出し画像

#29 VIPから助言をもらう - 解決志向アプローチ -

この記事では「解決志向アプローチ」の考え方について、一緒に学んでいきたいと思います。前回の記事では、「相手の立場や第三者の立場から物事を見ることで、見過ごしていた解決の糸口が見つかる可能性がある」ということについて、一緒にみてきました。

ここでは、「第三者からの視点」を応用した形で解決の糸口を見つける方法について、一緒に学んでいきたいと思います。ポイントは「この場にいない人を連れてきて、アドバイスをもらう」です。


VIPの視点から助言をもらう

前回の記事でも触れたように、僕たちは悩んでいるとき、どうしても視野が狭くなってしまうため、意識して視野を拡げていく必要があります。そのため、前回の内容は「第三者の視点から物事を見てみよう」というお話でした。視野を拡げることが目的でしたので、「第三者」であれば誰でもいいという発想だったのですが、今回はそこから一歩、発展した形を紹介したいと思います。それは、その場にいないVIP(重要な人物)に登場してもらい、助言をもらうという方法です。自分の人生にとって重要な人物を思い浮かべて、「今、目の前にこの人が現われたら、どんなアドバイスをしてくれるか? 」を考えることで、解決の糸口を見つけていくという方法です。

「もしあの人が今、目の前に現われたら、どんなアドバイスをしてくれるだろうか?」を妄想する

具体的に例を見てみましょう。例えば、僕の場合。コロナ禍のときに、翌年からフィリピンに移って、こちらの大学で勤務するか、もしくは、都内に残って今まで通りのことをやっていくか悩んでいた時期がありました。そんなとき、この方法をちょっと使って考えてみようと思ったんです。僕が(頭の中で)そのとき登場させたのは、自分が尊敬する前衛芸術家・岡本太郎さんでした。

岡本太郎さんが今の自分を見たら、何とアドバイスしてくれるんだろう?

「もし、岡本太郎さんが今の悩んでいる自分の姿を見たら、どんなことを言ってくるだろうか?」 と考えてみました。すると、「今、この瞬間を生きなさい 」という声が(頭の中で)聞こえてきたんです。でも、まだ決断に躊躇していた僕は、そのアドバイスに対して、ちょっと口答えしちゃいました。「いや~、まあ、そうですけどね」と。そしたら太郎さんはまた僕に向かって、言ってくるんです。「自分がどう見られているかじゃなくて、自分はこれをやりたい、やる。やりたいこと、やったことだけが自分なんだ」と。これ、ぶっちゃけ、自分の頭の中の妄想の会話ですよね?でも、結構、僕はこの言葉に背中を押されてしまい、最終的にフィリピン行きを決めるキッカケになったんです。(因みに、この言葉、実際に岡本太郎さんの本に書いてあった言葉で、それを思い出したんだと思います)

このように、今、目の前にはいない尊敬する人人生のターニングポイントになったような重要な人物をイメージして、その人だったら、どんなアドバイスをしてくれるか?を考えることで、「一人称」の自分の視点からは見えなかった解決の糸口が見つかることがあります。

何度かVIPと会話のキャッチボールを続けてみる

この「VIPの視点」からのアドバイス、ぜひ、実際に試してみて頂きたいんですが、その際、コツが2つあります。1つ目は、上述の僕の例のように、ちゃんとそのアドバイスに反応して、何度か対話をしてみるということです。特に最初に言われたアドバイスが納得いくものでなかったとき、何度かそのVIPと対話を続けることにより、より思考が整理されていくかと思います。ですから、一人二役みたいな感じになりますが、ぜひ、何度か会話のキャッチボールをしてみてください。

「解決した後の状態」を既に知っている人物に登場してもらう

2つ目は、今、抱えている問題に対して、適切な人物を選ぶということです。このコツ、ある女の子との面談時に気づいたんですが、ある悩みを抱えていた彼女に対して、「尊敬している人がアドバイスをしてくれるとしたら何て言ってくれると思う?」といつも通り、伺ってみたんです。すると、彼女は自分の推しの漫画のキャラクターを挙げて、クスッと笑い始めたんです。「えっ、何がおかしいと?」と伺ったら、「いや、もしこのキャラがアドバイスをしてきたら、絶対、”そいつをバズーカで〇せ” って言ってきますよ」と。これじゃ、解決の糸口、全然見えてきませんよね。苦笑  僕はこの女の子とのやりとりを通して、状況に合わせて適切な人物に出てきてもらうことは見落としていたけど、結構、重要なことであると学びました。

そのため、面談時にこの「VIPの視点」からの質問をしたいとき、その人にとってのVIPは誰かを聞いた上で、「もし、その人が解決した後の状態をすでに知っているとしたら、何とアドバイスしてくれると思いますか?」と枕詞を置くように修正しました。これ、結構、役立ちますので是非、使ってみてください!

さて、皆さんにとってのVIP(重要な人物)は誰ですか?尊敬している人は誰でしょうか?自分のことを親身に考えてくれる人、もしくは、人生のターニングポイントになったような人物は誰でしょうか?

もしかしたら、地元の恩師かもしれません。亡くなったおじいちゃんかもしれません。歴史上の偉人やアニメの主人公など、直接、会ったことがない人かも知れません。「この人のアドバイスだったら耳を傾けたい」という方を選んで、実際にどんなアドバイスをしてくれるか、ぜひ、考えてみてください!

ここでは、問題を抱えているときに、「VIPの視点から助言をもらい、解決の糸口を探っていく」ということについて、一緒に学んできました。次回の記事では、この「第三者の視点」をさらに応用して、「未来の自分」から助言をもらうということについて、一緒にみていきたいと思います。(つづく)

【参考文献】
Warner, R. E. (2013). Solution-focused interviewing: Applying positive psychology: A manual for practitioners. University of Toronto Press.

よろしければ、フォローよろしくお願いします!また、自分自身のお悩みや、人を育てる上でのお悩みやご質問などあれば、是非こちらにお寄せください。別記事で「解決の糸口」を一緒に探っていければと思います!https://peing.net/ja/smatsuguma